じっとしていられない子のための、体を大きく使うお絵かき

小さな机にすわって、ていねいに線を描くことがどうしてもできない子がいます。それでまったく問題ありません。動きたい幼児に、細かい工作はおたがいのイライラのもと。答えは造形をあきらめることではなく、大きくすることです。体全体を使って塗り、描き、つくる遊びは、元気な子の多くがいちばん力を出せるやり方です。

大きなお絵かきが元気な子に合う理由

エネルギーがあふれている子は、それを小さく正確な作業におさめるのに苦労します。体を大きく使う造形なら、今のその子に合わせられます。大きな紙に筆を大きく走らせる、イーゼルのいちばん上にのびる、紙の道をドンドン歩く。動きたくてうずうずしている大きな筋肉を使います。動きたい気持ちとたたかうのではなく、流れをつくってあげるのです。おさえつけられず心地よいから、創造があふれてきます。

描く面を大きく

いちばん大きな変化は、紙の大きさです。床に長く広げたり壁にテープでとめたりした模造紙やロール紙が、遊びをまるごと変えます。上をはいはいし、端から端まで塗り、腕を自由に使えます。大きな段ボール箱や古いシーツも使えます。体を使う造形には広さが大切。床をひと区画あけるか、もっといいのは、汚れが気にならない外へ出ることです。

体全体を使うアイデア

つくることに動きを組みこむ方法はたくさんあります。フェンスに紙をとめて、立ったまま塗る。ひもをつけたスポンジを絵の具にひたしてふりまわし、跡をつける。うすめた絵の具を霧吹きに入れて、にぎってねらう。小さな手も強くなります。足型や手形、トレーの中で絵の具をつけたボールを転がすのも。テラスにチョークなら、大きくのびのびした線が生まれます。どれも造形を、体を動かす遊びに変えます。

できるだけ外で

外なら、大きな造形のふたつの壁、広さと汚れが解決します。壁、テラス、フェンス、地面のひと区画があれば、しぶきのたびにひやひやせずに子どもは動きまわれます。水や水で落ちる絵の具は、ホースや次の雨で流れます。外なら声を出し、跡から跡へ走り、体を思いきり使えます。いちばんうれしい瞬間は、そんなときに生まれることが多いものです。

造形と体を動かす遊びを合わせる

つくることと動くことを分けなくてかまいません。絵の具のコーナーを置いて、そこまで走って行って帰ってくるようにすれば、ひと塗りごとに庭をひとっ走り。模造紙に大きな道を描いて、ミニカーで絵の具の上を走らせる。シーツをつるして、絵の具をふくませたスポンジを的に投げる。一か所にいられない子には、造形と動きをまぜるのがぴったりで、ずっと長く夢中になれます。

汚れは、ここまでと決める

大きな造形はもともと汚れやすいので、さけるより計画しましょう。汚れてもいい服、暖かい日ならおむつだけ、ふけるシート、水で落ちる物で、ストレスは小さくなります。かたい床か芝生の上で、カーペットは避けて。さっと洗えるように、水を入れたバケツとふきんを近くに。汚れるつもりで準備すれば、大人も気楽になって、子どもを思いきり大きく遊ばせられます。それこそが目的です。

体を使う造形の安全

体を大きく使う造形には、それなりの小さな危険もあります。ぬれた絵の具や水で床がすべりやすくなるので、まわりを片づけ、こぼれたらすぐにふいて転倒を防ぎましょう。元気な子がつまずきそうな壁やフェンス、かたい面の近くでは見守りを。安全性の表示があり水で落ちる絵の具を使い、霧吹きは顔や目に向けないように。水を使うときはしっかり見守ってください。浅い水でも大人がそばにいることが必要です。外で長く遊ぶときは日焼け対策も。

きれいな仕上がりは手放す

体全体で描く造形が、きれいな絵になることはめったにありません。そもそもそれが目的ではないのです。子どもは絵の具まみれになって、楽しいめちゃくちゃの紙を1枚見せてくれるかもしれません。価値は動きと感覚の体験と、純粋な楽しさにあって、額に入れたくなる仕上がりにはありません。できあがりへのこだわりをゆるめられれば、ふたりともずっと楽しめて、元気な子は自分のつくり方が歓迎されていると感じられます。

体の発達も支える

大きく体を使う造形には、おまけもあります。のびる、体の中心をこえて手を動かす、にぎる、バランスをとる。そのすべてが、のちにすわっていること、鉛筆を持つこと、字を書くことを支える力と協調を育てます。元気な子は、大きな動きをたっぷりしたあとのほうが、指先を使う作業に前向きに向かうことがよくあります。大きくてしぶきの飛ぶ時間は、就学の準備から遠ざかることではなく、その土台をそっとつくっているのです。

くり返しやすく

準備はロール紙と水で落ちる絵の具だけとシンプルなので、何度でも出せます。買い足すより、やり方を入れかえて。ある日はスポンジ、次は霧吹き、その次は足型。地面に広げた大きな紙はなじみのお気に入りになり、元気な子のほうからせがむようになるでしょう。そわそわしたエネルギーを創造に変える、たのもしい方法が手に入ります。

ポイント: 元気な幼児には、大きな面と、立って塗る、絵の具のボールを転がすなど体全体の造形を。動きと創造がいっしょに働きます。

NHS, Physical activity guidelines for children (under 5 years)

AAP HealthyChildren, The power of play