いつもの公園を「ふしぎ発見のお散歩」に変える
多くの家族にとって、公園といえば遊具です。ブランコ、すべり台、ジャングルジム、そして帰宅。それはそれですてきな午前の過ごし方ですが、公園には、子どもが遊具をめざして走りぬけていくあいだに見のがしているものがたくさんあります。向きあい方を少し変えるだけで、見なれた同じ公園が、探検して、気づいて、ふしぎに思う場所になり、新しい行き先がなくても、お子さまにとってずっと豊かなお出かけになります。好奇心が先頭に立つあいだ、遊具には10分だけ待っていてもらいましょう。
「ふしぎ発見のお散歩」って?
どこかに着くことや体力を使いきることではなく、気づくこと、ふしぎに思うことが目的のお散歩です。ゆっくり歩き、お子さまの目にとまったものについていき、ふつうの公園を、調べがいのあるものでいっぱいの場所としてあつかいます。公園あそびをふしぎ発見のお散歩に変えるのに、道具も計画もいりません。変えるのはペースと注意の向け方です。ブランコへ一直線に向かうかわりに、ぶらぶら歩き、しゃがみ、のぞきこみ、問いかける。そうするとお子さまは、入り口から遊具までの「たいくつな部分」が、じつはいちばんおもしろいところだったと気づきます。
遊具の外へ出てみる
最初の一歩は、いつもは素通りしている場所へ行ってみることです。植えこみや長くのびた草、木がちょっと手つかずになっている、はしっこのほうへ向かいましょう。生きものが住んでいるのはそこです。通ったことのない小道をたどる、しげみのうしろをのぞく、安全な距離から池のあたりをながめる、みんなが通りすぎる大きな古い木を調べる。きれいに刈られた芝生より、こうした見すごされた一角のほうがずっと発見にあふれています。そこを探検しようと決めるだけで、柵でかこまれた遊び場だけでなく、公園ぜんぶが調べていい場所なのだと、お子さまに伝わります。
お子さまについていく
ふしぎ発見のお散歩の真ん中にあるのは、ハンドルをお子さまに手わたすことです。カタツムリでも、水たまりでも、おもしろい枝でも、木の穴でも、何かが目にとまったら立ちどまって、気がすむまで調べさせてあげましょう。大人が「もっといいもの」と思う場所へせかしたくなる気持ちは、ぐっとこらえます。子どもの夢中こそが目的です。甲虫1匹を5分見ていていい子は集中することを学んでいて、それは距離をかせぐことよりずっと価値のある力です。大人の役目は、ほとんどの場合、ゆっくりすること、興味を持ちつづけること、子どもの見る時間のじゃまをしないことです。
世界をひらく問いかけ
いい問いかけは、見ることを考えることに変えてくれます。答えがひとつではないものを選びましょう。「あの木の穴、だれがあけたと思う?」「カモは夜どこに行くのかな」「どうしてここだけ草が長いんだろう」と声に出してふしぎがってみます。何が見える?何が聞こえる?どんなにおいがする?あの丸太をひっくり返したら何がいると思う?知識をたずねるクイズは避けましょう。目的は、ふしぎに思う気持ちに火をつけることで、知っているかどうかを試すことではありません。答えられない質問をされたら、「いっしょに調べてみよう」と返す。それは大人ができる、いちばん価値のある返事のひとつです。
小さなチャレンジをポケットに
お散歩の主役はお子さまですが、盛りあがらない日のために、ゆるいゲームをいくつか用意しておくと助かります。「ざらざらのもの、ふわふわのもの、動くものをさがそう」。鳥の羽、かじられた葉っぱ、地面の穴など、生きものがいたしるしをさがすのもおすすめです。ちがう生きものを5つ見つける競争、いちばん高い木といちばん小さな花さがし。どれも軽く、お子さまがもっといいものを見つけたら、すぐにやめましょう。ほんとうの発見は、いつでも大人が用意したゲームに勝ちます。チャレンジは火をつけるためのもので、場をしきるためのものではありません。
五感をぜんぶ使う
ふしぎ発見のお散歩は、見るだけでないほうが豊かになります。鳥の声や葉ずれの音に耳をすまし、草や花、しめった土のにおいをかぎ、木の皮、葉っぱ、石、こけの手ざわりのちがいを感じてもらいましょう。天気や季節によって、公園の音や空気がちがうことにも気づけます。五感を使うと体験が深まり、話すことがぐんとふえて、ことばが育ちます。見るより動くのが好きな子も、目だけでなく、さわることや音から、自分なりの気づきの入り口を見つけられます。
1回きりにせず、習慣に
ふしぎ発見のお散歩のおもしろさは、くり返すほどふくらみます。同じ公園に何度も通い、どう変わるかに気づきましょう。毎週通えば、お子さまはちがいを見つけるようになります。花をつけた木、雨のあとで水かさのふえた池、新しく出てきたきのこ、冬になって少なくなった鳥。やがて見なれた公園は、お子さまが深く知り、物語のように読める場所になります。それは、地元の自然についての、根っこのあるしっかりした知識です。最後はいつもどおり遊具で遊んでかまいません。大事なのは、まず好奇心に10分か20分をあげること。そのうち、探検は公園でするふつうのことになっていきます。
安全について、少しだけ
公園はふつうの注意で、たいていは安全です。池や湖、深い水や流れの速い水からは子どもを遠ざけましょう。小さな子はほんの少しの水でもおぼれることがあります。道路や駐車場の近くでは手をつなぎます。自然は見て、そっとさわるけれど、木の実や種、きのこは決して食べない、と教えましょう。毒のあるものもあります。手入れのゆるい一角では割れたガラスやごみに気をつけ、犬のふんには近づかず、お散歩のあとと食べる前には手を洗いましょう。
ポイント: ゆっくり歩いて公園のはしっこを探検し、ひらいた問いかけでお子さまの興味についていきましょう。お散歩の先頭に立つのは、遊具ではなく好奇心です。
NHS, Physical activity guidelines for children under 5 years