びんで豆を育てよう。根と芽が見える、かんたん観察
失敗がほとんどなく、毎回子どもが目をかがやかせる自然の観察をひとつ選ぶなら、びんで育てる豆です。土にまいた種は、いちばんおもしろいところが地面の下にかくれてしまいます。ガラスに沿わせて育てた豆なら、ふくらむ種、下へぐんとのびる白い根、上へのびる芽まで、ひみつがまるごと見えます。安くて、すぐ変化があって、静かにびっくりさせてくれる。見ること、待つこと、変化に気づくことを教えてくれる観察です。
この観察がうまくいくわけ
びんで育てる豆のいいところは、何もかくれていないことです。鉢に種をまくと、子どもは1週間ずっと土だけを見ることになります。ガラスに沿わせれば、毎日のドラマが見えます。変化は何か月ではなく数日で起きるので、待つのが苦手な2歳の子でも夢中が続きます。ほぼ必ずうまくいくので、お子さまは「できた」というごほうびを受けとり、もっと育ててみたくなります。待つ力、予想する力、じっくり見る力が、乾燥豆ひとつぶんの費用でつまった観察です。
用意するもの
材料は、たいていの台所にあるものです。透明なガラスびんか中の見えるプラスチック容器、キッチンペーパーか脱脂綿、少しの水、乾燥豆をいくつか。そら豆やベニバナインゲンは大きくて元気に育つのでおすすめですが、金時豆やうずら豆など料理用の乾燥豆もよく芽を出します。始める前の晩に豆を水につけておくと、出だしがぐんとよくなります。買いものリストは、本当にこれだけです。
いっしょに準備する
さわること自体が学びなので、できるだけお子さまにやってもらいましょう。キッチンペーパーか脱脂綿をくしゃっと丸めて、びんにつめます。水につけておいた豆を2、3個、ペーパーとガラスのあいだに差しこみ、外から見えるようにガラスに押しあてます。ペーパーがしめる程度に水を少し入れますが、豆が水たまりにつかるほどは入れません。おぼれると豆はくさってしまいます。窓辺など、あたたかく明るい場所に置けば準備完了です。ひとつがだめでもほかが育つように、豆は複数入れておくと安心です。
育つ様子を見る
ここからがいちばん楽しいところ、毎日の観察です。2、3日すると豆はふくらみ、皮がやぶれます。まもなく小さな白い根(幼根)が下へ向かってのびてきます。土がなくても、重力にしたがって下へ行くのです。それから芽が出て、光のほうへ上へのびていきます。数日のうちに葉がひらき、全体が窓のほうへ手をのばすように育ちます。毎朝いっしょに見て、「きのうから何が変わった?」と話してみましょう。ペーパーがかわいたら水を足してしめらせておきます。ときどきびんの向きを変えると、芽が光のほうへかたむくのも見られます。
ちゃんとした観察にしていく
学びを深めるなら、ちらっと見るだけでなく、見たものを記録するのを手伝いましょう。細長い紙に毎日豆の絵を描いたり、毎日写真を撮って、あとでパラパラ漫画のように成長を見かえしたり。年長さんくらいなら、指やものさしで芽の長さを測って印をつけられます。「次はどうなると思う?」と予想してもらい、そのあと当たったかどうか確かめる。これはまさに科学者の考え方です。育つには何が必要かも話してみましょう。水、あたたかさ、光。どれかがなかったらどうなるか、声に出してふしぎがってみてください。
芽が出たら、その次へ
びんの中の豆は、ずっと生きつづけることはできません。種にたくわえた栄養をすぐに使いきり、そのあとは土から栄養をもらう必要があるからです。それが観察の自然な続きになります。根と芽がしっかりしてきたら、お子さまといっしょに培養土を入れた鉢にそっと植えかえ、ベランダや窓辺でおはなしを続けましょう。運がよく、ベニバナインゲンやそら豆なら、やがて花がさき、さやを収穫できるかもしれません。窓辺の実験が、本物の食べ物になる瞬間です。植えかえでうまく育たなくても、それは栽培にはよくあること。もう一度やってみるチャンスです。
好奇心を育てつづける
本当のごほうびは豆そのものではなく、時間とともに変わるものを見守る習慣です。一度やってみた子は、植物は種から育ち、世話が必要だとわかり、同じ生きものに毎日会いに行く練習もしています。次はガラスに沿わせてほかの種を育てたり、食べられるカイワレを鉢で育てたりして広げていけます。ごはんのときやお店で、豆やえんどう豆など種のなかまを指さして、観察と本物の食べ物をつなげてみましょう。何もないところから根が出てくるふしぎは、心に残りやすいものです。
安全について、少しだけ
とても安全な観察ですが、気をつけたいことがあります。乾燥豆はのどにつまるおそれがあるので、なんでも口に入れる赤ちゃんや小さな子からは遠ざけましょう。また、金時豆(赤いんげん豆)など、しっかり加熱するまで食べてはいけない生の豆もあります。これは育てる観察で、おやつではありません。豆、土、ぬれたびんをさわったあとは手を洗いましょう。準備のときは大人がそばで見守り、落としてしまいそうな子の手の届くところにガラスびんを置かないようにします。
おぼえておきたいこと: 水につけた豆をびんのガラスに沿わせると、根と芽が出てくる様子を毎日見られます。待つ力と、じっくり見る力が育ちます。