身近な物でスタンプ遊び。もようをつくって楽しむ
スタンプは、小さな子にとっていつまでもあせない小さな魔法です。ふつうの物を絵の具にひたして押すと、思いがけず形があらわれる。特別なスタンプも高いキットもいりません。いちばんすてきなもよう遊びは、台所の引き出しや資源ごみの中の物から生まれます。何度でも跡をつけられる道具に変身させるのです。
スタンプが小さな子をひきつける理由
スタンプは、すぐに、何度でも結果が出るので、小さな子にとって深い満足があります。ひと押しごとにくっきりした形が出て、技術はほとんどいらないので、お絵かきのようなもどかしさがあまりありません。くり返すうちに、もよう、同じものを合わせる、「こうすると、こうなる」の考えの芽も育ちます。押して、結果を見て、また押す。自分の動きがかならず結果を生むと学びます。そのシンプルなくり返しが夢中を保ち、静かに自信を育てます。
家にある安全な物
おもしろい形や手ざわりがあり、こわれる小さな部品がない物を探しましょう。半分に切ったじゃがいも、れんこん、ピーマン、コップの底、糸巻き、フォーク、かたまりに切ったスポンジ、ラップの芯、プチプチ、ペットボトルの底。どれもきれいに写ります。ざるの裏や、もようのあるマットのような台所の物も、もようをくれます。じょうぶで持ちやすい物を選べば、にぎり方を覚えている最中の小さな手でも楽しめます。
かんたんに始める準備
準備はすぐです。水で落ちる絵の具を平らなお皿にうすくのばすか、トレーのスポンジにしみこませれば、スタンプ台のかわりになり、物をまるごとどぶんとつけることもありません。じょうぶな紙を広げ、選んだ物を絵の具に押してから紙に押してもらいましょう。絵の具をうすくしておくと汚れが少なく、跡もきれいに出ます。下にふける面、子どもに古いシャツを着せれば準備完了です。
もようは子どもに見つけてもらう
「もよう」と言うとお勉強のように聞こえますが、遊びのままにしておきましょう。きれいなくり返しの列をつくるよう指示するのではなく、好きなところに押させて、何が出てくるか見ます。紙をうめつくす子、ていねいに一列に並べる子、ひとつの形を100回押す子。どれもすてきです。もようがあらわれたらいっしょに気づけばいいけれど、発見は子どものもの。大人が押しつけるきまりではありません。
気づいたことを話す
やさしい実況が夢中を保ち、ことばを育てます。「コップは丸になったね」「フォークは細い線が残ったね」「スポンジの跡はもこもこしてる」。形や手ざわり、くり返しの名前を口にすると、テストにせずに、数やことばの芽が楽しさのなかに織りこまれます。全体が何なのか聞くのはやめて、跡そのものを言いましょう。スタンプする楽しい過程に、注意が向いたままになります。
形だけでなく、手ざわりも
スタンプは、すべすべとざらざら、でこぼこと平らのちがいを感じるすてきな方法です。プチプチは水玉に、丸めたアルミホイルは不規則なもように、葉っぱは繊細な葉脈を残します。1回に少しずついろいろな手ざわりを出すと、比べて選べます。この感覚の楽しさが体験を深め、市販のスタンプだけではない、ゆたかさをくれます。
覚えておきたい安全のこと
スタンプ遊びは危険の少ない遊びですが、いくつか確かめておきましょう。絵の具のついた指はよく口に入るので、安全性の表示があり水で落ちる絵の具を。出す物は、のどにつまらない大きさで、とがったふちやはずれる部品がないものに。ずっと見守り、洗剤が入っていた物はしっかり洗ってからでないと使わないで。肌が敏感で絵の具に反応が出たら、中止して洗い流し、おさまらなければ薬剤師やかかりつけ医に相談しましょう。
汚れは扱える範囲に
スタンプは、絵の具がたれずに物にとどまるので、自由に塗る遊びより片づけがらくですが、少し準備すると安心です。かたい床かふけるマットの上で、絵の具はうすく、ぬれぶきんを用意して。終わったら物をふいたり、お皿をすすいだりを子どもに手伝ってもらえば、片づけも遊びの一部になります。片づけがいっしょで早く終われば、またスタンプを出したくなります。
道具は洗って、入れかえて
家の物を使ったスタンプのいいところは、道具はただで、洗って何度でも使えることです。お気に入りのスタンプ用の物を小箱にまとめて絵の具といっしょに置き、ときどき新しく見つけた物を入れて新鮮に。ある週はラップの芯、次はもようのあるマット、その次は半分のりんご。このゆっくりした入れかえで、市販のキットがなくてもずっとおもしろいままです。
子どもが持ちかえるもの
形でいっぱいの紙の先に、スタンプは、ふつうの物にかくれた可能性があること、自分が押すことで形のある何かが生まれることを教えます。もようへの気づき、しっかりした手、何度でもうまくいくことからくる自信が育ちます。そして何より、かんたんで、安くて、楽しくて、まるごと子どもが主役。だからこそ、ふつうの午後に用意する価値があります。
ポイント: 身近な安全な物をうすい水で落ちる絵の具にひたして、自由に押す。形や手ざわり、自分だけのもようを子どもが見つけていきます。