幼児の吃音:保護者が知っておきたいこと
「ぼ、ぼ、ぼくね」「あのね、あのね、あのね」。ことばがどんどん増える2歳、3歳ごろ、急にことばがつかえはじめて、どきっとする保護者は少なくありません。出発点は、大人自身の話すペースをゆっくりにすること。伝える力には、ことばの数だけでなく、理解、しぐさ、声、発音、遊び、人とのやりとりがふくまれます。子どもに何かをやってみせてもらう必要はありません。ふだんのコミュニケーションを知り、気になるときは評価につなげましょう。
ひと言でいうと
ことばが急に伸びる時期に、音、音のかたまり、ことばをくり返す時期が出てくることがあります。大切なのは、ふつうの言いよどみをひとつひとつ数えることではなく、つかえかたの種類と続いている期間、体の力み、話すのを避ける様子、いらだち、家族歴です。
実際にはどうするか
あせらずに耳をかたむけ、自然に目を合わせ、話の中身にこたえましょう。「ゆっくり話して」「もう一回言って」とは言わないようにします。力んで苦しそう、力みが見える、つらそう、話すのを避ける、家族に吃音の人が多い、保護者が心配、といったときは、言語聴覚士に相談しましょう。
はじめに見ておきたいこと
くり返しの種類、どのくらい続いているか、体の力み、呼吸や声の変化、話すのを避ける様子、いらだち、家族歴、そして話しやすそうな場面を見てみましょう。「体の力みや話すのを避ける様子は、専門家に相談する」ほうが、言いよどみを全部数えたり、むずかしい文を言い直させたりするより、ずっと役に立ちます。
家でできる関わりかた
- 大人自身の話すペースを、ゆっくりにしましょう。
- 自然に、目を合わせましょう。
- 子どもが言い終わるまで、さえぎらずに待ちましょう。
- 体の力みや、話すのを避ける様子があれば、専門家に相談しましょう。
「大人自身の話すペースをゆっくりにする」ことと「自然に目を合わせる」ことで、会話のあわただしさをやわらげましょう。そして、ことばを先回りして言ったり、なめらかさを直したり、言い直させたりせず、最後まで聞きます。話の意味にこたえ、特別な支援が必要かどうかは言語聴覚士に判断してもらいましょう。
4つのステップのつながり
「大人自身の話すペースをゆっくりにする」が出発点。「自然に目を合わせる」「子どもが言い終わるまで、さえぎらずに待つ」と続けて、「体の力みや話すのを避ける様子は、専門家に相談する」で仕上げます。どの場面でも、子どもの反応をそのまま受けとめ、次の一歩をひとつ、お手本として見せてあげましょう。発表させる必要はありません。
家族や保育園と、そろえておくこと
最初の2つ、「大人自身の話すペースをゆっくりにする」と「自然に目を合わせる」だけは、家族や保育園とそろえておきましょう。同じことばでなくても、子どもがいつもわかるこたえを受けとれれば十分です。どの大人も、しぐさと家庭のすべてのことばを数に入れて、話す力が育つのを見守りましょう。
しばらく続けて、ふり返る
工夫の効果は、1日では見えません。いつもの場面で何度か試し、そのときの状況、子どもの反応、家族の暮らしへの影響を、観察が新しいプレッシャーにならない程度にメモしましょう。
しばらくたったら、3つめのステップの様子をふり返りましょう。うまくいったことは続け、無理のあることは軽くして、変えるのは一度に1つ。もし体調や安全、発達に心配があれば、家での工夫より先に、専門家の評価を受けてください。
大人にできること、できないこと
「自然に目を合わせる」ことは、大人がコントロールできることです。順番に話すことや、家族の会話のペースも同じです。けれど、言い聞かせで吃音やくり返しを消すことはできません。安心させるつもりでも、「ゆっくり話して」と言うことが、かえってプレッシャーになることがあります。
安全と、子どもの尊厳を守る
力み、苦しそうな様子、つらさ、話すのを避ける、家族に吃音の人が多い、保護者の心配がある、といったときは「専門家に相談する」ことです。それまでの間も、からかわれないように守り、人前で話させることは避け、なめらかに話せるまで手助けや注目をお預けにすることは決してしないでください。
うまくいかなくなる理由
工夫をはじめても、会話より質問が多くなる、言い直しを求める、わかっているしぐさをわからないふりをする、停滞しているのに待ち続ける、といったことで台なしになりがちです。日々のやりとりと専門家の評価は別の役割で、どちらもテストではありません。
前進のしるし
くり返しの回数だけでなく、話しやすさ、話したい気持ち、体の力み、参加の様子に目を向けましょう。つかえることがあっても、話すことはだんだん楽になっていくことがあります。苦しそうな様子や避ける様子が強くなるときは、早めに専門家に相談しましょう。
メモは、回数よりも、場面と参加のようすが大切です。そうしておくと、のちの判断が、うながされたテストではなく、日常のコミュニケーションを反映したものになります。
専門家に相談したいとき
理解や表現、発音、なめらかさ、やりとりの力が伸び悩んでいる、聞こえに不安がある、いらだちが強い、何かの力が消えた、といったときは、小児科や言語聴覚士へ。相談に、診断名も、正確な基準での不合格も必要ありません。評価には、子どもが使うすべてのことばを反映してもらいましょう。
覚えておきたいこと
完璧な子どもや、完璧な家庭の流れを目指す必要はありません。最初の一歩をふみ出し、つながりと安全を守り、変化の方向をじっくり見守り、一般的な情報だけでは見えないときは、その子に合った専門家の評価を受けましょう。
ポイント: 「大人自身の話すペースをゆっくりにする」からスタートし、できる形に整えて、変化を確かめていきましょう。
ASHA, Communication milestones