お迎えでも泣く子、その涙の意味と関わりかた
朝のお別れの涙は覚悟していても、一日の終わりの涙のことは誰も教えてくれません。両手を広げてお迎えに行き、うれしい再会を思いえがいていたのに、わが子はわっと泣きだす。ぐにゃりと力がぬける、帰らないと言いはる、靴箱の前でひっくり返って大泣き。お迎えでも泣かれると、わけがわからず、少し傷ついてしまうこともあります。でも安心してください。これはよくあることで、たいていはむしろよい意味をもっています。
楽しい一日が、涙で終わる理由
いちばんありそうな理由はシンプルです。一日じゅう、がんばっていたのです。勇気を出し、決まりを守り、おもちゃを貸し、親なしでやっていく。小さな子にとって、それは本当に力のいることです。どんなにあたたかい園でも、家ではないから、ふたをしてがまんしています。そこへ、心から安心できるただひとりの人があらわれ、ふたがはずれる。こらえていた気持ちが、親の顔を見たとたん、どっとあふれ出るのです。
これは「がまんの反動」と呼ばれることもあります。親がそこにいることが、やっと気持ちをくずしても大丈夫だという合図になるから起こるのです。何かがおかしいしるしどころか、親がその子の安全基地であるしるしです。お迎えでも泣くのは、いちばんつらい気持ちを、いちばん安全な置き場所である親にわたしている、ということなのです。
ほかの理由
実際的なことも、いくつか重なっていることがあります。
- 疲れと空腹。夕方には、残りの力が少なくなっています。疲れすぎて小腹のすいた子は、すぐにくずれます。
- 切りかえそのもの。夢中になっていた遊びやお友だちから引きはなされるのは、ほかの切りかえと同じように、がくんと来るものです。
- 刺激の受けすぎ。長くて、忙しくて、にぎやかな一日のあと、心がすり減ってひりひりしている子もいます。
- まざりあった気持ち。会えてうれしいし、置いていかれたことに怒ってもいる。どちらも同時に本当の気持ちです。
その場で本当に役に立つこと
機嫌をとろうとしたり、急いで帰ろうとしたりしたくなるかもしれません。でも、落ち着いてゆっくりのほうがうまくいきます。
- しゃがんで、まずつながる。目の高さになって両手を広げ、子どもから来るのを待つ。段取りより、まずつながりなおすこと。
- シンプルにことばにする。「今日はがんばったね。会えてすごくうれしいよ」。急かされるより、わかってもらえたと感じるほうが、子どもは早く落ち着きます。
- 自分への拒否と受けとらない。涙は拒絶ではなく、信頼です。親があたたかく動じずにいると、子どもは気持ちを整えやすくなります。
- ひと呼吸おく。上着やかばんを集める前に少しぎゅっとすると、嵐が通りすぎます。
- 親の声はやわらかく。かんしゃくにいらいらでこたえると、火に油を注ぐだけです。
帰りの切りかえを、なめらかに
園を出る場面そのものが、もめごとの種になることもあります。とくに遊びに夢中になっているときは。少しの工夫でなめらかになります。
- できる日は数分早めに着いて、急がなくてすむようにする。
- やさしく予告する。「あと2分したら、上着を着ようね」
- 作ったものや遊んでいたものを見せてもらうと、帰ることがとつぜんに感じにくくなる。
- 帰り道用に、おやつと飲み物を用意しておく。空腹が問題の半分であることはよくあります。
夕方からの時間を、やわらかく
お迎えの涙がそのまま荒れた夕方につながるなら、疲れて気持ちを使いはたした子が、忙しさではなくやわらかい着地を必要としている、と考えましょう。
- 園のあとの予定は軽めに。よけいな用事は、できれば別の日に。
- 静かにふれあう。ソファでぎゅっ、絵本、床でいっしょにごろごろ。
- 早めに食べさせる。おなかがすいていると、何もかもが大変になります。
- 寝る前は落ち着いて。一日でくたくたになっているなら、少し早めに寝かせましょう。
わが子は、わざと困らせているわけではありません。エネルギーがからっぽで、親とつながりなおしているのです。やさしい夕方が、もう一度満たしてくれます。
親自身の受けとめかたを変える
一日じゅう会いたかったのに、泣きじゃくって迎えられると、本当にがっかりします。そんなときは、涙の意味を思い出してください。わが子は、親といるときなら気持ちを手ばなせるほど、親を信頼しているのです。一日が実際どうだったかを先生に聞いてみましょう。お迎えで泣いた子が、実はとても楽しい一日を過ごしていた、ということはよくあります。その話を聞くと、心配が安心に変わります。
もう少しよく見たいとき
お迎えの涙は、たいていはふつうの気持ちのはき出しです。ただ、毎晩つらさが激しく長く続く、ただ疲れているのではなく、一日のことを本当にいやがっている、こわがっているように見える、長く落ち着いていたのに急に変わった、園で食べない、飲まない、扱われかたについて心配になることを言う、という場合は、そっともう少しよく見てみて、園にも伝えましょう。そうしたときは、担任の先生や地域の保健師さんと落ち着いて話すのが賢明です。でもほとんどの場合、園のあとのかんしゃくは、愛情と疲れがいっしょにやってきただけなのです。
ポイント: お迎えでも泣くのは、たいてい一日がんばって、親といるなら気持ちを手ばなしても安全だと感じているから。まずつながり、何か食べさせて、夕方はやさしく過ごしましょう。