おうちに小さな「科学のたな」をつくろう
お子さまがひとりで手の届く、低いたなを思いうかべてみてください。虫めがね、びんがいくつか、貝がら、懐中電灯。好奇心がわいたら、全部がそこにあって、すぐに探れます。科学を毎日の暮らしの一部にするのに、空き部屋も大きな予算もいりません。たなひとつ、かごひとつ、名前を書いた箱ひとつでも、ふしぎに思うことがいつも歓迎され、いつも手の届く場所になります。
決まった場所があると助かる理由
子どもは、見えて手の届くものを探ります。科学の道具が戸棚にしまわれていると忘れられ、目の高さにあると使われます。小さな科学のたなは、調べることは特別な日のことではなく、家の暮らしのふつうで毎日の一部だと、静かに伝えてくれます。自分でできる力も育ちます。大人に出してもらうのを待たずに、自分で選んで、探って、片づけられるからです。
置くもの
小さな科学のたなをつくるには、遊び方の決まっていない、さわりたくなる物を少しだけ集めましょう。一度に全部そろえる必要はなく、安い物や無料の物でぴったりです。
- 葉っぱ、布、肌をじっくり見るための虫めがね。
- 分けたり混ぜたりするための、透明なびんや小さな入れ物。
- 自然の宝物。貝がら、まつぼっくり、つるつるの石、羽根、種のさや。
- 影と光の遊びのための懐中電灯。
- いくつかの道具。スポイト、小さなじょうご、スプーン、ピンセット、ものさし。
- 見つけたことを記録するための紙とクレヨン。
小さく、すっきりと。そうすれば、ひとつひとつの物が、圧倒するのではなく、さわりたくなるものでありつづけます。
入れかえで、新鮮に
ずっと変わらないたなは、すぐに背景にとけこんでしまいます。コツは入れかえることです。季節やお子さまの今の興味に合わせて、2週間ごとくらいにいくつかの物を入れかえましょう。秋にはどんぐり、冬には氷や霜の道具、春には種と虫めがね。雨のお散歩のあとに試す材料のように、最近の質問とつながる物を出すのもおすすめです。このやさしい入れかえがたなを新しく感じさせ、お子さまにもどってくる理由をくれます。
さわりたくなる並べかた
見せかたは、思っている以上に大切です。物を小さなかごやトレーに分けると、さわりたくなって、テーブルまで運ぶのもかんたんになります。物の数は少なめにして、ひと目で全部見えるように。明るい場所で、近くに作業できる台があるところに置きましょう。並べるのをお子さまに手伝ってもらうと、自分でつくったたなは自分のものだと感じられます。きちんとした落ち着いた並びは、ぎゅうぎゅうのごちゃまぜより、ずっとていねいな探究に誘ってくれます。
お子さまが受けとるもの
科学のたなが育てるのは、知識だけではありません。お子さまは自分で選び、自分の興味についていく練習をして、自分でできる力とやる気が育ちます。道具をていねいにあつかい、あとで片づけることを学びます。何度も同じ材料にもどってきて、くり返しが理解を深めます。たながいつもそこにあるので、好奇心がイベントではなく習慣になり、自分は探って見つける人なんだ、とお子さまは思うようになります。なによりいいのは、たなもいっしょに育つことです。かつて貝がらと虫めがねがあった同じ一角に、のちにノート、小さなはかり、分けるためのボタンのびんが並び、お子さまの広がっていく質問に追いついていきます。どれもお金をかける必要はありません。いちばんおもしろい物は、もう家にある物や、お散歩でただで集めた物であることが多いので、たなは今日から、手もとにある物で始められます。
たなを安全に
開いたたなに何を置くかは、安全で決まります。小さな子には、ばらばらのビーズや小さな石など飲みこめる大きさの物はさけましょう。のどにつまる危険があるので、見守りのもとで遊ぶときだけにします。ガラス、とがった道具、毒のある物はやめて、プラスチックのびんと角のまるい道具を選びましょう。懐中電灯のボタン電池は、手の届かないところにしまってください。飲みこんだボタン電池は危険です。自然の拾い物はきれいで安全かを確かめ、口に入れないものについて、はっきりしたルールを決めておきましょう。
相談の目安
これは合格も不合格もない、落ち着いた、自分で進める学びです。毎日いっしょにいる親の目は、何よりたしかな手がかりです。集中、探ること、手の使いかた、物とのかかわりかたに、もっと広い心配がある、思っている年齢になってもまわりの世界にほとんど興味を示さない、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんに伝えてみるのは妥当なことです。早めに質問するのは、いつでも賢明で歓迎されます。
好奇心に、変わらない住所を
おうちに小さな科学のたなをつくることは、好奇心にずっと変わらない住所をあげることです。虫めがね、びんがいくつか、自然の宝物を手の届くところに置き、ときどき入れかえて、お子さまの年齢に合わせて安全にしておけば、毎日のふしぎが習慣に変わります。小さくてさわりたくなるコレクションを並べ、やさしく入れかえ、気分がのったときにいつでもお子さまが探りにもどってこられるようにしましょう。
ポイント: お子さまの手の届く低いたなに、安全で遊び方の決まっていない物をすっきり並べ、入れかえて新鮮に保ちましょう。自分で探ることが、毎日の習慣になっていきます。