庭がなくてもできる、親子の植物そだて
子どもと植物を育てるのに、芝生も物置も、自分の土地もいりません。植物から学ぶ最高の時間のいくつかは、庭もベランダもないマンションの、台所の窓辺で起きています。小さな子が栽培から受けとるものは、畑の広さとはほとんど関係がありません。生きているものが毎日少しずつ変わるのを見ること、世話をすること、「自分が育てるのを手伝った」という静かな誇り。どれも日当たりのいい窓辺ひとつにおさまります。
植物を育てると、何が身につくのか
種をまいて世話をするとき、子どもは待つこと、責任をもつこと、観察することを練習しています。水と光をあげれば育つ、という信頼できる「こうすると、こうなる」にも出会います。食べ物がどこから来るのかを知り、それで野菜への気持ちが変わる子もいます。生きものには世話が必要で、ほうっておくと枯れてしまうことも学びます。ほかの命を大切にする、やさしい最初のレッスンです。庭がなくても、こうした学びはひとつ残らず手に入ります。どれも広さではなく、子どもが時間をかけてじっと見ることから生まれるからです。
まずは窓辺から
ありふれた窓辺は、思いのほか優秀な苗床です。びんにぬらしたキッチンペーパーと豆をひとつ入れれば、数日で根と芽が出てくるのが見え、費用もほとんどかかりません。ぬらした脱脂綿にまいたカイワレやベビーリーフは1週間ほどで芽を出し、本当に食べられるので子どもは大喜びです。バジルやミントなどのハーブを明るい窓辺の鉢で育てれば、においをかいだり、さわったり、料理に足したりできます。日当たりのいい窓辺を選び、小さなじょうろを近くに置いて、毎日の確認はお子さまにまかせましょう。
鉢やプランターを活用する
ベランダや玄関先、光の入る共用の踊り場、窓の外の手すりなどがあれば、プランターで楽しみが広がります。土が入って水が抜けるものなら、たいていのものが鉢になります。バケツ、底に穴をあけた古い洗いおけ、リサイクルの容器。ミニトマト、いちご、葉もの野菜、多くのハーブは鉢でよく育ち、本当に収穫できるので、自分で植えた子にとっては大事件です。土を入れる、種をうめる、水をやる。お子さまに手伝ってもらいましょう。学びは手を動かすところにあります。汚れることにも巻きこむと、興味が続きます。
台所の切れはしから育てる
種を買わなくてもかまいません。台所の残りものの多くは再生して、ただで楽しい観察になります。小ねぎの根もとをコップの水につけておくと、数日で新しい緑の芽がのびてきます。にんじんのへたを浅いお皿に置くと、ふさふさの葉が出てきます。アボカドの種につまようじを刺して水の上につるしておくと、根気は要りますが、やがて根と芽を出します。台所のごみ箱がふしぎの宝庫に変わり、食べ物は生きた植物から来ていることを子どもに伝えられます。なんでもパックで届くと、つい忘れがちなことです。
みんなの緑、公園の緑を使う
家の外に目を向ければ、緑は思っているより近くにあります。公園、地域の花壇、市民農園の見学日、ふれあい農園などでは、自分の土地がなくても土に手を入れられます。家族を歓迎する地域の栽培活動がある町も多く、図書館や学校が種の交換会や植えつけの会を開いていることもあります。同じ木や花壇に毎週会いに行けば、そこが観察でつくる「わが家の庭」です。1年を通して、芽ぶき、花がさき、実がなり、葉が落ちるのを見守れます。お金はかからず、変化の種類が多いぶん、自分の小さな畑より学べることも少なくありません。
観察を続けていく
何を育てるにしても、時間とともに変わる様子に目を向けると学びが深まります。芽の高さをお子さまの指で測ったり、毎週ペンで鉢に高さの印をつけたりすると、のびていくのが目に見えます。ときどき裏紙のノートに植物の絵を描いたり、数日おきに写真を撮ってあとでめくったりしてもいいでしょう。植物には何が必要か、水やりを忘れたらどうなるかを話し、もし忘れたらいっしょに立てなおします。同じ生きものに何度も会いに行き、変わっていくのを見る。このゆっくりした注意こそ、園芸家にも自然観察家にも共通する本当の技です。
うまく育たなかったとき
芽が出ない種も、くたっと倒れる苗も、精いっぱい世話したのに枯れてしまう植物もあります。こわがるより、あるものと思っておきましょう。それも栽培が教えてくれる正直なレッスンです。落ちついてお子さまといっしょにふり返り、水が少なかったのか、光が足りなかったのか、寒すぎたのかをふしぎがって、もう一度やってみます。小さなつまずきをやさしく乗りこえることで、立ちなおる力が育ちます。失敗したらまた植えればいいと知った子は、窓辺をはるかにこえる大切なことを学んでいます。
安全について、少しだけ
家での栽培は、少し気をつければとても安全です。なんでも口に入れる赤ちゃんやよちよち歩きの子からは、種、球根、小石を遠ざけましょう。多くはのどにつまるおそれがあり、食べると毒になる球根や種もあります。植物は世話をするために育てるもので、食べていいのは大人が「だいじょうぶ」と言ったものだけ、と教えましょう。土をさわったあとと食べる前には手を洗い、野菜づくりに使える培養土を選びます。肥料や粒状の薬剤は、子どもの手の届かないところにしまいましょう。
大切なのは: 窓辺、いくつかの鉢、みんなの緑があればじゅうぶんです。学びは、子どもが生きものの世話をして、その変化を見守るところから生まれます。
NHS, Physical activity guidelines for children under 5 years