幼児と「いっしょに見る」って、実際どうするの?

小さな子と画面についてのアドバイスには、ほとんど決まって「いっしょに見ましょう」と書いてあります。かんたんそうに聞こえますが、いそがしい家では、親が何かをすませるためにこそ画面をつける、というのが現実でもあります。いっしょに見るとは実際どういうことかを知り、1秒1秒にはりつかなくてもできる方法がわかれば、広くすすめられているこの考えが、本当の家族のなかで実際にできるものになります。

いっしょに見ることが大切なわけ

専門家がすすめつづける理由は、大人が加わると画面がずっと豊かな体験になるからです。幼児とひとつの番組をいっしょに見ると、ただ見ていることが、何が起きているか話したり、質問に答えたり、おはなしをお子さま自身のくらしにつなげたりする、いっしょの活動に変わります。それが、小さな子が見たものの意味をつかみ、ただ映像を吸いこむのではなく、そこから学ぶ助けになるのです。いっしょにいること自体が、大事な仕事をしています。

場面をひとつ残らず実況することではない

よくある誤解は、いっしょに見るには全部にコメントしなければならない、というものです。聞いただけで疲れますし、たいていの子はいやになってしまいます。実際の「いっしょに見る」は、ずっと気楽なものです。となりにすわって、ときどき顔を上げて、おもしろいところでいっしょに笑って、ときどき番組についておしゃべりする。大事なのは、実況することではなく、そこにいて関わっていることなので、ソファでわりとくつろいだままでも、いっしょに見られます。

いい「いっしょに見る」の聞こえ方

いちばん価値があるのは、見ることのまわりに織りこまれる会話です。「どうしてあの子、ああしたと思う?」「次はどうしたらいいかな」と、ちょうどいいときにひと言たずねると、お子さまはただ見るのではなく、考えるよう誘われます。「公園でこんな犬、見たよね」と番組をお子さまの世界につなげると、つながりが深まります。このやさしい行き来こそが、幼児といっしょに見る時間を、画面の時間から考えて話す時間に変えるところです。

見ているときだけでなく、前とあとにも話す

いっしょに見ることは、画面がついているあいだにかぎらなくていいのです。見る前に何を見るか少し話し、見たあとに何が起きて、何が気に入ったか話せば、番組をじゃませずに、よさをのばせます。いちばん豊かな会話のいくつかは、子どもが頭の中でおはなしをくり返している、画面を消したあとに生まれます。いそがしい日でも関わる、自然な方法にもなります。

大人の注意は、現実的に

正直に言って、画面の時間を毎回まるごといっしょに見る親はいませんし、その必要もありません。画面のおかげで料理をしたりひと息ついたりする20分が手に入ることもあり、それは正当で、ふつうのことです。目指すのは、大人がそばにいるかどうかを取りしまることではなく、お子さまの視聴のそれなりの部分が、いつもひとりきりではなく、いっしょで、あたたかく、やりとりのあるものになっていることです。まざっていて、まったくかまいません。

いっしょに見る価値のある中身を

いっしょに見ることは、それを誘ってくれる中身のほうが、楽で楽しいものです。ひと息おいたり、質問したり、はっきりしたおはなしを語ったりする、ゆっくりめのやさしい番組なら、話すきっかけが自然にありますが、めまぐるしく、すき間のないおすすめの流れでは、入る余地がありません。おだやかで年齢に合ったものを選べば、幼児といっしょに見る時間は自然に流れますし、それはふるいにもなります。お子さまとよろこんでならんで見られる中身は、たいてい、それだけでいい中身だからです。

お子さまの合図についていく

どれくらい関わってほしいかは子どもによってちがい、わが子を読みとることが大切です。おしゃべりしながら見るのが大好きな子もいれば、大好きな番組のあいだに大人が話しすぎると、いらいらする子もいます。お子さまの反応を見て、合わせましょう。ときには、静かにとなりにいること、ソファで抱っこしてときどき目を見かわすことが、いちばんの「いっしょに見る」になります。それもつながりです。どれくらいおしゃべりな時間にするかは、お子さまに決めてもらいましょう。

メディアを見る目を育てるきっかけに

幼児が大きくなるにつれて、いっしょに見ることは、メディアを見ぬく力をやさしく育てはじめる方法にもなります。これは広告だね、アニメはつくりものだよ、と声に出して気づくことで、ものごとをよく考える力の早い芽を植えられます。お説教をするのではなく、画面がどうできているかを、ときどきことばにするだけ。ひとりで見ているときより、となりで見ているときのほうがずっとやりやすく、この習慣の、静かで長く続くよさのひとつです。

本当のくらしに合わせる

すべてをひっくり返さなくても、いっしょに見る時間を1週間に組みこめます。週末に家族でいっしょに見る映画、午後の最初の番組だけいっしょに見て、そっとぬけて用事をすませる、など。本当にいっしょで、やりとりのある数分があるだけでも、その時間全体の価値が上がります。目指すのは、いっしょに見ることが、お子さまの画面のくらしのいつもの一部になっていることで、めったにないイベントではありません。

つまるところ

いっしょに見ることは、たえまない見はりというより、いっしょにいること、つながることです。できるときはお子さまのとなりにすわり、番組のまわりでおしゃべりし、会話を誘ってくれる中身を選び、どれくらい関わるかはお子さまについていく。そうすれば、「いっしょに見ましょう」というアドバイスは、またひとつのむりな基準ではなく、画面が家族にどうおさまるかの、あたたかく、手のとどく一部になります。

大切なこと: いっしょに見るとは、場面をひとつ残らず実況することではなく、あたたかくそばにいて、ときどき番組のまわりでおしゃべりすること。できるときにとなりにすわり、話したくなる中身を選び、お子さまの合図についていきましょう。

AAP HealthyChildren, Where We Stand: Screen Time

WHO, Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5 years