保育園に通いはじめて家で荒れる、どう向き合う?
保育園が始まるとき、親は朝のお別れで泣くことは覚悟しています。思いがけないのは、家での変化のほうかもしれません。かんしゃくが増える、べったりになる、急に反抗する、夜中に起きる、もう卒業したと思っていた習慣が戻ってくる。まるで、かわいいわが子が別の子と入れかわってしまったように感じることもあります。まず知っておきたいのは、こうした変化はたいてい、大きな変化へのふつうの反応であって、何かがうまくいっていないサインではないということです。
入園で行動が変わるのは、なぜ?
保育園に通いはじめるのは、小さな子の人生でもとくに大きな変化のひとつです。園でうまくやれているときでも、そのがんばりは、いくつかのよくある形で家にあふれ出てきます。
- がまんの反動。一日じゅう決まりを守り、親なしでがんばった子は、安心できる家に帰ったとたん、ためこんだ気持ちを出します。
- 大きな気持ちと、少ないことば。わくわく、疲れ、不安、いっぱいいっぱい。でもそれを言うことばがないので、行動として出てきます。
- 疲れ。新しい流れと忙しい一日で、多くの子が疲れすぎになります。疲れた子は気持ちがゆれやすく、うまく対処できません。
- つながりを求めて。べったりや、ためすような行動は、離れていた時間のあとに親とつながりなおそうとするサインのことがあります。
- 刺激の受けすぎ。長くて、にぎやかで、忙しい一日のあと、子どもの心はすり減ってひりひりしています。
正す前に、まずつながりなおす
いちばん役に立つのは、行動にまずつながりでこたえることです。園から帰って荒れている子は、たいてい親を恋しがっていて、がんばる力を使いきっています。行動に向き合う前に、まず心のタンクを満たしましょう。
- おむかえのときやそのあとは、目の高さにしゃがんで、あたたかく気持ちを向ける。
- 10分でもいいので、子どもが決めた遊びにじっくりつきあう、ふたりだけの時間をとる。
- 見えていることを、やさしくことばにする。「今日はがんばったね。ずっとがまんしてるのは大変だったよね」
つながりを取りもどせたと感じると、しつけが必要になる前に、行動がすっと落ち着くことがよくあります。
家は、落ち着いて見通しのある場所に
子どもの世界の一部が変わったとき、変わらないなじみの家庭は心のよりどころになります。見通しのある毎日の流れは、小さな子を本当に落ち着かせてくれます。ごはん、お風呂、寝る時間はいつもどおりに進め、慣れるまでの数週間は、子どもに求めることを少し減らしましょう。刺激の少ないゆったりした夕方は、くたくたの子の気持ちをしずめてくれます。園のあとに予定をつめこむ時期ではありません。
あたたかく、線引きは守る
行動の理由がわかったからといって、何をしてもいいわけではありません。いつもの決まりが変わらずにあるほうが、子どもは安心します。自分がぐらぐらしていても、大人はぶれない、とわかるからです。コツは、やさしさとしっかりさの両方を保つことです。
- 大事な決まりは、落ち着いて、いつも同じように守る。
- 気持ちは受けとめながら、決まりは保つ。「遊びをやめるのはいやだったね。でも、お風呂の時間だよ」
- 気持ちを罰するのではなく、行動をみちびく。
- できるところでは選ばせて、自分で決められる感覚を少し返す。
眠りを守る
園のあとの荒れの多くには、疲れがかくれています。眠りが足りない子は、気持ちがゆれやすく、反抗的になり、寝かしつけもむずかしくなります。とくに登園日は、寝る時間を早めることをためらわず、まだ必要なお昼寝は守り、寝る前の流れはおだやかに。眠りが整うと、荒れの半分がおさまることもよくあります。
園と話してみる
家での様子がはっきり変わったら、先生とちょっと話すと全体が見えてきます。一日を通してどんな様子か、何か変わったことはないかを聞いてみましょう。家での行動が、園で起きていることを映していることもあります。お友だちとの関係、クラスの変化、あるいはただ慣れるためのがんばり。お互いに情報を伝えあうと、家でも園でも同じように子どもを支えられます。
時間をかけて、自分も責めずに
慣れるまでの行動の変化の多くは、子どもが新しい毎日に慣れるにつれて、数週間のうちにやわらいでいきます。大きな対策に飛びつくより、でこぼこの時期を気長に乗りきりましょう。そして、自分にやさしく。つらそうなわが子を見ながら、自分も疲れているところに手のかかる行動が重なるのは、本当に消耗することです。保育園を選んだからこうなったわけではありません。変わらない愛情と落ち着いた毎日の流れこそが、今のわが子に必要なものです。
もう少し注意して見たいとき
大きな変化の時期に行動がゆれるのはふつうのことです。ただ、激しい変化が何週間もよくならずに続く、ただ疲れてためしているのではなく本当にこわがっている、ひきこもっている、ずっと悲しそうにしている、できていたことが大きく後戻りしたまま戻らない、新しいこわがりや眠りの問題がおさまらない、保育について心配になることを子どもが言ったり見せたりする、という場合は、園や地域の保健師さんに落ち着いて相談してみましょう。親の直感を信じてください。とはいえほとんどの場合、園のあと家で手がかかる子は、疲れていて、愛されていて、大変だった一日を、自分が知るいちばん安全な場所で出しているだけなのです。
ポイント: 入園後に家で荒れるときは、正す前にまずつながりなおし、家を落ち着いた見通しのある場所にして、眠りを守り、子どもが新しい毎日に慣れるまで、あたたかく線引きを保ちましょう。