長時間保育でも、親子のつながりを深めるには

仕事の都合で、わが子が朝から夕方まで長い時間を保育園で過ごしている。そうなると、親子のきずなが心配になるのは自然なことです。この子はまだ自分を近くに感じてくれているだろうか。大事なところを見のがしていないだろうか。まず、安心できる答えをお伝えします。子どもが安心できる愛着を育てるのは、いっしょにいる時間の長さではなく、つながりの質と確かさです。長時間保育でも、親子のつながりはしっかり保てます。必要なのは大きなことではなく、小さな、いつも変わらない瞬間の積みかさねです。

大切なのは量より質

愛着について長年わかってきたことは、同じところを指しています。安心できるきずなを育てるのは、あたたかく、こたえてくれて、見通しのある関わりです。親はかならず戻ってくる、自分の気持ちをわかろうとしてくれる、いっしょにいると安心で愛されていると感じる。そう知っている子は、親と会うのが一日2時間でも10時間でも、安心した愛着をもっています。少し肩の力をぬいてください。限りない時間はいりません。必要なのは、今ある時間に本当にそこにいることです。

朝を、あわただしさではなく、ひとときに

一日のはじまりが、気持ちの色を決めます。あわただしい受けわたしの前に5分でもゆっくり寄りそうほうが、ばたばたの1時間よりも多くのものを届けます。

  • スマホや段取りに追われる前に、ぎゅっと抱きしめて、少し目を合わせる時間をつくる。
  • ふたりだけのあたたかいお別れのルーティンを使う。
  • 次にいつ会えるかを短く話して、子どもが「迎えに来てくれる」を心に持っていられるようにする。

落ち着いてつながった朝は、一日がふたりを離してしまう前に、きずなはちゃんとここにある、と子どもを安心させます。

再会のひとときを大切に

おむかえと夜の時間は、宝物です。どんなに疲れていても、再会は子どもの一日の中でとりわけ大切な瞬間のひとつです。

  • 数分間はスマホをしまって、うれしさいっぱいに、全部の注意を向けて迎える。
  • 10分でもいいので、子どもが決めた遊びや絵本に、ゆっくりつきあう。
  • できる日は、家事ではなくつながりが主役になるくらい、夜をゆったりと。

こうした、ほかに気をとられない関わりを毎日くり返すと、「あなたは大切な存在だよ」と子どもに伝わります。そのメッセージは、合計の時間よりずっと深く届きます。

小さな「わが家のならわし」を

くり返される小さなならわしは、忙しい毎日のなかで、きずなをつなぎとめる糸になります。凝ったものでなくてかまいません。

  • 自転車や車で歌う決まった歌、ふたりだけのひみつの握手、寝る前にかならず言うことば。
  • いっしょにするお仕事。ねこにごはんをあげる、植木に水をやる。
  • その子だけの決まった時間。お風呂、帰り道、おむかえのあとの最初の10分。

毎日起こることだからこそ、こうしたならわしは、長い時間離れていても、子どもに「親はいつもここにいる」という確かな感覚をくれます。

離れている時間に橋をかける

子どもが一日を通して親を感じていられるよう、手助けできます。

  • 園が許すなら、家族の写真や家の小さなものをかばんに入れておく。
  • 先生やお友だちのことをあたたかく話して、園の世界が家と別のものではなく、つながっていると感じられるようにする。
  • 一日の終わりに、園での生活に心から興味を向け、したことを具体的に話題にする。連絡帳を読みながら話すのもいいでしょう。

家と園を正反対のものとして扱うのではなく、ふたつの世界を混ぜあわせると、子どもは自分がまるごと受けとめられていると感じられます。

寝る前を、ゆっくりと

寝る前の時間は、忙しい一日の中でいちばん落ち着いて、いちばんつながれる時間であることが多いので、大切に守りましょう。絵本、ぎゅっ、静かなおしゃべり。見通しのある、急がない寝る前の流れは、ふたりに毎日ふれあいをくれます。働く親の多くが、いちばん深くつながれるのは寝る前だと感じています。ほかのことがすべて止まる時間だからこそです。

罪悪感を手ばなす

子どもが長い時間保育園にいる親のほとんどが、罪悪感をかかえています。それに名前をつけておくと、いっしょの時間の喜びをうばわれずにすみます。罪悪感があるからといって、何かまちがったことをしているわけではありません。愛情ある質のよい保育と、家でのあたたかく確かな関係の組み合わせは、子どもにとって本当によいものです。罪悪感にさいなまれてぴりぴりしている親より、いっしょの瞬間を心から楽しむ、落ち着いた笑顔の親のほうが、子どもにたくさんのものを届けます。自分にやさしくしてください。

いつも変わらないこと

いちばん大きな力をもつのは、確かさです。子どもは、毎日が完璧である必要はありません。必要なのは、親を頼りにできること。お別れも、おむかえも、寝る前の絵本も、自分を見て喜んでくれる親も。毎日変わらずにあることが、長時間保育を、そしてその先を乗りこえていく深い安心を育てます。

心の健康について

保育時間が長いこと自体に、注意すべき健康上のサインがあるわけではありません。ただ、親の直感は信じてください。長い期間にわたってずっとひきこもっている、いつになく元気がない、こわがっている、できていたことが大きく後戻りしたまま戻らない、保育について何か気がかりがある、という場合は、地域の保健師さんに相談しましょう。多くの家庭にとって、長い保育時間はただ働く暮らしの一部で、強いきずなはそのすぐとなりでちゃんと育っていきます。

ポイント: 長時間保育でも、親子のつながりは量より質。急がない再会、毎日の小さなならわし、おだやかな寝る前の時間、そして子どもが頼りにできる変わらない愛情を大切にしましょう。

UNICEF, Parenting: Child development

CDC, Positive Parenting Tips: Toddlers