朝の着がえを、もっと楽にするには
毎日の仕事の中でも、着がえほど小さなにらみあいを生むものは少ないかもしれません。小さな子にとって、服はちくちくしたり、つまらなかったり、もっとおもしろいことがあるときにはどうでもよかったりします。大人にとっては、起きてから出かけるまでの、またひとつの段階です。子どもが何に反応しているのかを知り、いくつかのことを変えれば、毎朝の戦いを、ただ自然に起こることに変えられます。
子どもが着がえをいやがる理由
いやがるのには、たいてい理由があります。幼児は何でも自分でしたい気持ちが強いので、だれかに着せられると、自分で決められない感じがすることがあります。ぬい目、タグ、きつい袖口、かたいウエストが、肌に本当に不快に感じる子もいます。そして、遊びとのあいだに立ちはだかる作業に、まったく興味がない子もいます。わが子にどれが当てはまるかがわかれば、解決のしかたはずっとはっきりします。
子どもより、服を見直す
朝の着がえを楽にするいちばんの近道は、子どもではなく服を変えることであることがよくあります。やわらかくのびる生地で、着やすいつくりのものを選びましょう。ゴムのウエスト、広い首まわり、こまかいボタンが少ないか、ないもの。かゆくなるタグは切りとり、つま先のぬい目が気になるなら、くつしたを裏返しにはかせます。小さな手には、ひもの靴より、大きなベルトひとつの靴のほうがずっとやさしいのです。服が心地よく、扱いやすければ、毎日のまさつの大部分は、それだけで消えていきます。
前の晩に決めておく
朝7時の疲れた子と、服の相談をするのはよくありません。服は前の晩に選ぶか、子どもに選ばせて、できれば着る順番に並べて出しておきましょう。朝の新しい交渉がなくなり、時間のプレッシャーなしに「自分で決めた」という気持ちも生まれます。お気に入りの組み合わせやすい服を少しだけそろえておき、引き出しから何をとっても大丈夫、というもっとシンプルなやりかたの家族もいます。
決めた範囲で選ばせる
子どもは、自分で選んだと感じると、ずっとすんなり協力します。答えの広い質問ではなく、どちらでもいい2つを。「恐竜のシャツと、しましまのシャツ、どっちにする?」。どちらでも大人はかまわないので、どちらを選んでも流れは進み、子どもには、本物の、気楽な決定をあげられます。選択肢が多すぎると圧倒されるので、小さな子には2つがたいていちょうどいい数です。
自立は、ひとつずつ
着がえは本物の技能で、自分でできることが多い子ほど、いやがりません。自分でしたい気持ちが満たされるからです。小さく分けて教えましょう。まずはかんたんなところから。大人がはかせかけたズボンを引き上げる、大人が広げたシャツに腕を通す。ひとつできたら、ひとつ足します。後ろからつなげる教えかたがよく効きます。大人がほとんどをして、最後のいちばんうれしい部分を子どもに仕上げてもらい、少しずつわたす部分をふやしていくのです。完璧さではなく、がんばりをほめましょう。「くつした、上まで引っぱれたね、むずかしいのに」。
できるときは、遊びにする
少しの楽しさが大きな力になります。腕を「電車が通るトンネル」にする、ゆるいタイマーと競争する、お気に入りのぬいぐるみもとなりで「お着がえ」する。ちょうど作業が終わるくらいの長さの歌は、自然な始まりと終わりをくれます。遊びがいちばん効くのは、大人が本当はあせっていないときです。子どもは本当のプレッシャーを感じとって意地をはるので、遊びは軽く、子どもがやる時間をあげましょう。
大人の口調はぶれずに
着がえが力くらべになったら、たいてい部屋の温度が結果を決めます。着がえを、言いあうお願いではなく、次に起こるただのこととして扱う、落ち着いて淡々とした大人は、頼みこむ大人やおどす大人より、いやがられにくいのです。子どもがきっぱりいやがったら、セーター1枚をめぐる意地のはりあいは避けましょう。選択肢を出し、少し待って、朝全体の流れは進めておきます。
着心地が、もっと大きな問題のとき
たいていの子にとって、着がえの苦労はよくあることで、上のような工夫で楽になります。ときには、反応がもっと強いこともあります。ほとんどの服の感触にひどく取りみだす、特定の素材、ぬい目、温度におえっとなるなど極端に反応する、毎日の暮らしに影響する感覚の敏感さの広いパターンの一部になっている、というときは、保健センターの保健師さんやいつもの小児科医に伝えてみる価値があります。こだわりの時期にラベルをはるためではなく、むずかしさがふつうをこえているなら、その子に合った助言をもらうためです。
時間をかけて落ち着いていく
着がえは、子どもが大きくなり、上手になり、自分で決められる感じがふえるにつれて楽になるので、よくなることの一部は時間が運んできてくれます。それまでの大人の役目は、とりのぞける障害をとりのぞくこと。心地よい服、前もって選んだ服、自立への小さな一歩、落ち着いた口調。そして、着がえがあせりの中におしこめられないよう、朝全体をゆったりさせておくことです。これを続ければ、毎日の意地くらべにせずに、朝の着がえを楽にできます。
ポイント: 前もって選んだ、心地よくシンプルな服と、小さな選択、育っていく自立は、どれだけ急かすよりも、毎朝の着がえの戦いをやわらげてくれます。