発音の遅れと、ことばの遅れはどう違う?
「ことばが遅いかも」と感じたとき、実は2つの違うことが混ざっていることがあります。音をはっきり出すことの問題と、ことばを理解したり使ったりすることの問題です。出発点は、実際のコミュニケーションの例を書きとめること。ことばの力は、話せる単語の数だけでははかれません。わかること、しぐさ、声、発音、遊び、人とのやりとりまでふくめて見ていきましょう。言わせることが目的ではなく、ふだんの伝えかたを知り、成長や聞こえ、保護者の心配があれば評価につなげていくことが大切です。
ひと言でいうと
発音(スピーチ)は、声と口を使って、音をはっきり、なめらかに出すことです。ことば(ランゲージ)は、単語や文、意味を理解して使うことです。子どもによって、どちらか一方、両方、あるいは人とのやりとりなど、伝える力の別の部分にむずかしさがあることもあります。
実際にはどうするか
相談する前に、正しい呼び名を選ぶ必要はありません。子どもが何をわかっているか、何を言えるか、伝わらなかったときにどうするかを伝えましょう。言語聴覚士の評価と聞こえの検査のほうが、ネットでの比較よりずっと正確にパターンを見つけてくれます。
はじめに見ておきたいこと
子どもがわかっていること、言えること、伝わったときとうまく伝わらなかったときの様子を書きとめましょう。しぐさ、遊び、発音のはっきりさ、なめらかさ、家庭で使うすべてのことば、できなくなった力があれば、それもふくめます。専門家への相談は、ネットの細かい基準に届かないのを待ってからではなく、客観的な情報を加えるためにするものです。
違いを整理する手順
- 実際のコミュニケーションの例を、書きとめましょう。
- わかる力と、音を出す力を分けて見ましょう。
- ネットのチェックリストで、診断しないようにしましょう。
- 評価には、聞こえの検査もふくめましょう。
ふだんの生活の中で「実際のコミュニケーションの例を書きとめる」と「わかる力と、音を出す力を分けて見る」を続け、気づいた具体例を、小児科や言語聴覚士との相談に持っていきましょう。相談の間も、楽しいやりとりは続けます。家での練習は大切ですが、聞こえや発達の確認に取って代わるものではありません。
4つのステップのつながり
流れはこうです。まず「実際のコミュニケーションの例を書きとめる」。それから「わかる力と、音を出す力を分けて見る」、続いて「ネットのチェックリストで診断しない」。そして「評価には聞こえの検査もふくめる」。子どもがどうこたえても受けとめ、役に立つ一歩をお手本で見せましょう。言わせようとしないことが大切です。
家族や保育園と、そろえておくこと
「実際のコミュニケーションの例を書きとめる」と「わかる力と、音を出す力を分けて見る」を、家族や先生との共通の一歩にしましょう。ことば選びは人それぞれでかまいませんが、子どもには毎回わかりやすいこたえが返るように。話しことばが伸びていく間は、しぐさや家で使うどのことばも、立派な伝える力として数えてください。
しばらく続けて、ふり返る
ふだんの数回の場面で、最初のステップを試してみましょう。たまたま楽だった日や大変だった日だけで決めないことが大切です。状況、子どものこたえ、家族の暮らしへの影響を、負担にならない短さで書きとめておきます。
ふり返るときは、3つめのステップと照らし合わせてみましょう。参加が安全に、はっきりしてきたことは残し、家で続かないことはシンプルにし、一度に変えるのは1つだけ。健康、安全、発達の心配があるなら、まず専門家にみてもらいましょう。
大人にできること、できないこと
大人にできるのは、観察し、こたえ、専門家への相談を手配することです。けれど、診断名を前もって決めることも、練習を増やせば差がうまると約束することもできません。発音、ことば、聞こえ、人とのやりとりの力は重なり合うことがあるからこそ、子ども全体を見る評価が役に立つのです。
安全と、子どもの尊厳を守る
できていたことができなくなった、聞こえがはっきりしない、強いいらだちがある、伝える力が伸びていない、といったときは、すぐに専門家に相談しましょう。人前でのクイズ、無理に言わせること、ことばが出るまで必要なものを渡さないことは避けます。様子をはっきりさせる間も、支援は伝える力と子どもの尊厳を守るものであるべきです。
うまくいかなくなる理由
せっかくはじめた工夫も、話しかけるより質問ばかりになる、くり返しを求める、はっきりしたしぐさをわからないふりをする、伸びが止まっているのにいつまでも待つ、といったことでくずれてしまいます。こたえるやりとりと専門家の評価は役割が違い、どちらも発表の場にしてはいけません。
前進のしるし
自然に出る理解、しぐさ、声、ことば、ことばのつながり、発音、参加を数え、1回だけ言わせた結果では判断しないようにしましょう。ひとつの面での前進はうれしい情報ですが、ほかの面での心配を打ち消すものではありません。
書きとめるときは、頻度だけでなく、場面と、子どもがどう参加していたかも。次の判断をするとき、言わせた1回ではなく、ふだんの伝えかたにもとづいて決められます。
専門家に相談したいとき
次のようなときは、小児科や言語聴覚士に相談しましょう。わかる力、伝える力、発音、話のなめらかさ、人とのやりとりが進まない。聞こえがはっきりしない。いらだちが強い。できていたことができなくなった。診断名や基準からの遅れがはっきりしていなくても、相談していいのです。評価は、家庭で使うすべてのことばをふまえてもらいましょう。
覚えておきたいこと
大切なのは、従順さでも完璧な日課でもなく、子どもとのつながりです。最初の一歩からはじめ、安全を守り、時間をかけて流れを見て、一般的なガイドで答えが出ないときは、その子のための専門家の評価を使いましょう。
ポイント: 最初の一歩は「実際のコミュニケーションの例を書きとめる」。家族が続けられる形に整えて、何が変わったかを見直しましょう。
ASHA, Communication milestones