幼児と天気の話をしよう。毎朝の空から育つことばと観察

天気は、呼ばなくても毎朝玄関までやってくる、ただひとつの自然のテーマです。何を着るか、公園に行けるか、その日がどんな気分になるかを左右するので、好奇心いっぱいの幼児にはうってつけの、できあいの題材です。指導案も実験キットもいりません。カーテンをあけてお子さまといっしょに外を見て、空が何をしているか話す習慣をつけるだけ。それでことば、観察、ものごとの理解の芽が、いっぺんに育ちます。

天気が、こんなに役立つ学びになるわけ

天気は目に見えて、いつもそこにあって、自分ごとです。幼い子がいちばんよく学べる条件がそろっています。毎日変わるので気づくことがいつもあり、自分に直接関わるので子どもは気にかけます。幼児と天気の話をするのは、気象学を教えることではありません。もう感じていることに、ことばをあげることです。さむい、あつい、ぬれた、風が強い、まぶしい。豊かな語彙は、のちの読む力のいちばん強い土台のひとつで、天気は毎日自然に使える、ようすをあらわすことばを何十も手わたしてくれます。

毎朝の「お天気チェック」から

いちばんかんたんな習慣は、毎朝いっしょに窓の外を見て、その日のようすをことばにすることです。「お天気は何してる?」「何が見える?」。おひさま、雲、雨、水たまり、木をゆらす風。それから、上着がいるかな、長ぐつかな、帽子かな、日焼け止めかな、と決めることにつなげましょう。天気には本当に結果がついてくることが伝わります。このささやかな毎日の習慣は1分しかかかりませんが、何週間も続けるうちに、空を見ること、見たものとすることをつなげることを、そっと教えてくれます。

ことばを手わたす

幼児は、目で見て体で感じられるものにむすびついたことばを、どんどん吸いこみます。天気には、気前よく名前をつけましょう。晴れ、雨、くもり、風といった基本の先へ、お子さまの様子を見ながら広げていきます。霧雨、どしゃぶり、そよ風、強風、霜、もや、むしむし、こごえるほどさむい。日本語には「しとしと」「ざあざあ」「ぽかぽか」「ひんやり」のような音や感じのことばもたくさんあります。肌にどう感じるか、窓にあたる雨の音、お散歩のとき体を押してくる風のようすを話しましょう。お子さまにも自分のことばで言ってもらい、ことばをつくりだしたら、それについていきます。「今日の風は、おこってるね」と言える子は、ひとつのことばと、ひとつの気づき方を手に入れています。

「なぜ」は、答えを全部知らなくていい

幼児の「なんで?」は終わりがなく、天気はそのネタの宝庫です。雨はどこから来るの?どうして風がふくの?水たまりはどこへ行くの?今日はなんでさむいの?かんたんに、本当のことを答えればじゅうぶんです。雲が水でいっぱいになって重くなると、雨になって落ちてくる。風は空気が動いていること、洗たくものをかわかして、たこをあげるのと同じ空気。水たまりがかわくのは、おひさまが水を目に見えない湯気にして、空へ浮かべていくから。わからないときは、いっしょにふしぎがるのも立派な答えです。目的は、完璧な天気予報ではなく、お子さまが聞きつづけることです。

五感と季節につなげる

天気は体ぜんぶで感じるものなので、五感をすべて使いましょう。おひさまのぬくもり、霜のちくっとしたつめたさにふれる。雨や雷の音を聞く。風の強い日に落ち葉が道をかけていくのを見る。雨の前の空気のにおいをかぐ。もっと長い目で見て、季節とともに天気が移りかわることにも気づかせてあげましょう。夏の長く暑い日、冬のきりっとしたさむさと早い夕暮れ、春の花と、にわか雨。毎日のお天気チェックが1年の大きなリズムにつながり、自分の目で確かめられる「時が流れていく感覚」がお子さまに育ちます。

遊びにしてしまう

天気の話は、まじめな観察でなくてかまいません。雨の中でばしゃばしゃ、風の中で落ち葉おいかけっこ、雪がふったら雪だるま、晴れたら影づくり、のんびりした午後には雲ながめ。嵐やおひさまの絵本を読んだり、天気の歌を歌ったり、強い風や重たい雨雲になりきったりしてみましょう。家にかんたんなお天気カレンダーをつくり、今日の空の絵をお子さまに貼ってもらえば、毎日のチェックが自分で進めるゲームになります。幼児が学んだことを自分のものにするのは遊びを通してなので、天気を楽しいものにしてあげてください。

こわい天気のときは

雷や稲妻、強い嵐など、小さな子をこわがらせる天気もあります。そのときの話し方が大切です。子どもはこわがるべきかどうかを大人の顔で読みとるので、まず大人が落ちつきましょう。そして、雷は空が出すとても大きな音で、家の中にいればだいじょうぶ、とかんたんに説明します。気持ちに名前をつけるのも助けになります。「大きな音がこわいのは、あたりまえだよ。いっしょにおうちの中にいるから安全だよ」。こわさを否定しないこと。でも、あおらないこと。落ちついて、ぎゅっと抱きしめる対応を続けるうちに、たいていの子は嵐をこわがるより、ふしぎに思うようになっていきます。

元気に、安全に過ごすために

天気の話は、自然と天気に合わせた体の守り方につながり、お子さまの健康を守ってくれます。日ざしが強い日は、日かげ、帽子、肌をおおう服、日焼け止めを使い、こまめに水分をとりましょう。子どもは体に熱がこもりやすく、日焼けもしやすいのです。寒い日は重ね着をして、ひどく冷えたりふるえたりしていないか気をつけます。雷のときは家の中にいて、水があふれた場所や流れの速い水には近づかないこと。天気に合わせて服を選ぶことを教えるのは、空のおしゃべりのふりをした、一生ものの生活の知恵です。

要点: 毎日いっしょに窓の外を見て、見えるもの、感じることに名前をつけ、「なぜ」をふしぎがりましょう。毎日の天気が、ことばと観察の力を育てます。

NHS, Sunscreen and sun safety

CDC, Positive Parenting Tips: Child Development