保育園から帰ると機嫌が悪いのはなぜ?
先生の話では、今日も楽しく過ごしたらしい。それなのに家に着いて数分で、コップの色がちがうというだけで、わが子はぐちゃぐちゃに泣きくずれる。小さな子の子育てでいちばん不思議で、いちばん消耗することのひとつかもしれません。でも、園から帰って荒れるのには、ちゃんとした理由があります。理由がわかると、わけのわからなかった夕方が、なんとかやっていけるものに変わっていきます。
いちばんの理由は、一日がんばっていたから
いちばん大きな原因は、まさにぴったりの名前で呼ばれています。「がまんの反動」です。一日じゅう、集団の中で、子どもは気持ちを保とうと一生けんめいです。決まりを守り、順番を待ち、おもちゃを貸し、親なしでやっていき、次々にやってくる新しい経験をこなす。こんなに小さな子にとって、それは大変な自制心が必要なことです。心から安心できるただひとりの人である親のもとに戻ると、そのがんばりが止まり、ずっとこらえていたものがどっとあふれ出します。つまり、かんしゃくは悪い一日だったしるしではなく、親といるとどれほど安心できるかのしるしなのです。
疲れと空腹が、上に重なる
さらに、体にかかわるふたつのことが、夕方をいっそう大変にします。
- 疲れ。忙しい園の一日に、お昼寝が短かったりできなかったりが重なると、気持ちを整えるのに必要な力そのものが、多くの子で残り少なくなります。
- 空腹。夕方には血糖値が下がり、おなかのすいた子はとても気が短くなります。園でのお昼をあまり食べなかった日は、なおさらです。
疲れすぎて小腹がすいていて、しかも自制心を使いきったばかりの子が、ちょっとしたことで爆発しやすいのは、無理もないことです。
刺激の受けすぎと、切りかえの衝撃
集団での一日は、にぎやかで、忙しくて、受けとるものがいっぱいです。刺激を受けすぎて、心も体もざわざわしたまま、静けさを必要として帰ってくる子もいます。そのうえ、夢中になれる園の世界から家へ移ること自体が切りかえで、小さな子にとって切りかえはむずかしいものです。遊びから引きはなされ、別の場所に切りかえさせられることが、最後のひと押しになることもあります。どれも、わざと困らせているわけではありません。子どもの心と体が、もういっぱいなだけなのです。
その場で助けになること
かんしゃくが起きたとき、いちばん力をもつのは親の落ち着きです。
- あたたかく、どっしりと。嵐にいらいらでこたえると、嵐はますます強くなります。落ち着いた親がそばにいることが、子どもの気持ちを整える助けになります。
- まず、つながる。ぎゅっと抱きしめてやさしいことばをかけるほうが、どんな理屈よりも効くことがよくあります。「今日はほんとうにがんばったね。だいじょうぶ、ここにいるよ」
- 求めることを減らす。質問や指示や段取りをたくさん重ねる時間ではありません。
- 少し見守る。親が近くにいるなかで、気持ちを安全に出しきることが必要なときもあります。
夕方の流れを整えて、いちばん大変な場面を防ぐ
かんしゃくのない夕方を約束することはできませんが、着地をやわらかくすることはできます。
- すぐに食べさせる。お迎えのときのおやつを用意しておき、登園日は夕ごはんを早めに。
- 刺激は少なめに。よけいな用事やにぎやかな予定は別の日に。くたくたの子に必要なのは、さらなる刺激ではなく静けさです。
- 静かにふれあう時間を入れる。床で遊ぶ、絵本、お風呂、親とのゆったりした時間。
- 早めの就寝を守る。疲れすぎた子は、早く布団に入るだけで大きく助けられます。
親の心を守るための見かた
一日じゅう会いたかったうえに自分も疲れているのに、涙とかんしゃくで迎えられると、ちくりと胸が痛みます。そんなときは、かんしゃくの本当の意味を思い出してください。わが子は、親の前でならくずれても大丈夫だと思えるほど、親を信頼しているのです。一日じゅう見せていた勇気と、親の前で見せるゆれは、同じ安心したきずなの表と裏です。そう考えても泣き声は小さくなりませんが、受けとめやすくはなります。
時間をかけて
園のあとのかんしゃくは、何もかもが新しくて疲れる慣らしの数週間にいちばんひどくなりやすく、子どもが慣れるにつれて、たいていやわらいでいきます。落ち着いた見通しのある夕方の流れ、守られた眠り、早めの食事が、時間をかけてかんしゃくを大きく減らしてくれます。ここでは、いつも同じであることが味方です。
もう少しよく見たいとき
園のあとのかんしゃくは、保育園に通う小さな子によくある、ふつうのことです。ただ、何週間も極端なかんしゃくが続き、少しもやわらぐ気配がない、ただ疲れきっているのではなく、一日のことを本当につらがったりこわがったりしている、できていたことが大きく後戻りしている、新しいこわがりが出てきた、保育について心配になることを言ったり見せたりする、という場合は、そっともう少しよく見て、園や地域の保健師さんに伝えましょう。そうしたときは、落ち着いて話し合うのが賢明です。でもほとんどの場合、園のあとのかんしゃくは、疲れていて、愛されている子が、長い一日を自分が知るいちばん安全な場所で手ばなしているだけ。やわらかい夕方こそが、いちばんやさしいこたえです。
ポイント: 保育園から帰って荒れるのは、一日がんばって、親といるなら気持ちを手ばなしても安全だと感じているから。つながりなおし、何か食べさせ、夕方は静かに過ごし、少し早めに寝かせましょう。