人混みで迷子にならないために。家族で決めておく迷子対策
にぎやかな市場、駅のホーム、お祭りの人波は、小さな子をあっというまにのみこんでしまいます。さっきまで手をつないでいたのに、次の瞬間には犬を見ようとしゃがみこみ、その間に人の流れがすき間をふさいでしまう。はぐれても、ほとんどは数分のうちに、何事もなく見つかります。でも、その数分は生きた心地がしません。家を出る前のほんの短い会話が、こわいパニックを、親子でたどれる計画に変えてくれます。
人混みで家族がはぐれやすいわけ
小さな子は、大人のひざの高さで生きています。人混みの上から大人をさがすことはできず、大人のほうも、足とベビーカーの林の中から子どもを見つけるのはかんたんではありません。しかも小さな子は危険の感覚がほとんどなく、おもしろそうなものにぐいぐい引きよせられます。そこに、さわがしさと疲れと、荷物をかかえた親が加われば、ちょっとはぐれるための材料は全部そろっています。それを口に出してみると助けになります。不注意なのではありません。だれにでもあるリスクに備えているのです。
着く前に、約束を決める
人混みでの安全計画のいちばんの中心は、それぞれが何をするかを、前もっていっしょに決めておくことです。小さな子が本当に覚えていられるよう、ふたつだけのシンプルな約束にしましょう。ひとつめ、「はぐれたら、その場で止まって動かない」。ふたつめ、「ママ(パパ)は、かならずさがしに行くからね」。その場でじっとしている子は、親をさがして歩きまわる子より、ずっと見つけやすいのです。
3歳か4歳の子なら、「助けてもらう大人」も加えられます。迷ったと思ったら声をかける人を教えておきましょう。制服を着てその場所で働いている人や、レジの中にいるお店の人、自分の子どもを連れたお母さんやお父さん。お説教ではなく、ゲームとして家で練習しておきます。
見つけやすく、説明しやすくしておく
出かける前に、その日着ている服のお子さまの写真をスマホでさっと撮っておきましょう。もしいなくなっても、あせりながら上着の色を説明するかわりに、何をさがせばいいか、そのままスタッフに見せられます。明るい色の服だと、広い場所でも見つけやすくなります。
お子さまのどこかに、大人の携帯電話の番号を書いておきましょう。迷子札、リストバンド、子ども用のシール、ポケットに入れたメモでもかまいません。大きめの子には、助けてくれる人にそれを見せるよう教えておきます。名前は、知らない人が読みあげられるところには書かないようにしましょう。自分の名前を呼ばれると、子どもは知らない大人をすぐに信じてしまうことがあるからです。
ふたりで思いうかべられる集合場所を
年中さんくらいの子や上のきょうだいには、入ったときに、わかりやすい目印をひとつ決めておきましょう。改札、噴水、大きな時計。「もしはぐれたら、ここで会おうね」とはっきり言います。入るときにいっしょに選ぶことで、本当の約束になります。どちらにするか迷わないよう、集合場所はひとつだけに。
はぐれてしまったら、最初の2分
お子さまがいないと気づいたら、声が許すかぎり落ちついて、同時にすばやく動きましょう。名前を呼び、まずは低いところを見ます。テーブルの下、屋台のうしろ、車輪のついたものや光るもの、動物の近く。待たずに、すぐいちばん近くのスタッフに声をかけてください。施設や駅、お店には迷子の対応の手順があり、館内放送を流したり出口を見はったりしてくれます。お子さまの年齢、服装、名前を伝え、撮っておいた写真を見せましょう。
まわりの人にも手伝ってもらいましょう。ほとんどの大人は、少しのあいだ出口を見はったり、すみっこを見わたしたりするのを、よろこんで手伝ってくれます。出口を見る目がふえるほど、子どもがだれにも見られずに動ける範囲はせまくなります。
こわがらせずに教える
いい計画に、おびえた子は必要ありません。道路のわたり方を話すのと同じように話しましょう。世の中は危険だらけだという警告ではなく、家族がするかしこいこととして。ごっこ遊びを使い、庭やリビングで「ぴたっと止まる」「助けてくれる人をさがす」の練習をしてみます。ほめるのは、こわがったことではなく、止まれたこと。落ちついて「自分はできる」と感じている子は、不安な子より、いい判断ができます。
助けを強めるタイミング
ひとりでさがすことから、助けを求めることへ、すばやく切りかえましょう。スタッフといっしょに数分さがしても見つからないとき、またはどの時点でも、建物の外に出てしまったかもしれない、水辺や道路、駐車場に近づいたかもしれないと心配になったら、急ぎの事態としてあつかってください。スタッフに警備員を呼んでもらい、110番に通報しましょう。直感を信じてください。早めに助けを求めても、心配しすぎだと思う人はいません。めったにない深刻なケースでは、何より時間が大切です。
あとで、ふり返る
もし少しはぐれてしまったら、みんなが無事になってから、やさしくふり返りましょう。お子さまがじょうずにできたことをほめ、「その場で待っていられたね、かんぺきだったよ」、うまくいかなかったことは、そっと直しておきます。何回かお出かけするうちに、この流れはあたりまえになり、人混みでの安全計画は、ただ家族がにぎやかな場所を動くときのやり方になっていきます。
ポイント: 人混みに出かける前に、子どもが覚えられる約束をふたつ。「その場で止まって動かない」「大人はかならずさがしに来る」。