道具なしで楽しむ、幼児とのバードウォッチング
小さな子と鳥を楽しむのに、双眼鏡も図鑑も、森へ出かける必要もありません。鳥のほうからやってくるからです。屋根にとまり、公園をぴょんぴょん歩き、パンくずを取りあってけんかをし、私たちがまだ寝ぼけているうちから鳴きはじめます。幼児にとっては、そんな毎日のドラマだけでじゅうぶん。ここで育てたいのは、鳥の名前を覚える力ではなく、注意を向ける力です。立ちどまって見上げると、世界は思っていたよりずっとにぎやかだと気づく。その習慣です。
鳥が幼児にぴったりな理由
鳥は動き、声を出し、子どもにも身に覚えのあるふるまいをします。ごはんを食べ、けんかをし、ひなの世話をし、びっくりすると飛んでいく。見て話すことには事欠きません。しかもスズメやハト、カラスはどこにでもいるので、ほぼどこでも続けられる興味になります。これが大事な点です。道具なしのバードウォッチングがうまくいくのは、始めるためのハードルが何もないから。買うものも、覚えることも、特別な行き先もないので、ごくふつうの朝にふと始められます。
まずは窓から
いちばんかんたんな入り口は窓です。木や屋根、庭、空の見える窓をひとつ選び、ふたりで外をちらっと見る習慣をつくりましょう。「何が見える?」「動いているものはある?」と聞いてみてください。ハト、スズメ、カラス、ムクドリ、季節によってはメジロまで、驚くほどいろいろ通りすぎていきます。家の中から見るのは暖かく静かで、何度でもくり返せます。外でガラスに顔をくっつけているより、警戒心の強い鳥も近くまで来てくれます。窓辺のお気に入りのいすが、そのまま特等席になるかもしれません。
目と同じくらい、耳も使う
バードウォッチングの多くは、じつは「バードリスニング」です。外に出てじっと立ち、お子さまに目をつぶってもらって、ちがう音がいくつ聞こえるか数えてみましょう。車の音が落ちつくと、特に朝早くは、鳥の声がいちばん大きく聞こえることがよくあります。声がどちらから聞こえるかを当てて、それから歌い手をさがす。そうするとお散歩がやさしいゲームになり、耳と待つ力が同時にきたえられます。名前はわからなくてかまいません。「この子はチュンチュン、あの子はカーカー」と気づけばそれでじゅうぶんです。
見つけやすい、かんたんなポイント
この年ごろは、種類の名前より「何をしているか」をさがすほうがやさしく、楽しめます。ぴょんぴょん跳ねる鳥と、てくてく歩く鳥。地面をつついている鳥、くちばしに何かくわえている鳥、水たまりで水浴びしている鳥。大きい鳥と小さい鳥、群れで来る鳥にも目を向けてみましょう。「ごはんをさがしているのかな、おうちをつくっているのかな、あったまっているのかな」と声に出してふしぎがってみてください。答えのない問いはことばを育て、想像をふくらませます。この年齢では、正しい名前よりそちらのほうがずっと大切です。
鳥に近くへ来てもらう工夫
ほんの少しの工夫で、鳥を呼ぶこともできます。窓辺やベランダ、地面の一角に、パンくずやオートミール、鳥用の種を少しまいておくと、数日でお客さんが来ることがよくあります。毎日のぞくのが、お子さまの楽しみな小さな習慣になります。浅いお皿に入れた新しい水も、とくに暑い日や凍える日には喜ばれます。えさをさわったあとは手を洗い、えさ場は清潔に保ちましょう。汚れたえさ台は鳥のあいだで病気を広げることがあります。ネズミを呼ぶような食べ物は置かないこと、マンションのベランダや共有の場所でえさをやるときは、管理規約や地域のルールを確かめることも忘れずに。
家族の習慣にしていく
自然への興味の多くと同じで、鳥もくり返すほど楽しくなります。冷蔵庫に紙を貼って、その週に見つけた鳥の数を正の字で数えてもいいし、名前を調べるかわりに見た鳥を絵に描いてもいいでしょう。いつも来る鳥に、家族だけのあだ名をつけるのもおすすめです。そのうちお子さまは同じ顔ぶれを見わけ、新顔に気づくようになります。それこそが、育ってきたちゃんとした観察力です。きちんと計画する必要はありません。通りがかりに窓の外を10秒見るだけでもカウントします。じっくりより、こまめに。それがいちばんです。
双眼鏡は、もっとあとでいい
急ぐことはありませんが、お子さまの興味が続くようなら、4歳か5歳ごろに手ごろな子ども用の双眼鏡があると、ぐっとわくわくが増します。それまでは、両手を丸めて目に当てる「エア双眼鏡」で一点をじっと見るのも楽しい代わりになります。これをお伝えするのは、安心してほしいからです。シンプルに始めたことで、何も損はしていません。道具はあとから足せるおまけで、必要なものではありません。生涯の鳥好きの多くも、窓ひとつと、となりにいた好奇心いっぱいの大人から始まっています。
健康のために、少しだけ
とても安全な遊びですが、いくつか習慣にしておきたいことがあります。鳥は見るだけで、追いかけたり、つかまえたり、手からえさをあげたりはしないと教えましょう。鳥のためでもあり、野鳥は菌を持っていることがあるからでもあります。えさやえさ台をさわったあとと、食べる前には必ず手を洗いましょう。弱った鳥や死んだ鳥を見つけたら、お子さまにはさわらせず、もしふれてしまったら手を洗います。この小さな約束で、楽しさを安心して続けられます。
覚えておきたいこと: 窓辺やベンチから鳥を見て、聞いて、名前より「何をしているか」に目を向けましょう。くり返すうちに、心からの注意を向ける力が育ちます。
NHS, Physical activity guidelines for children under 5 years