祖父母が子どもの前で親の言うことをくつがえすとき
「おやつはもうおしまい」と言ったばかりなのに、祖父母がくすっと笑って「ママの言うことなんて聞かなくていいのよ」と、ひとつ手わたす。あるいは、子どもが見ている前で、親の指示をあからさまに否定され、決まりを軽くあしらわれ、判断を疑われる。子どもの前で立場をくずされるのはつらいものですし、小さな子の頭の中で、誰が決めているのかが本当にわからなくなってしまうこともあります。その場でも、そのあとでも、落ち着いて向き合うことが、親の立場と関係の両方を守ります。
ひと言でいうと
祖父母が子どもの前で親の言うことをくつがえしたら、その場では落ち着いて短く返して親の立場を保ち、くり返されるパターンには、あとでふたりのときに向き合いましょう。人前での言いあいは避けます。それは、もとのひと言よりずっと子どもを不安にさせるからです。
子どもにとって大切な理由
小さな子は、まわりの大人を見て、決まりは何か、誰を信じればいいかを知ります。信頼している大人のひとりが、別の大人をあからさまにくつがえすと、子どもは誰のことばが大事なのかわからなくなりがちです。かしこい子は、すぐに大人どうしを張りあわせることを覚えます。一貫して足なみのそろった大人は、子どもに安心できる、見通しのある世界をくれます。だから、くつがえされることは、親のプライドが傷つくだけの話ではなく、子どもが安心するのに必要なわかりやすさを、少しずつけずってしまうことなのです。
はじめに見ておきたいこと
たまたまのうっかりなのか、本当のパターンなのかを見ましょう。必要な対応が違います。一度うっかりしておやつをこっそりあげてしまった祖父母と、いつも親を否定する、子育てを批判する、子どもに親の言うことを聞かなくていいと言う祖父母とは、まったく違います。ありそうな動機にも目を向けます。わざとの失礼ではなく、深く考えない甘やかしや昔からのくせであることも多く、好意的に読みとると、一度きりのことを確執にまで大きくせずにすみます。
その場での返しかた
- 落ち着いて、声は軽く。子どもの前で言いあわない。
- 親の線をやわらかく言いなおす。「うちでは、ひとつまでにしてるの。ありがとう」
- その場で議論せず、場面を先に進める。
- 本当の話し合いは、あとでふたりのときにとっておく。
ふたりのときの話し合いこそ大切な理由
その場は被害を小さくするための時間で、ものごとが本当に変わるのは、ふたりのときの話し合いです。あとで、子どものいないところで落ち着いて話せば、見物人も熱もないところで、何があって、なぜそれが大切なのかを伝えられます。子どもの前で否定されると子どもが決まりについて混乱すること、意見が違っても親を支えてほしいこと、違う意見があるならいつでもふたりのときに言ってほしいこと。責めるのではなく、チームでいてほしいというお願いとして伝えると、扉は開いたままにしておけます。
線を、はっきり引く
くつがえすことがくせになっているなら、はっきりしたやさしい線を引くのは公平で、必要なことです。親が必要としていることを具体的に伝えましょう。子どもの前では親の決定を支えてほしいこと、意見の違いはふたりのときに伝えてほしいこと。祖父母の意見を本当に聞きたいし、経験を大切に思っている、ただ子どもの頭ごしに伝えるのはやめてほしい、という前向きな形で取り決めを差しだすと、受けとってもらいやすくなります。くり返されるときこそ、きっぱりとあたたかい線が、関係を終わらせずに親の役割を守ってくれます。
そろった姿を見せる
大切な大人どうしの足なみがそろっていることが、いちばん強い道具です。パートナーがいるなら、前もって対応を決めておき、いつもお互いを支え、相手からもくつがえされないようにしましょう。本当に大切なルールはどれかをいっしょに決め、家をこえて守ります。中心の大人たちが落ち着いてそろっているのを見た子は、つけいるすきを探さなくなります。このそろった落ち着きは、祖父母とのどんなやりとりに勝つことよりも、子どもを落ち着かせます。
親にできることと、できないこと
親が動かせるのは、自分の反応、線引き、家での一貫性です。祖父母の口から出るすべてのことばを動かすことはできませんし、立場をくずすひと言がひとつあったくらいで、親の子育てが消えるわけではありません。どの山をのぼる価値があるか選びましょう。こっそりもらったお菓子ひとつは、まず価値がありません。親の立場へのあからさまな、くり返される軽視には、価値があります。落ち着いていることで、むずかしい関係に燃料を与えずにすみ、子どもは祖父母のうっかりより、親のどっしりした姿からずっと多くを学びます。
もっと根が深いとき
ときには、くつがえすことが、祖父母が出すぎる、線引きを尊重しない、自分のものではない親の役割をとろうとする、というもっと広いパターンの一部であることもあります。はっきり話しても助けにならない、対立が深刻で続いている、子どもや親自身の心と体に影響している、という場合は、外の支えを求める価値があります。子育ての相談窓口、家族の話し合いを手伝う専門の窓口、かかりつけ医などが、むずかしい家族の関係を考え、できるかぎりみんなの関係を守る手助けをしてくれます。本当にむずかしい状況を、ひとりでかかえる必要はありません。
覚えておきたいこと
祖父母が子どもの前で親の言うことをくつがえすとき、めざすのは見物人の前で勝つことではなく、子どもの世界をわかりやすく保ち、家族の関係を守ることです。その場は軽く受けながし、正直な話し合いはふたりのときに、くり返すならあたたかくきっぱりした線を引き、パートナーとは足なみをそろえましょう。どんな一度の対決よりも、親の落ち着いた一貫性こそが、親の立場を静かに、確かに守ってくれます。
ポイント: その場は軽く、パターンはふたりのときに。子どもの前では落ち着いて親の線を言いなおし、あとで正直にあたたかく話し合えば、人前で言いあわずに親の立場を守れます。