身近な物で塔をつくって、バランスを探ろう
2歳くらいの子に積み木の山を渡すと、上へ、上へと積みあげて、全体がぐらぐらしてガラガラッとくずれるまで続けます。そして笑って、また始めます。この、積んではたおれる終わりのないくり返しは、ただの遊びではなく、バランスの探究です。どうしてある塔は高く立って、別の塔は3つ目でたおれるの?家にある物がいくつかあれば、何が積みあげたものを安定させるのかを、お子さまといっしょに探れます。
塔が、ついやりたくなる理由
つくってくずすことは、子どもの大好きなふたつの気持ちにふれます。何かをつくった誇らしさと、気持ちよくくずれるスリルです。塔は毎回ちがうので、つくるたびに新しいなぞになり、くずれるたびに何がうまくいかなかったかをすぐに教えてくれます。やってみて、見て、直して、またやってみる、というくり返しは、まさに学びのリズムです。
安定した積みかたの考え
塔が立つのは、重さがしっかりした土台の上に、まんべんなくのっているときです。広くて重い底は安定させてくれて、せまかったり、ゆがんでいたりする底はかたむきやすくなります。ひとつの上にもうひとつをまっすぐ置くと塔はバランスがとれ、かたほうにずらすとかたむいて、やがてたおれます。お子さまが重心について知る必要はありません。たくさんの塔をつくって、どんな選びかたが積みあげたものを強くするかを感じればいいのです。
集めるもの
- もちろん木の積み木、それに紙コップ、小さな箱、缶、本、糸巻き。
- きれいに積めるものと、むずかしいものがまざるように、いろいろな形と重さを。
- 床や低いテーブルのような、平らで安定した面。
- くずれても、物も人もけがをしないように、まわりに少しのスペースを。
そろいの積み木より、毎日の物のほうが、おもしろい挑戦になることがよくあります。
いっしょにつくって、試す
身近な物の塔でバランスを探るには、毎回のつくる遊びをやさしい質問にしましょう。広い土台とせまい土台、どっちが高く立つと思うか聞いて、両方つくって見てみる。紙コップを口と口を合わせて重ね、次はさかさまに重ねて、どっちが安定するか気づく。重い缶を下に、軽い箱を上にのせ、それから入れかえて、どうなるか見る。毎回つくる前に予想して、それから試すと、積みあげることが本物の探究になります。
楽しさの下で起きていること
学びは手で感じる、深いものです。お子さまは、置きかたと塔が立つかどうかを結びつけ、原因と結果を発見します。広いとせまい、重いと軽い、高いと低いをくらべ、大きさと安定のことばを身につけます。計画して直し、くり返し試すことで問題を解きます。ひとつひとつていねいに置くうちに、指先がどんどん正確になります。そして、たおれることとつきあう練習をし、たおれるのは失敗ではなく情報だと学びます。塔のピースを数えると数の感覚がしのびこみ、高くてぐらぐらの塔と、低くてどっしりの塔をくらべると、高さと安定は同じではないとわかってきます。土台、安定、ぐらぐら、たおれる、といったことばで話しあうと、気づいたことを表すことばが身につきます。
挑戦を広げる
自信をもってつくれるようになったら、ハードルを上げましょう。立ったままの、いちばん高い塔をつくる挑戦をして、ピースを数える。やわらかいじゅうたんの上と、かたい床の上で、塔のふるまいがちがうか見てみる。トレーの上につくって、そっとゆらし、どのデザインがゆれに耐えるか試す、小さな地震ゲーム。ふたつのコップのあいだにスプーンをわたすような、変わった物のバランスをとってみて、どうしてそのまま落ちないのかを話す。どのアレンジでも、バランスが遊びの真ん中にありつづけます。
塔遊びを安全に
積みあげ遊びはたいてい安全ですが、気をつけておきましょう。いちばん高い塔には、くずれてもけがをしない、軽くて角のやわらかい物を使い、重い缶は低い塔だけにしましょう。塔は小さな子の頭から遠ざけ、2歳くらいの子が自分の上に引きたおせる場所につくらないでください。まだ物を口に入れる子には、飲みこめない大きさのピースを選びましょう。小さな部品はのどにつまる危険があります。くずれたあとに散らばったピースでだれもつまずかないよう、少しスペースをあけておきましょう。
気になることがあれば
これは合格も不合格もない、遊び心のある、プレッシャーの少ない学びです。ふだんの様子をいちばん知っているのは、やはり親です。手のコントロール、かんたんな問題を解く力、集中、体の動きに、もっと広い心配がある、年齢のわりに2つか3つ積むことさえとてもむずかしそう、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんにやさしく伝えてみるのは妥当なことです。早めの質問は、いつでも歓迎されます。
たおれるたびに、手がかりがひとつ
身近な物の塔でバランスを探ると、お子さまは、広くて平らな土台が安定した塔をつくり、ゆがんだ土台はたおれることを発見します。予想して、つくって、見て、直す。たおれるたびに、それを次の挑戦の手がかりにします。積み木、コップ、箱をまぜて集め、少しスペースをあけ、好奇心のある質問をして、お子さまに、つくって、くずして、またつくってもらいましょう。
ポイント: 身近な物を塔に積み、どれが立ったままか予想させてあげましょう。広くて平らな土台が塔を安定させると発見できます。重い物は低く、まわりは広くあけて。