水たまり遊びは学びの宝庫。大人が注目したいこと
水たまりのはしに立つ親には、2種類います。子どもに水たまりをよけさせる親と、まっすぐばしゃばしゃ入らせてあげる親。ぬれた靴下にがまんできるなら、後者はとても価値のあることをしています。水たまりは、小さくて安全で、何度でもくり返せる科学実験で、しかも2歳の子がまるごと自分で進められます。思いきりの水しぶきにつまった学びは、汚れから想像するよりはるかに大きいのです。
ぬれた靴下を引きかえにする価値
水は、小さな子が本気でおどろくようなふるまいをします。はね、波紋を広げ、ものを映し、しみこんで消え、雨のあとにまたあらわれる。水たまりなら、そのすべてを自分のペースで何度も何度も試せます。それこそが、幼い脳が理解を組みたてていく方法です。水たまり遊びを学びの時間としてとらえ、何に注目すればいいか知っておけば、泥だらけのやっかいごとが、着がえ1回分で手に入る、科学と体の動きとことばの豊かな時間に変わります。コツは、せかさずにゆっくりして、お子さまが実際に何を探っているのかを見守ることです。
しぶきのひとつひとつに「こうすると、こうなる」
まず注目したいのは、お子さまが原因と結果を調べていることです。強くふむと大きなしぶき、そっと入ると小さな波紋。石を落とすと水がはね、葉っぱを落とすとほとんど動かない。2歳の子は、こうした実験をわざとやっていて、くり返しは飽きているのではなく、確かめているのです。やさしく実況すると、それを支えられます。「わあ、大きなしぶきだったね」と言ったり、「小さくジャンプしたらどうなるかな」とふしぎがったりして、あとはお子さまに試してもらいましょう。「水」ということばをまだ言えないうちから、長ぐつをはいて、科学者と同じ考え方を学んでいるのです。
浮くもの、沈むもの、動くもの
ものを入れたとたん、水たまりは実験室になります。葉っぱ、小枝、小石、手もちのおもちゃなど、安全なものをいくつか集めて、ひとつずつ試してみましょう。浮くのはどれ?沈むのは?息をふきかけて水面をすべらせられるのはどれ?重すぎて動かないのは?小枝はふねに、葉っぱはいかだになります。お子さまが予想して、確かめて、びっくりしたり満足したりする様子に注目してください。浮力を説明する必要はありません。直接さわることで考えが根づき、浮く、沈む、速い、ゆっくり、重い、軽い、ということばもいっしょについてきます。
水に映るものが教えてくれること
しずかな水たまりでは、いっしょにのぞきこんで、空や木、こちらを見かえす自分たちの顔をながめましょう。小さな子は水に映るものに夢中になり、最初はそれが本物かどうかわからないこともよくあります。手をふると、映った自分も手をふる。小石を落とすと、絵がゆらゆらゆれて、またもとにもどる。にぎやかな水しぶきのあいまの、すてきで静かな時間で、水が鏡のようになることにふれられます。「水の中に何が見える?」「上の空だけじゃなくて、下にも雲がいるかな?」と聞いてみましょう。
水はどこへ行くの?
水たまりは、水のめぐりを、幼児にもわかる小さな形で見られるチャンスでもあります。同じ水たまりに何日か通うと、日なたで小さくなって消え、雨のあとにまたあらわれるのがわかります。水はどこへ行ったんだろう、と声に出してふしぎがってみましょう。おひさまが水をかわかして空気の中へ運んでいって、雲が重くなると、その水がまた雨になって落ちてきて、新しい水たまりをつくる、とかんたんに説明できます。土にしみこんでいく水と、かたい地面にたまったままの水をくらべるのも学びになります。こうした毎日の観察が、のちの本当の理解の土台になります。
ことばと体の動きも、おまけに
科学のほかにも、見すごしたくない静かな収穫がふたつあります。ひとつはことば。水たまりは、つめたい、ぬれてる、どろどろ、深い、浅い、ばしゃばしゃ、しーん、と言いあらわすことだらけです。もうひとつは体。ジャンプする、ふみならす、ふちでバランスをとる。これは力と体をじょうずに動かす力と自信を育てるしっかりした運動で、小さな子は毎日たっぷり必要としています。水たまりに10分夢中になっていた子は、体ぜんぶとことばぜんぶで、いっぺんに学んでいたのです。
気持ちよく、清潔に
少しの準備で、楽しい時間になるか、言いあらそいになるかが変わります。長ぐつとレインパンツがあれば、洗たくを気にせず思いきり遊ばせられますし、かばんに着がえ一式があれば、冷えたまま帰らずにすみます。水たまりには泥や菌がまじっていることがあるので、遊んだあとは食べる前に手を洗うか、ふきましょう。道路のそば、排水口のまわり、工場の多い場所など、水が汚れていそうな水たまりは避け、水たまりの水は決して飲ませないこと。できれば芝生や公園、きれいな歩道の水たまりを選びましょう。
安全について、ひと言
とても小さな子にとっては、浅い水でも油断は禁物です。そばを離れず、水たまりや庭のバケツやたらいもふくめて、水の近くに小さな子をひとりにしないでください。小さな子は、ほんのわずかな水でもおぼれることがあります。深い水や流れの速い水、大雨のあとの冠水した場所は避けましょう。寒い日は冷えすぎないよう短めにして、急にだまってふるえている様子がないか気をつけます。汚れた水を飲みこんで、そのあと吐いたり下痢をしたりして具合が悪くなったら、医療機関に相談しましょう。
ポイント: 思いきりばしゃばしゃさせて、ものを浮かべ、映る景色をながめましょう。水たまりは、原因と結果、浮く沈む、水のゆくえを、遊びのなかで教えてくれます。
NHS, Physical activity guidelines for children under 5 years