近所をぐるっと「きいろ、みーつけた」。2歳と色のお散歩
お金もかからず、計画もいらない最高の外遊びがあります。色のお散歩も、そのひとつです。色をひとつ決めて玄関を出て、ゆっくり歩道を歩きながら、その色をいっしょにさがす。赤い車、赤いドア、赤い木の実、赤いれんが、赤いポスト。2歳の子にとって、これはゲームのふりをしたおべんきょうではありません。本当にゲームで、学びは横からそっとついてきます。
シンプルな色遊びが、こんなに役立つわけ
小さな子は、世界に名前をつけて、分けることで理解していきます。色は、子どもが頭の中にとどめておける最初のまとまりのひとつです。色のお散歩は、その本能に行き先をくれます。お子さまが何かを見つけて大人が名前を言うたびに、ことばが本物のものと本物の瞬間にむすびつきます。早い時期の語彙が身につくのは、まさにこういうときです。
起きているのは、ことばだけではありません。ひとつの色をさがして通りを見わたすのは、注意力の早い時期の練習です。考えを頭にとどめ、合わないものをふるい落とし、見つかるまでやりつづける。とちゅうで止まったり動いたり、しゃがんでのぞいたり、手をのばして指さしたり。そのどれもが、お散歩にやさしい毎日の体の動きを足してくれます。
考えすぎずに始める
出かける前に色をひとつ決めましょう。すぐに見つかるよう、よくある色がおすすめです。「今日は、きいろをさがそうね」と、することをわかりやすいことばで伝えます。それから、ゆっくり出発。大人の速さで歩く色のお散歩は、もう色のお散歩ではありません。のんびりぶらぶらする気があるからこそ、うまくいくのです。
お子さまの指についていきましょう。何かを指さしたら、いっしょに名前を言います。紺色を「あお」、うすむらさきを「むらさき」と言っても、張りきって直したくなる気持ちはおさえて。この年ごろは、だいたい合っていれば大成功です。正確さより、楽しい気持ちのほうがずっと長く続けさせてくれます。
成長に合わせて、遊びを育てる
小さめの子なら、お出かけのあいだずっと1色でじゅうぶんです。自信がついてきたら、広げてみましょう。赤いものがいくつ見つかるか数えたり、「赤いものたちは赤いパーティーに行くんだって。ほかにだれが来るかな?」とおはなしにしたり。大きめの子は自分で色を選ぶのが好きで、それはお散歩の主導権を、そっとお子さまに手わたすことにもなります。
シンプルさをなくさずに、ほかのアイデアを混ぜることもできます。自然の中にある色と、建物や車の色に気づく。秋の葉っぱは緑だけでなく、黄色や茶色や赤にもなると指さす。色のお散歩は、基本のリズムになれてきたら、形でも音でも大きさでも、ほとんどなんでもかけられる、自由な枠組みです。
快適に、安全に
楽しいお散歩は、快適なお散歩です。期待した天気予報ではなく、その日の天気に合わせて服を選び、明るい季節には帽子、日かげ、日焼け止めを使って、水を持っていきましょう。色のお散歩では道の向こう側のものを指さすことが多いので、早めにかんたんな約束をしておきます。「目で見るだけ」「歩道のふちでは手をつなぐ」「何かを取りに車道へ出ない」。お子さまを車から遠い建物側に歩かせると、わくわくして飛びだしそうになるたびに大人がひやっとすることもなく、子どもは自由に見わたせます。
しゃがんだりかがんだりしやすい靴をはかせましょう。いい色のお散歩では、まっ黒な柵や、すき間に生えたあざやかな草をのぞきこもうと、何度も低くかがむからです。動きやすい服なら、お子さまはぐずらずに探検できます。
興味がうすれてきたら
小さな子は長いゲームに向いていません。それはまったくふつうのことです。きいろいものを4つ見つけたところで飽きても、お散歩はちゃんと役目をはたしています。そこでおしまいにするか、色を変えるか、ゲームはすっぱりやめて、ただ外にいることを楽しみましょう。疲れた子にさがしつづけさせると、すてきな習慣が、だれも望まない言いあらそいに変わってしまいます。目的は、いっしょに楽しく過ごす数分間で、チェックリストを全部うめることではありません。
お子さまがずっと先頭に立って、休みなくおしゃべりする日もあれば、ほとんど乗ってこない日もあります。どちらでもかまいません。価値は、1回のお出かけが完璧にいくことではなく、見て、名前を言って、動くことを、プレッシャーなしにくり返すところにあります。
発達について、そっとひと言
色に気づいて名前を言えるようになる時期は子どもによってちがい、こまかな色の区別は、たいてい幼児期の後半までかかります。色のお散歩は楽しさとつながりのためのもので、評価のためではないので、合格ラインはありません。ただ、名前を呼んでもめったに反応しない、興味のあるものを伝えようと指さすことがほとんどない、大人が指さしたものが見えにくそう、と感じるなら、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんに伝えておくといいでしょう。早めの相談は、おそくなってからより、いつでも気が楽です。安心できるひと言だけで終わることも多いものです。
何より、これは手軽に「うまくいった」と思える遊びのひとつにしてください。色がひとつ、ゆっくりした道、好奇心いっぱいの子ども。それでじゅうぶんです。ほかのことは全部、好きなときに足せるおまけです。
これだけで大丈夫: よくある色をひとつ決めて、ゆっくり歩き、お子さまが指さしたものに名前をつけましょう。楽しくなくなったら、そこでおしまいに。