赤ちゃんがじいじばあばに人見知り、慣れてもらうには
うれしそうな祖父母がのぞきこんだとたん、親の肩に顔をうずめてしまう赤ちゃん。失礼なわけでも、むずかしい子なわけでもありません。小さな脳がもともとそうするようにできていることを、そのとおりにしているだけです。少し見なれない顔が、自分を守ってくれる小さな輪の中の人かどうかを確かめているのです。その本能がわかると、その場のちくりとした気持ちがやわらぎ、みんなが落ち着いたところから始められます。
ひと言でいうと
なじむのはスイッチではなく、少しずつ進むものです。赤ちゃんに祖父母に慣れてもらうには、大人がゆっくりになり、赤ちゃんのサインについていき、一度の大きな、圧倒されるような再会ではなく、短くくつろいだ何回かの出会いで、なじみを積みかさねていくのがいちばんです。
赤ちゃんが身がまえる理由
生後6か月から1歳半ごろにかけて、ほとんどの赤ちゃんは、誰がなじみの顔で誰がそうでないかに、ずっと敏感になります。この人見知りはふつうの発達の目安のひとつで、関係に何か問題があるしるしではありません。祖父母が大好きな赤ちゃんでも、急に抱きあげられると泣くことがあります。人見知りはたいてい、やさしい関わりをくり返すうちにやわらいでいきます。
はじめに見ておきたいこと
声より先に、赤ちゃんの体を見ましょう。体をそらす、背中がかたくなる、親をさがすように見る、急に静かにかたまる。どれも「ちょっと待って」の意味です。手をのばす、手の力がぬけている、興味しんしんでちらちら見る、は扉が開きかけているしるしです。タイミングも大切です。おなかがすいている、眠い、歯が生えかけている赤ちゃんは、新しい人に向ける余裕がほとんどありません。会ったときの機嫌は、人ではなく時間で決まっていることがよくあります。
やさしいプラン
- 抱っこをする前に、祖父母に着いて落ち着いてもらう。
- はじめは赤ちゃんを親が抱いたままにして、安全な場所から観察させる。
- 床の上で、お気に入りのおもちゃを使って、赤ちゃんの目の高さで遊んでもらう。
- 赤ちゃんがくつろいで見えたときだけわたし、ぐずったらさわがずに親が抱きもどす。
最初の何回かの会いかた
なじみのある場所は、とても大きな助けになります。はじめのうちは家や赤ちゃんの知っている場所で会うと、受けとめなければならない新しいことがひとつ減ります。祖父母には、声を低めに、赤ちゃんの高さまでおりて、近づくペースは赤ちゃんにまかせてもらうよう頼みましょう。正面から顔をじっと見つめあうより、気負わずにいっしょにできることのほうがうまくいきます。ボールを転がす、同じ歌をくり返し歌う、毎回同じ短い絵本を読む。くり返しは、赤ちゃんにとって信頼への近道です。
祖父母を味方に
祖父母はふれあいを心待ちにしていて、赤ちゃんの慎重さを拒否と受けとってしまうことがあります。前もってあたたかくひと言伝えておくと、みんなの気持ちが守られます。これはふつうの段階であること、数分様子を見ていると、たいていあとでたくさん抱っこさせてくれること、赤ちゃんのほうから来てもらうのがいちばんの近道であること。正すのではなく、チームとして伝えると、なごやかな空気が保たれます。信頼されていると感じた祖父母はリラックスし、リラックスした大人に、赤ちゃんはずっとなじみやすいのです。
親にできることと、できないこと
親が形づくれるのは、場所、タイミング、ペースです。気持ちを無理やりつくることはできません。親から引きはがしたり、抱っこをせがんだりして慣れさせようとすると、たいてい逆効果になります。新しい人はちょっとした格闘といっしょにやってくる、と赤ちゃんに教えてしまうからです。親の落ち着いた存在が錨です。親が祖父母とにこにこくつろいでいるのを見ると、赤ちゃんはその安心を借りて、自分からも少しずつ足をふみだしていきます。
時間をかける
信頼は、大きなことではなく、ふつうのくり返しで育ちます。会っても、ビデオ通話でも、短い関わりを定期的に続けると、会えないあいだも顔がなじみのまま保たれます。何が助けになったかを、頭の中で軽く覚えておきましょう。どの歌で落ち着いたか、夕方より朝のほうがうまくいったか、赤ちゃんが先に近づいたのはどちらの祖父母か。数週間もすると、なじむまでの時間が何分もから数分へ、そしてゼロへと短くなっていくのが、たいてい見えてきます。
もう少し支えを借りたいとき
ふつうの人見知りは、機嫌、眠気、時期によって出たり消えたりします。ただ、親もふくめてほとんど誰といてもつらそう、いつも目を合わせない、できていたことができなくなった、いろいろな場面でまわりの人にほとんど興味を示さない、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけ医にひと言相談してみる価値があります。こうしたパターンはまれで、早めにたずねれば、そのぶん早く安心や支えが得られるというだけのことです。
覚えておきたいこと
めざすのは、待っている腕に合図ひとつで飛びこむ赤ちゃんではありません。時間をかけて、自分のペースで、祖父母は安全で、楽しくて、自分の世界の一部なんだと学んでいく赤ちゃんです。ペースを守り、空気は軽く、あとはなじみに静かに仕事をしてもらいましょう。しぶっていた小さな顔も、待ってくれた祖父母には、ほとんどかならず、いつかにっこり笑いかけるものです。
ポイント: 赤ちゃんに祖父母に慣れてもらうのに必要なのは、プレッシャーではなく、気長さとくり返しです。赤ちゃんのサインについていき、会う時間は短くくつろいだものにすれば、信頼はひとりでに育ちます。