かばんを占領しない、旅のシンプルなおもちゃ
旅の前には、飽きたときのためにおもちゃ箱の半分をつめこみたくなるものです。でも、うまくいったためしがありません。大きくてかさばるおもちゃは荷物を重くし、音の出るものはみんなをいらいらさせ、それでも小さな子はけっきょく、座席のテーブルやシートベルトの金具のほうに夢中になります。小さな子のための旅のおもちゃは、小さくて、軽くて、静かで、遊び方の決まっていないもの、ポケットに入って、長く楽しめるものがいちばんです。よく選べば、ほんのひとにぎりが、ぱんぱんのかばんに勝ちます。
少ないほうが、本当にいい
意外なことに、おもちゃは少ないほうが、たいてい長く夢中になります。10個をいっぺんに出すと、小さな子はあっちこっちに目移りして、数分で全部に飽きてしまいます。一度にひとつ出して、興味がうすれたら取りかえれば、同じ小さなコレクションが何時間ももちます。これが旅の楽しませ方の黄金ルールです。小出しにして、入れかえる。手もちのほとんどはかくしておいて、ひとつずつ取りだせば、ひかえめなセットでもいつまでも新しく感じられます。
いい旅のおもちゃとは
何かを選ぶ前に、何をさがしているのか知っておくと役立ちます。小さな子にとって理想の旅のおもちゃは、かばんを占領しないよう小さくて軽く、まわりに迷惑をかけたり刺激が強すぎたりしないよう静かで、なくしにくいか、なくしてもさほど困らず、いくつもの遊び方ができるものです。電車の床にちらばる小さな部品が何十個もあるものは、お店でどれほど魅力的に見えても、見せかけの友だちです。
ぺたんこにつめられる、コンパクトなセット
ほとんど場所をとらないもので、すばらしい旅のセットがつくれます。
- シールと小さなノート。くり返し使えて、静かです。
- クレヨンか色鉛筆を少しと、小さなメモ帳。
- 飛行機や車の窓に貼れる、くり返し使える窓用のシール。
- マスキングテープをひと巻き。貼ってはがして道路をつくってと、思いのほか活躍します。
- 小さな人形かミニカーを2、3個。
- 短くてなじみのあるボードブックを1、2冊。
- なかま分けしたり、数えたり、名前を言ったりできる小さなものを入れた巾着袋。
どれも重くなく、音も出ず、合わせれば移動のほとんどをカバーできます。
ひとつの使い道より、いろいろな使い道
ひとつのことしかできないおもちゃはすぐに飽きられ、いろいろな使い方ができるおもちゃは楽しみが続きます。小さな容器のねんどなら、つぶして、のばして、かくして、形にして、と百回でも遊べます。重ねカップは、タワーにも、入れ子にも、帽子にも、乾杯ごっこにもなります。小さな布は、おもちゃの毛布にも、いないいないばあの幕にも、マントにもなります。場所がかぎられているときは、ひとつの仕掛けしかないものより、こうした自由で想像力まかせのものを選びましょう。その日のお子さまの気分に合わせてくれます。
ひさしぶりのおもちゃと、手づくりおもちゃ
新しいといっても、買ったものである必要はありません。数週間見ていなかったおもちゃを戸棚のおくからそっと出してくれば、まっさらのように感じられて、お金もかかりません。家にあるもので、すばらしい旅のおもちゃもつくれます。ウェットティッシュの空き箱とカードでつくるポストごっこ、カラカラ鳴ってそそぐこともできる乾燥マカロニ入りのボトル、家族の写真でつくった手づくり絵本。小さなものを2、3個紙で包んでおけば、あけること自体がゲームになり、退屈した小さな子のペースがぐっと落ちます。
びっくりは、大変な区間のためにとっておく
おもちゃそのものと同じくらい、タイミングが大切です。すわったとたんに全部渡してしまうと、おくれが出たときやかんしゃくがふくらんできたときに、何も残っていません。まだ見せていないものを1つか2つ、本当にきつい区間のためにとっておきましょう。長い列、ドライブの最後の1時間、みんなが疲れているフライトの後半。ちょうどいい瞬間に取りだす新しいびっくりは、早すぎるタイミングで渡す10個のおもちゃに匹敵します。
お金のかからない楽しみも忘れずに
いちばんの気分転換のいくつかはおもちゃですらなく、かばんの場所もいりません。歌、手遊び歌、「なにかな、みーつけた」、数あそび、流れていく景色の実況だけで、大人の声ひとつで小さな子は長い区間を乗りきれます。窓そのもの、飛行機、バス、動物、ショベルカーは、しばしば手に入るいちばんのおもちゃです。こうしたものにたよれば、かばんは軽いまま、お子さまはものだけでなく、まわりの世界とつながっていられます。
なくしものと散らかりへの対策
旅はおもちゃにとってきびしいもので、犠牲が出ると思っておきましょう。座席の下に消えても悲しくないものだけを持っていき、お気に入りのぬいぐるみなど大事なものは、手もとにしっかり置いておきます。こぼれたものを吸ってしまうものより、ふけばきれいになるものを選び、こまかなものをまとめる小さな袋を用意しておけば、旅のおもちゃが荷物のすみずみまで旅をすることもありません。
そっと安心してほしいこと
おもちゃを全部忘れてしまっても、苦労して選んだセットが空ぶりしても、心配いりません。小さな子は、コップ、スプーン、大人の鍵、いないいないばあと、ほんの少しのもので自分を楽しませる天才です。おもちゃは心強い予備で、必需品ではありません。大人の関心とちょっとした想像力が、いつだってかばんの中のいちばんのものです。
ここだけ覚えて: 軽くて静かで遊び方の広がるおもちゃを、ほんのひとにぎり。ひとつずつ出して、びっくりを1つか2つ、いちばん大変な区間のためにとっておきましょう。