旅行から帰ったら。いつものリズムへ、やさしくもどす

家に着いた。かばんは半分あけたまま。そして、いつもは落ちついている小さな子が、急に変な時間に起きたり、お昼寝をいやがったり、なんでもないことで泣きだしたりする。旅から帰ることは、旅そのものと同じくらい生活をかきみだすことがあります。休みのあいだは寝る時間がゆるみ、食事の時間がずれ、毎日がわくわくでいっぱいでした。小さな子は、玄関を入った瞬間にぱちんともとにもどるわけではありません。旅行のあとにリズムを立てなおすには、数日間のやさしく一貫した取りくみが必要で、それを前もって知っておけば、ずっと乗りきりやすくなります。

でこぼこの数日を、覚悟しておく

まず心にとめておきたいのは、ぐらぐらしながらもとにもどっていくのはまったくふつうのことで、旅行が何かを「だめにした」しるしではないということです。お子さまは何日も何週間もちがうリズムで過ごしてきたので、体内時計も、食欲も、「こうなるはず」という見通しも、リセットに時間がかかります。帰ってきてから最初の数日は、機嫌が悪い、べったりになる、眠りがとぎれる、いつもの流れをいやがる、というのはお決まりのことです。不意をつかれるのではなく、備えておけば、いらいらではなく根気でこたえられます。

何より眠りを優先する

眠りは、旅でいちばん乱れやすく、そしていちばん直すことが大切なものです。よく休めた子は、ほかのことを全部乗りきれるからです。はじめはお子さまがいやがっても、できるだけ早くいつもの寝る時間とお昼寝の時間にもどしましょう。いつもの寝る前の流れは、すぐにまるごと復活させます。お風呂、絵本、子守唄といった合図が、ふだんのくらしが始まったよとお子さまの体に伝えてくれます。眠りが落ちつくまでには何晩か一貫して続ける必要があるかもしれませんが、落ちついて続ければ、きっとやってきます。

時差をこえたなら、時差ぼけにやさしく

大きな時差のある旅だったなら、お子さまは本当に時差ぼけで、体内時計が追いつくまで、変な時間に起きたりおなかがすいたりするかもしれません。いちばん強いリセットの道具は、日の光と毎日のリズムです。昼間は外に出て自然の光を浴び、食事や活動は日本の時間に合わせ、好きな時間に寝かせっぱなしにしないようにしましょう。体はふつう1日に1時間ほどずつ合わせていくので、大きな時差なら、ほぼ1週間かかることもあります。根気よく、一貫して続ければ、時計はちゃんともとにもどります。

食事の時間と毎日の形をもどす

休みのあいだは、だらだら食べ、おそい夕ごはん、ごほうびの食べ物がつきもので、小さな子は家に帰ってもその楽しい習慣にしがみつきます。言いあらそいにせず、いつもの食事とおやつの時間、いつもの食べ物のバランスへ、そっともどしていきましょう。食事、遊び、お昼寝、お風呂、ねんね、という一日のリズムがなじみの順番でもどってくると、世界はまた予想できるものなのだと、お子さまが感じる大きな助けになります。安定した昼間の形は夜のよい眠りを支え、ふたつはおたがいを強めあいます。

いきなりではなく、少しずつ

全部を1日でもとにもどす必要はありませんし、そうしようとすると逆効果になることもあります。保育園や仕事が始まるまで1日か2日の余裕があるなら、帰った最初の夜にむりやりリセットするのではなく、その日数を使って寝る時間と食事の時間を少しずつもとにもどしましょう。毎日少しずつ早めていく段階的なもどし方のほうが、急なゆりもどしより、小さな子にはやさしいことがよくあります。旅のあとのリズムの立てなおしは、1回のできごとではなく、ひとつの道のりです。

つながりなおし、安心させる

実際のリセットと並行して、帰ってきた子にはいつもより少し多めの安心が必要なことがよくあります。新しい環境、乱れた眠り、あわただしい帰宅で、小さな子は落ちつかず、つながりをほしがっていることがあります。家でのなじみの遊び、抱っこ、お気に入りの絵本など、落ちついた、急がないふたりの時間を組みこんで、お子さまが家と大人の安心に、もう一度いかりをおろせるようにしましょう。この気持ちのうえでの落ちつきなおしは、時間割と同じくらい大切で、全体のもどりを早めてくれることもよくあります。

自分の期待も、リセットする

大人ももとにもどる途中で、たぶん旅で疲れていることを思いだしておきましょう。最初の数日は、自分にもお子さまにも、やさしくしてください。できれば予定は軽めにし、帰ってきた週に大変な用事をつめこまず、みんなが足場を取りもどすまでは完璧なおぎょうぎを期待しないこと。落ちついた、プレッシャーの少ない帰り方のほうが、いそがしく急いだ帰り方より、お子さまは早く落ちつきます。

ゆるんだ習慣を立てなおす

旅でゆるむのは、眠りだけではありません。画面の時間がのびていたり、ごほうびがあたりまえになっていたり、大人のベッドで寝ることやどこへでも抱っこされることになれた子が、それを手ばなしたがらなかったりすることもあります。お子さまがおしかえしてくるかもしれないと受けとめながら、最初の1週間で、やさしく、親切に、いつもの線引きへもどしていきましょう。もとのふつうを取りもどしてくれるのは、対決ではなく、一貫性です。

もとにもどるだけの話ではないとき

旅のあと数日、ふるまいや眠りが落ちつかないのは予想どおりで、やがておさまります。ただ、リズムがずれているだけでなく本当に具合が悪そうなときは、もっとよく見てください。熱、発疹、おなかの不調、飲みや食べのわるさ、いつもとちがうぐったり感は、とくに海外旅行のあとなら、注意が必要です。こうした症状が出たときや、ほどよい時間がたってもいつものお子さまにもどらないように見えるときは、ただの時差ぼけだと思いこまずに、医療機関に相談するのがかしこい判断です。

ここを大切に: でこぼこの数日は覚悟して、まずはいつもの寝る前の流れで眠りを整えましょう。時差ぼけには日の光を、毎日のリズムはやさしく立てなおして。

NHS, Jet lag

WHO, Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5 years of age