小さな子と月をながめよう。昼の月から満ち欠けまで
話している途中の小さな子をぴたりと止めるもののひとつが、月を見つけた瞬間です。月は身近で、それでいてふしぎ。昼も夜も顔を出すやさしい顔で、形を変え、車でおうちまでついてきます。何よりうれしいのは、大人に何も求めないこと。道具も、遠出も、専門知識もいりません。お子さまと月を分かちあうのは、ふしぎに思う気持ちを呼びおこす、いちばんシンプルな方法のひとつです。そしてその気持ちこそ、子どもを「世界をわかりたい人」にしていきます。
子どもが月に心をうばわれるわけ
月は、いつもそこにあるのに、いつも変わっていく。だから幼い想像力にぴったりです。ほとんど毎晩そこにあるのに、まったく同じ日はなく、細い弓のような形からまんまるに明るい形へ、そしてまたもとへと移りかわります。子どもは、月が自分についてくるように見えることも、夜しか出ないと思っていたのに午後の空にぽっかり浮かんでいることも大好きです。小さな子と月をながめるのに、説明はいりません。それだけで魔法のようです。見ること、ふしぎがることが先にあって、お子さまが何かを理解するとしたら、それはそのいっしょに味わったよろこびから育っていきます。
まずは昼間の月から
いつでも心をつかむおどろきが、昼間の月です。月は暗くなってからしか出ないと思っている親子は多いので、青い午後の空にうすく浮かぶ月を指さすと、ちょっとした奇跡のように感じられます。疲れた子を夜ふかしさせずに月を見られるので、早寝の家庭にも向いています。園の送りむかえや午後のお散歩で空を見わたして、「今日はお月さま出てるかな?」と聞く習慣をつけましょう。高くくっきり見える日もあれば、低い日も、かくれている日もあります。それ自体が、気づくことのささやかなレッスンです。
形が変わることに気づく
時間をかけて分かちあうのにいちばん楽しいのは、月の形が変わっていくことです。およそひと月かけて、月は見えないところからまんまるの明るい月へと満ち、また欠けていきます。数日おきにいっしょに見れば、小さな子でも本当にその変化を追えます。正式な名前はいりませんが、大きい子なら、太っていく月を「満ちていく」、やせていく月を「欠けていく」と言うのを楽しく覚えます。形は子どもが自分のものにできることばで言いあらわしましょう。バナナのお月さま、半分のお月さま、まんまるのお月さま、つめみたいに細いお月さま。「あしたはどんな形かな」と声に出してふしぎがると、予想する力と楽しみに待つ気持ちが育ちます。当たると子どもは大喜びです。
いっしょにふしぎがる、かんたんな問いかけ
話は軽く、知識よりほんとうの好奇心でいっぱいにしましょう。「今夜のお月さま、どんなふうに見える?」「この前と変わったかな」。昼間はどこに行っているんだろう、歩くとどうしてついてくるみたいに見えるんだろう、とふしぎがってみます。月は何でできていると思う?と聞いて、大人の考えを言う前に、お子さまの答えを楽しみましょう。日本では月の模様を「うさぎのもちつき」に見立てることも、話のたねになります。答えられないことを聞かれたら、「わからないな、いっしょに調べてみよう」がいちばんの返事になることもよくあります。すらすらした説明より、そのほうがずっと好奇心のお手本になり、月はおべんきょうではなく、ふたりの冒険のままでいられます。
「どうして?」と聞かれたら、やさしい説明を
4歳か5歳ごろになると、子どもは理由を知りたがるようになります。かんたんで本当のことを伝えましょう。月は、宇宙のずっと遠くにある大きな岩の玉で、地球のまわりをまわっている。光っているのは、懐中電灯がかべを照らすみたいに、太陽の光がはね返っているから。形が変わるように見えるのは、月がまわっていくあいだに、太陽に照らされた側の見え方が変わるから。全部を一度に伝えなくてかまいません。暗い部屋でボールと懐中電灯を使って見せるほうが、ことばよりずっと心に残ります。お子さまの質問についていき、興味が終わったらそこでやめましょう。
小さな習慣にする
月は、気持ちを落ちつける寝る前の習慣にもぴったりです。窓から外を見て「お月さま、おやすみ」と言うのが、寝る前の流れのおだやかなひとこまになるかもしれません。遠くに住む家族と同じ月をつなげて、「おじいちゃんとおばあちゃんも、このお月さまを見てるよ」と伝えれば、同じ空の下にいるという安心感が生まれます。週に1、2回月の形を描くかんたんな月の日記をつければ、ひと月かけて満ち欠けがつみあがっていくのが見えます。本物の空をながめながら、月が出てくる絵本を読むと、ふしぎがひとつにつながります。お月見の夜に、おだんごを用意していっしょに見上げるのもいいですね。どれも計画はいりません。見上げるだけでいいのです。
気持ちよく続けるために
月の観察は暗くなってからや寒い時期になることもあるので、少しの気配りで快適になります。夜に見るときは暖かくして、だれも冷えたり疲れすぎたりしないよう短めに。暗い中の窓辺、ベランダ、階段では必ず大人がそばにいましょう。昼間の月をさがすときに、太陽のほうを見るようすすめるのはやめてください。目を傷めることがあります。太陽の位置からはなれたところで月をさがしましょう。月の観察に健康上のリスクはほとんどないので、大事なのは暖かさ、安全、そして夜おそくの観察はときどき、短めにして、睡眠を守ることです。
ここがポイント: 昼も夜も月をさがし、ひと月かけて形が変わるのを見守りましょう。完璧な答えより、ふしぎがる問いかけのほうがずっと大切です。
WHO, Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5