スマホの「おやすみ場所」を家族でひとつに

家の中の画面をめぐるもめごとの多くは、じつは画面そのものの問題ではありません。いつも手をのばせばとどくところに端末があって、静かに光りながら、食事や寝る前や、いっしょの時間にわりこむ準備をしている。そこが問題なのです。スマホとタブレットすべてに、休ませる場所をひとつ決めると、その場その場で引きよせられる感じが変わります。しかも、時間やアプリについての新しいルールはひとつもいりません。

休ませる場所がひとつあると、助かるわけ

小さな子は、時計より、その場の空気を読みます。親のスマホが画面を上にしてテーブルに置いてあると、小さな子は、いつでもあれに大人の注意を取られるかもしれないと学び、それと張りあおうとします。スマホが別の場所にあれば、その小さな張りあいは消えていきます。家族のスマホ置き場は、ただの棚、かご、トレー、引き出しで、決めた時間にはスマホやタブレットがそこで充電しながらじっとしている場所です。ひとりひとりが自分の意志の力でがんばるのではなく、家族みんなで同じスイッチを切るのです。

場所を選ぶ

目には見えるけれど、少しだけ手がとどきにくい場所を選びましょう。廊下の棚、台所のカウンターのすみ、玄関近くの小さな台など。寝室より家の真ん中のほうがうまくいきます。ねらいは、寝る場所から端末を遠ざけることだからです。口がいくつもある充電器を置けば、何台もひとつのコンセントで充電できます。そこにスマホを置くのがよけいな手間ではなく、自然なことに感じられるよう、まわりはすっきりさせておきましょう。

ばつではなく、楽しい場所に

置き場がスマホの「反省の場所」のように感じられると、大きな子も大人もいやがります。お子さまに小さなかごをかざってもらったり、トレーを選んでもらったり、看板を描いてもらったりしましょう。ここはあたたかさが大切です。伝えたいのは「スマホは悪いもの」ではなく、「ここは画面がねむる場所。だからわたしたちはいっしょにいられる」ということ。家族のスマホ置き場は、家でいちばん小さな人に押しつけるルールではなく、みんなの家族の習慣として感じられるときに、いちばんうまくいきます。

毎日の決まった場面にむすびつける

時間割をつくるのではなく、もうある流れにむすびつけましょう。食事のあいだ、寝る前の落ちつく時間、朝いちばんのひととき。こうした場面は毎日くり返すので、お子さまは毎回交渉するのをやめて、それを当然と思うようになります。WHOなどの公衆衛生の指針は、小さな子の食事と睡眠のまわりに画面のない時間をとることを一貫してすすめていて、ひとつの物理的な習慣が、それを静かにかなえてくれます。

まずは親から

子どもは、大人が言うことより、大人がすることをずっとよくまねします。夕ごはんで大人がスクロールしつづけながら、4歳の子にタブレットを置き場にもどすよう言っても、伝わりません。まず自分のスマホを、声に出しながら置き場にもどす。それが、どんな指示よりよく習慣を教えます。これは大人にとってもやさしいことです。家族の時間に通知を見るかどうか、いちいち決めなくてすむからです。

最初の1週間のぐらつき

ためされることは覚悟しておきましょう。子どもが置き場のタブレットを取ってきたり、大人がくせで鳴ったスマホに手をのばしたりします。それは失敗ではなく練習として、落ちついてあつかいましょう。「スマホはいまお休み中。あとでもどってくるよ」のような、短くていつも同じ言い方が助けになります。つくっているのは「こうなるもの」という見通しで、見通しは完璧な一晩ではなく、何日か一貫して続けることで落ちついていきます。

柔軟でいい日もある

置き場は基本の形で、牢屋ではありません。夕ごはんどきにおじいちゃんおばあちゃんからビデオ通話がかかってくる日も、旅行でリズムが変わる日も、何かの理由で本当にテーブルでスマホが必要なときもあるでしょう。例外を声に出して伝えれば、習慣はくずれません。はっきりした目的でちょっとだけもどってくる端末と、何の線引きもなく画面がずるずるもどってくることはちがうのだと、お子さまは学べます。

寝室には画面を持ちこまない

家族共通の置き場をつくるいちばん大きな理由のひとつは、睡眠です。寝室に画面があることは、寝る時間がおそくなることや眠りの質が落ちることとむすびついていて、青っぽい光で注意をひきつける端末の性質は、小さな体が眠りに向かうのをむずかしくします。すべてのスマホとタブレットが夜は家族の置き場で充電されていれば、寝室はおだやかな場所のままで、朝6時に幼児が暗い中でこっそりスワイプしている、という場面もさけられます。

心の健康について、そっとひと言

画面をおしまいにするたびに毎回ひどく取りみだす、端末がないとき、いつもよりしずんでいる、不安そう、ひきこもっているように見える、という場合は、押しきるのではなく、気にとめておきましょう。いやがる気持ちのほとんどは、ふつうの習慣の問題です。ただ、ときにはかかりつけの小児科医や地域の保健師さん、園の先生といっしょに考えたほうがいいことのしるしの場合もあります。一時的なかんしゃくより大きなパターンに感じたら、自分の直感を信じてください。

うまくいっていることを、ふり返る

2週間ほどたったら、何が変わったかに気づいてみましょう。食事のときの会話がふえた、寝る前のたたかいが減った、自分自身がスマホに引っぱられにくくなった、などなど。助けになった部分は残し、うまく根づかないところがあれば、置き場の位置や時間を調整します。目指すのは完璧なしくみではなく、もっと身軽で、いまここにいられる家です。

ここがポイント: スマホとタブレットには、寝室から離れた家族共通の充電場所をひとつ。まず自分のスマホを置き、食事と寝る前にむすびつければ、画面にはっきりした、おだやかなおやすみスイッチができます。

WHO, To grow up healthy, children need to sit less and play more

AAP HealthyChildren, Healthy Digital Media Use Habits for Babies, Toddlers and Preschoolers