祖父母やおばが交代で見る子、安心して過ごすために
小さな子のお世話を、何人もの家族で分けあっている家庭はたくさんあります。月曜は母方の祖父母、水曜は父方の祖父母、金曜はおば、そのすきまを親がうめる。こうした「村」はすばらしいものです。子どもは愛情ある大人たちの輪に包まれ、誰かひとりに負担が集中することもありません。むずかしいのは、お世話をする人がかわり続ける中で、子どもの世界を落ち着いたものに保つことです。少しの段取りで、交代制のお世話は、ばらばらではなく、安心できるものになります。
広い輪がもつ強さ
たくさんの人に愛され、お世話されることには、本当の価値があります。何人もの大人に見てもらう小さな子は、豊かな人間関係を築き、いろいろな大人といても安心できるようになり、それぞれの人がもつ持ち味の恩恵も受けられます。お世話の負担も分散され、誰も燃えつきずにすみます。めざすのは輪を小さくすることではなく、子どもがそれを、ばらばらの日々の連続ではなく、つながったひとつの家族として感じられるよう手伝うことです。
いつも同じであることが、すべてをつなぐ糸
顔ぶれがしょっちゅう変わるとき、毎日の流れがいつも同じであることが、子どもの安心をつなぎとめる錨になります。誰が当番でも、食事、お昼寝、寝る時間がだいたい同じように進めば、いつもの人でなくても、子どもはその日をなじみのあるものとして受けとめます。お世話をするみんなが同じ流れで動けるよう決めておくことは、何人もの大人に見てもらう小さな子のために親ができる、いちばん大切なことです。ほかのことが変わるとき、小さな子が頼りにするのは見通しだからです。
みんなに、同じ手引きを
交代制が切れ目なく感じられるのは、お世話をする全員が同じ情報で動いているときだけです。毎日の流れ、食事、お昼寝の時間帯、寝る前の順番、アレルギー、安心するための決まった流れ、緊急連絡先をまとめたかんたんな共有の手引きがあれば、誰でも長い説明なしに入れます。みんなが見られる場所に置き、子どもの成長に合わせて書きかえましょう。全員が同じ手引きに従えば、1週間のうちにお世話する大人がかわっても、子どもはいつも同じ体験を受けとれます。
引きつぎを、途切れさせない
何人も関わっていると、情報は人と人とのあいだのすきまからこぼれ落ちやすくなります。メモでも、メッセージでも、ちょっとしたひと言でもいいので、短い引きつぎで糸をつなぎましょう。どう眠ったか、最後に食べたのはいつか、今どんな機嫌か、いつもと違うことはあるか。それがないと、水曜日の人は火曜日の夜が大変だったことを知りません。かんたんな引きつぎの習慣があれば、どの人も前の人の続きから始められ、子どもの一日は最初からやりなおしにならずに、なめらかに続いていきます。
誰が来るのかを、子どもにわかるように
小さな子は、変化を予想できるほうが、ずっとうまく乗りこえられます。その日誰と過ごすのかを示す、絵のついたかんたんな当番表を壁にはっておくと、小さな子でも心の準備ができます。「明日はおじいちゃんの日だよ。公園に連れていくの大好きなんだって」と前もって話すと、受けわたしのひとつひとつが、びっくりではなく、楽しみな予定に変わります。次が誰かを知っていることが、交代制の不安を大きく取りのぞいてくれます。
それぞれの人の、あたたかさを
流れをそろえるといっても、お世話をする人がみんな同じになる必要はありませんし、そうなったらもったいないことです。おばあちゃんのおやつづくり、おばさんのおどけた遊び、親が歌ういつもの歌。そうした違いが、子どもの暮らしを豊かにします。大事な骨組みはしっかり保ち、その中ではそれぞれの人らしさを持ちこんでもらいましょう。基本のリズムと愛情さえ変わらなければ、日によって味わいが違うことを、子どもは楽しく覚えていけます。
落ち着かないサインに気づく
ほとんどの子は、愛情ある交代制にうまくなじみますが、変化が多すぎると感じているサインがないか、そっと見ておきましょう。いつになくべったり、眠りが乱れる、受けわたしで泣くことが増える、調子が出ない。たいていは、かんたんな工夫で解決します。見通しを増やす、流れをもっとそろえる、次に誰が来るかをよく伝えておく、一日のはじめと終わりに親とふたりの時間を少し増やす。小さな調整で、交代制がつらくなっている子もたいてい落ち着きます。
子どもの「よりどころ」の関係を守る
何人でお世話を分けあっても、小さな子には、世界の変わらない中心であり続ける、少数のいちばんの愛着の相手が必要です。ふつうは親です。交代制の中でも、そのよりどころの人と、急がない時間を定期的にもてるよう守りましょう。そうすれば子どもには、いつでも帰れる安全基地があります。広い輪は、その安心のかわりになるのではなく、安心をさらに大きくしてくれます。自分のいちばん大事な人がいつもいるとわかっている子は、まわりのほかのことが変わっても、ずっとうまく乗りこえられます。
少し助けを借りたいとき
交代でお世話をする形は、ほとんどの子にとってまったく健やかなものです。ただ、流れが落ち着いているのにずっと不安そう、ひきこもっている、つらそうにしている、眠りや食事、発達に影響が出ているように見える、この形がわが子に合っていないのではと心配、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけ医に相談してみる価値があります。全体を見て、安心させてくれたり、変えるところを提案してくれたりします。何かに目を向けたほうがいいという感覚を信じるのは、いつだって自然なことです。
愛情ある大人たちの広い輪は、子どもへの本当の贈りものです。共通の流れ、途切れない引きつぎ、少しのやさしい準備があれば、家族の交代制のお世話も、ひとりにお世話されるのと同じくらい安心できるものになります。
ポイント: 何人もの家族が交代で見る小さな子も、共通の毎日の流れ、途切れない引きつぎ、変わらないよりどころの関係が、変わっていく日々をつないでくれれば、安心して過ごせます。