ことばはわかっているのに、あまり話さない幼児

「くつはいて」と言えば玄関に走っていくし、「ゴミポイしてきて」もちゃんとできる。わかっているのは確かなのに、口から出ることばは少ない。「わかっているなら大丈夫」とも言われるけれど、本当に様子見でいいのか迷いますよね。出発点は、しぐさを本物のコミュニケーションとしてこたえること。話すことばは、伝える力のほんの一部です。わかっていること、しぐさ、声、発音、遊び、やりとりも、みんな伝える力。ここでのねらいは子どもに言わせることではなく、ふだんの姿を知って、成長や聞こえ、保護者の心配に応じて専門家につなぐことです。

ひと言でいうと

話せることより、わかることのほうが多いのはよくあることです。ただ、理解がしっかりしているように見えても、発音、ことば、聞こえのむずかしさがないとは言いきれません。しぐさ、同じものをいっしょに見る力、遊び、声の種類、まね、そして伝える力が着実に広がっているかを見ましょう。

実際にはどうするか

指さしたり物を持ってきたりしたらこたえ、そのサインに短いことばを添えましょう。聞こえの検査と言語聴覚士の評価で、得意なことと必要な支えがはっきりします。伸びが少ない、いらだちが強い、ほかにも伝える力の心配がある、できていたことができなくなった、といったときは、相談しましょう。

はじめに見ておきたいこと

わかること、言えること、伝わる場面とつまずく場面。しぐさ、遊び、発音の聞きとりやすさ、話のなめらかさ、家で使うどのことばも、できなくなったこともふくめて、具体的にメモしておきましょう。専門家に相談するのは、ネットに書かれた基準に届かないのを待つためではなく、客観的な材料をそろえるためです。

話すことを支える手順

  • しぐさを、本物のコミュニケーションとしてこたえましょう。
  • 子どものサインに、短いことばを添えましょう。
  • 自分から伝えようとすることが増えているかを、見ましょう。
  • 聞こえとことばの確認を、手配しましょう。

いつもの毎日で「しぐさを本物のコミュニケーションとしてこたえる」と「子どものサインに短いことばを添える」を続け、例を集めたら、小児科や言語聴覚士のところへ。相談中も、子どもにこたえるやりとりは続けましょう。ただ、家での練習を、聞こえや発達のチェックの代わりにしないことが大切です。

4つのステップのつながり

はじめに「しぐさを本物のコミュニケーションとしてこたえる」、次に「子どものサインに短いことばを添える」、その次に「自分から伝えようとすることが増えているかを見る」、最後に「聞こえとことばの確認を手配する」。子どものこたえをありのまま受けとり、役立つ次のことばや動きをひとつ見せるだけで十分です。言ってみせることは求めません。

家族や保育園と、そろえておくこと

家族や保育園とは、最初のふたつ、「しぐさを本物のコミュニケーションとしてこたえる」と「子どものサインに短いことばを添える」をそろえておきましょう。大人みんなが同じことばを使う必要はありませんが、子どもがわかりやすいこたえが返ってくるようにします。話すことばが育つ間は、どの大人も、しぐさと家庭で使うすべてのことばを数に入れましょう。

しばらく続けて、ふり返る

いつもの暮らしの中で、何回か最初のステップを試してみましょう。特別な1日で判断しないのがコツです。状況、子どものこたえ、家族の回しやすさを、短く記録しておきます。記録が負担になっては本末転倒です。

見直すときは、3つめのステップでの様子とくらべてみましょう。参加しやすくなった、わかりやすくなったことは続け、家族が続けられないことはシンプルにし、変えるのは一度に1つだけ。ただし、健康、安全、発達の心配があるなら、先に専門家の評価を受けましょう。

大人にできること、できないこと

観察すること、こたえること、専門家につなぐこと。ここまでが大人にできることです。診断を決めておくことも、ドリルを増やせば差が縮まると保証することもできません。発音、ことば、聞こえ、やりとりの力は重なるので、全体をとらえる評価が大切です。

安全と、子どもの尊厳を守る

できていた力が消えた、聞こえがあやしい、いらだちが強い、伝える力が伸びない。そんなときは、すぐに専門家へ。人前でのテスト、強制的なくり返し、ことばと引きかえの要求は避けましょう。状況がはっきりするまでの支援も、子どもの伝える力と尊厳を守るものに。

うまくいかなくなる理由

工夫をじゃましやすいのは、問題を出すほうが会話より多くなること、くり返しを要求すること、伝わっているしぐさを無視すること、伸びが止まっても待ちすぎること。こたえるやりとりと専門家の評価はそれぞれ別の仕事で、どちらも発表会にしないでください。

前進のしるし

数えるのは、言わせてみた1回ではなく、自然な理解、しぐさ、声、ことば、ことばの組み合わせ、聞きとりやすさ、参加の様子です。どこかが伸びたことは大事な情報ですが、別の面の心配がなくなったことにはなりません。

短いメモには、回数だけでなく、どんな場面でどう参加したかも書いておきましょう。そうすれば、あとで何かを決めるとき、言わせたテストではなく、ふだんのコミュニケーションをもとに考えられます。

専門家に相談したいとき

小児科や言語聴覚士に相談したいのは、理解、表現、発音、なめらかさ、人とのかかわりが進まないとき、聞こえがはっきりしないとき、いらだちが大きいとき、できていた力がなくなったときです。相談の前に診断や基準の確認はいりません。評価は、子どものすべてのことばをふまえて行われるべきです。

覚えておきたいこと

目指すのは、言うことをよく聞く子でも、完璧な家の日課でもありません。最初の一歩からはじめて、つながりと安全を守り、時間をかけて向かう方向を見守り、一般的な情報ではわからないときは、その子のための専門家の評価を活用しましょう。

ポイント: はじめは「しぐさを本物のコミュニケーションとしてこたえる」。続けられる形にして、どう変わったかを見直しましょう。

ASHA, Communication milestones

ASHA, Learning more than one language

CDC, Developmental milestones