知育アプリがやめられなくなったら
アプリについた「知育」ということばには、安心させる光があって、親の警戒をゆるめることがあります。ひらがなや数を学んでいるなら、たくさんやるほどいいんじゃないか、と。でも、知育をうたうアプリの多くは、いちばんやめられないゲームと同じ、注意をつかむしかけを借りています。どうしてもやめられない子は、アプリが何を教えると言っていようと、注目すべき何かを大人に見せているのです。
「知育」はラベルで、保証ではない
アプリを知育とよぶのに、きびしい基準はありません。だからこのことばは、中身より宣伝であることがよくあります。早い時期の学びを本当に支えるアプリもあれば、うすい知育のうわぬりをした、ふつうのゲームもあります。手がかりは、たいていアプリのふるまいにあります。ほかのゲームと同じやめられない引力で子どもをひきつけるようにつくられているなら、知育アプリの画面の線引きは、ただの娯楽と同じくらい大切です。お子さまに影響しているのは、ラベルではなくデザインだからです。
しかけを見つける
やめにくい学びのアプリは、やめられないゲームと同じしかけにたよりがちです。とぎれさせてはいけない連続記録、時間で出てくるごほうび、「もう1回」とせがむキャラクター、いつまでも終わりきらないステージ、たえまないお祝いの音やアニメーション。どれも、小さな子のもろい自制心をおしきるように設計されています。こうしたしかけに気づけば、知育という看板の向こうで、アプリが本当にしていること、つまり、やさしく教えるのではなく、お子さまの注意をうばいあっていることが見えてきます。
「学び」が線引きをゆるめてしまうわけ
知育という見せ方は、もっと画面の時間を許してもいい、線引きはそれほどいらない、と親にそっと思わせます。それこそが危ういところです。算数のゲームにくぎづけの子も、画面にくぎづけであることに変わりはなく、この年齢にとってとても大切な遊び、体の動き、人とのやりとりをのがしています。小さな子の画面の時間についての健康の指針は、知育の中身に例外をつくっていません。だから、アプリがどれほどりっぱに聞こえても、同じかしこい線引きが当てはまります。
本当の幼い学びは、もっと広い
小さな子が本当にいちばんよく学ぶのは、手を動かす遊び、会話、体の動き、本物の世界の探検を通してだと、思いだしておく価値があります。ひらがなをくり返し練習するアプリは学びのせまいひと切れで、つくること、ごっこ遊び、話すこと、汚れることの代わりにはなりません。この見方を持っていると、ぶれずにいるのが楽になります。アプリを消しても、お子さまから学びをうばっているのではありません。画面の外でしか起きない、もっと豊かで広い学びのための場所をあけているのです。
同じ、はっきりした線引きを
知育アプリにも、ほかの画面と同じ形が必要です。前もってどれくらいやるか決め、区切りのいいところか目で見えるタイマーを使い、食事や寝る前といった守りたい時間にはアプリを入れない。知育アプリの線引きを、ほかの画面とまったく同じにあつかえば、「学び」でおまけの時間がもらえるのかという、大人にもお子さまにもある混乱がなくなります。もらえません。そしてここでぶれずにいれば、たくさんの交渉をせずにすみます。
どうやめるかを、見る
アプリが終わったときのお子さまの反応は、たくさんのことを教えてくれます。わりと落ちついて次へ移れるなら、そのアプリはたぶん一日のなかに気持ちよくおさまっています。終わるたびに決まってかんしゃく、必死のおねだり、つりあわないほどの取りみだしが起きるなら、どれほど知育をうたっていても、そのアプリは助けというよりしかけなのかもしれない、というサインです。お子さまを高ぶらせ、やめられなくするアプリは、何を教えていようと、取りかえる価値があります。
本当にいい学びのアプリを選ぶ
すべての知育アプリが夢中にさせるためにつくられているわけではなく、いいものもあります。自然な終わりがあり、終わりのない連続記録やごほうびにたよらず、広告やしつこい課金がなく、定評のある教育系の会社や公共放送がつくっているアプリをさがしましょう。最近のレビューを読み、大人がためしてみて、やめられなさをあおっているか、落ちついた学びを支えているかを感じとれば、ランキングの上にあるものに流されるのではなく、信頼できる小さなセットがつくれます。
宣伝より、自分の判断を信じる
お子さまの大好きなアプリが、あきらかに手ばなしにくくつくられているなら、知育とうたっていても、消したり取りかえたりしていいのです。お子さまのことをいちばん知っているのは大人で、毎回消すたびにたたかいになるのは、先へ進むじゅうぶんな理由です。知育のバッジに、自分が見たことを言いくるめられないようにしましょう。ストアの説明にならぶ約束より、そのアプリがお子さまにどう影響するかのほうが、ずっと大切です。
バランスを保つ
知育アプリが悪いもの、使ってはいけないもの、ということではありません。かしこい線引きのなかで使えば、よく選んだアプリは、お子さまの一日の楽しい、小さな一部になりえます。大事なのは、どの画面にも向けるのと同じ、くもりのない目を向けること。しかけに気づき、線引きを守り、お子さまに必要な本物の世界での学びすべてとのつりあいのなかに、アプリを置いておくことです。そうすれば知育アプリは、こっそり主役になるのではなく、ひかえめで健やかな居場所におさまります。
ここがポイント: 「知育」はラベルで、保証ではありません。連続記録や終わりのないごほうびといったしかけに気づき、ほかの画面と同じはっきりした線引きを。アプリは、やめるときのお子さまの様子で判断しましょう。
AAP HealthyChildren, Healthy Digital Media Use Habits for Babies, Toddlers and Preschoolers
WHO, Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5 years