保育園の朝、別れ際に泣く子に親ができること
泣いているわが子に背を向けて園を出る。親にとって、これほど胸が痛む瞬間はなかなかありません。毎朝、玄関でしがみつかれて涙のお別れになっているとしても、親のやりかたがまちがっているわけでも、お子さまに何か問題があるわけでもありません。別れ際に泣くのは、保育園に通いはじめた子にとって、いちばんよくある、ごく自然な姿のひとつです。ここでは、その瞬間を本当にやわらげてくれる小さな工夫を紹介します。
泣くのは、どんな気持ちのあらわれ?
小さな子がお別れに抵抗するのは、親との愛着がしっかり育っているしるしです。親が自分の安全基地だとわかったからこそ、離れたくないのです。2歳ごろにかけては分離不安が強くなりやすく、それまですんなり別れられていた子でも、泣きはじめたり、泣きかたが激しくなったりします。泣くのは気持ちを伝えているのであって、保育園や親への「だめ出し」ではありません。
そして、多くの親が見ることのない場面があります。玄関で泣いていた子の大半は、親がいなくなって数分もすると泣きやみ、遊びはじめるのです。親が帰ったあと、どのくらい泣いているのかを、担任の先生に正直に教えてもらいましょう。その答えに、ほっと力が抜ける親はとても多いものです。
さよならは、あたたかく短く
お別れを長引かせると、かえってつらくなりがちです。親がぐずぐずと残っているほど緊張は高まり、子どもは「これはこわい場面なんだ」と感じとります。迷いながらのさよならより、自信をもって、愛情をこめて、あわてずに別れるほうがうまくいきます。
- ぎゅっとして、毎回同じ決まりのことばをかける。
- 親が自分で引きはがすのではなく、なじみの先生に抱っこしてもらう。
- 何時に迎えに来るかを、子どもにわかることばではっきり伝える(「お昼寝して、おやつを食べたらね」)。
- そして、行く。「もう一回だけぎゅっ」と戻らない。
何度も戻ったり、窓の外から見守り続けたりすると、たいていまた泣きはじめます。そして子どもは、たくさん泣けば予定が変わるかもしれない、と覚えてしまいます。
小さな「お別れの儀式」をつくる
子どもは、いつも同じことに安心します。短くて毎回変わらないお別れの流れがあると、子どもにはつかまるものができます。ほっぺに2回チュッとして、いつもの窓から手をふる。ふたりだけのタッチ。お気に入りのタオルをいっしょにかばんに入れる。中身よりも、毎回同じであることが大切です。毎日くり返すうちに、それは「ここでいったんお別れ。でも最後はかならず迎えに来てくれる」という道しるべになります。
親の顔と声を、落ち着かせて
小さな子は、大人の表情を読む名人です。親の声がふるえていたり、つらそうな顔をしていたりすると、子どもは「何か心配なことがあるんだ」と受けとります。本当に落ち着いている必要はありません。でも、その30秒だけ落ち着いて見えるようにすると、大きな助けになります。親の涙は、駐車場や駅までとっておきましょう。10分後に先生から「もう遊んでいますよ」とひと言もらえると、それで午前中を乗りきれるという親も多いものです。
朝の時間から整える
あわただしくばたばたした朝は、みんなの気持ちを不安定にします。別れ際の涙が続くときは、玄関の場面だけでなく、朝全体を見直してみましょう。
- 誰も急がずにすむよう、余裕をもって起きる。
- おなかがすくと気が短くなるので、朝ごはんをしっかり食べさせる。
- 服や園のかばんは、前の晩に用意しておく。
- 園に向かう道で、今日の一日を明るく、かんたんに話す。
おなかが満たされ、よく眠れていて、急かされずに着いた子は、お別れを乗りこえる力がそれだけ残っています。
園の先生と、チームになる
先生たちは毎日この場面に立ち会っていて、いろいろな子を見てきています。親が帰ったあと、わが子には何が効いているのかを聞いてみましょう。大好きな先生にすぐ抱っこしてもらうと落ち着く子もいれば、決まった遊びに誘われたり、ちょっとしたお手伝いをまかされたりすると切りかえられる子もいます。毎朝同じ先生が迎えてくれるだけで、ずいぶん変わることもあります。家でうまくいっていることも伝えて、みんなで同じ話をしましょう。
ある程度の期間、続けてみる
慣れるのは、スイッチではなく、少しずつ進むものです。多くの子は2週間ほどかけてなじんでいきますが、クラスの変化、病気、長いお休み、成長の節目などで、しばらく涙が戻ってくることもあります。毎日やりかたを変えると子どもの不安が増すだけなので、ひとつのやりかたを1〜2週間はじっくり続けてから、効いているかどうかを判断しましょう。
もう少し注意して見たいとき
朝の涙が続くのは、たいていは慣れる途中だからです。ただ、数週間たってもまったくやわらがない、数分ではなく一日の大半を激しく泣いている、ただ悲しいというよりこわがっているように見える、園で食べない、眠れない、保育のされかたに少しでも心配がある、という場合は、担任の先生や地域の保健師さんに相談してください。親の直感を信じて、遠慮なくたずねましょう。
ポイント: 別れ際の涙には、落ち着いた短い、いつも同じさよならと、ゆとりのある朝を。そして、親が帰ったあとどのくらいで落ち着いているかを先生に確かめてみましょう。
HealthyChildren.org (AAP), How to Ease Your Child's Separation Anxiety