登園前の朝をおだやかに、ルーティンのつくりかた

園でのお別れがうまくいくかどうかは、玄関に着く前にほとんど決まっています。「靴はどこ!」とどなりあうような、ばたばたの朝は、みんなを涙の一歩手前に追いこみます。反対に、急がない朝は、子どもに落ち着いたスタートをくれます。登園前の朝の流れを整えるのは、いちばん効果の大きい工夫のひとつです。お別れの場面だけでなく、家族みんなのストレスが軽くなるからです。

おだやかな朝が、なぜそんなに大切?

2歳から就学前くらいの子には、大人のようなブレーキがまだありません。急かされたり、親のいらいらを感じとったり、おなかがすいて半分寝ぼけていたりすると、あっという間に泣いたり、いやがったりします。見通しのある、ゆったりした朝には、ふたつの効果があります。子どもの気持ちが落ち着いたままでいられること。そして親の気持ちも落ち着いたままで、お別れの場面に心のゆとりを残して着けることです。

明日の仕事は、今夜のうちに

いちばん効くのは、朝の仕事を前の晩に移すことです。夜のほうが落ち着いていますし、前の晩にすませたことは、朝8時のもめごとの種がひとつ減ることになります。

  • 服を出しておく。靴と上着もいっしょに。
  • 園のかばんを用意する。着がえ、おむつ、お気に入りのタオル、水筒。
  • 朝ごはんは下ごしらえするか、すぐ出せるものに決めておく。
  • 親の荷物も玄関にまとめておく。

めざすのは、探すものも、決めることも、ひっくり返すものもない朝。決めることが少ないほど、言いあいも減ります。

時間のゆとりを守る

急ぐことは、おだやかさの大敵です。そして、たいていは起きるのが遅いところから始まります。家を出る時刻から逆算して、たっぷりのゆとりを足しましょう。小さな子は自分のペースで動き、急かすとかんしゃくになるからです。15分早く起きるのは、はじめはつらく感じますが、すぐにその価値がわかります。全力疾走の朝が、散歩のような朝に変わります。

朝の流れに、いつも同じ形を

子どもは、次に何が来るかがわかると安心して動けます。毎日だいたい同じ順番で進めると、子どもは一つひとつ言われなくても、自然と朝を進められるようになります。

たとえば、起きる、ぎゅっとする、トイレかおむつ替え、着がえ、朝ごはん、歯みがき、靴と上着、出発。壁にはったお支度ボードがあれば、小さな子でも順番が目で見てわかり、できた自分を誇らしく思えます。流れが「ボス」になれば、親は取りしまる人ではなく、やさしい案内役になれます。

朝ごはんをしっかりと

おなかがすくと、誰でも気が短くなります。おなかがからっぽのまま園に着いた子は、お別れを乗りこえる力も残っていません。甘いものだけでなく、たんぱく質とゆっくりエネルギーになるものが入った朝ごはんを出しましょう。朝に余裕がないなら、シンプルで食べなれたもので十分です。おにぎり、トースト、バナナ、ヨーグルト、納豆ごはん。おなかが満たされた子は、すんなり離れやすくなります。

雰囲気は明るく

朝の空気をつくるのは、親のエネルギーです。おだやかな朝の流れの一部は、親の態度そのもの。あたたかく、急がず、ちょっと遊び心をもって。今日の一日のことを明るく話し、先生やお友だちの名前を出し、指示で空気をうめつくしたくなる気持ちはぐっとこらえます。ニュースを消し、できるときはスマホを置いておくと、子どもが感じとってしまう背後のぴりぴりがなくなります。

もめごとの種を減らす

どの家庭にも、朝おきまりのもめごとがいくつかあります。服を選ぶ、靴をはく、テレビを消す。わが家のもめごとを思いうかべて、先回りしておきましょう。服は2着から選ばせる、靴は前の晩に玄関にそろえる、朝はテレビをつけない、といった具合です。

玄関での着地を、やわらかく

朝の流れは、家を出たら終わりではありません。園での受けわたしをどうするか、前もって決めておき、毎日同じにしましょう。どこに自転車や車をとめるか、子どもが誰にあいさつするか、どんなお別れのルーティンをするか、そして落ち着いて迷わず立ち去ること。玄関での見通しが最後のひと押しになり、親がいなくなったあと、子どもは早く落ち着けます。

調整しながら、自分にもやさしく

毎朝そのとおりにいく流れなどありません。病気、寝られなかった夜、歯が生えかけのとき、ただの気分。どれも流れをくずしますが、それでかまいません。めざすのは完璧ではなく、いつでも戻ってこられる「いつもの形」です。ある段階でいつもつまずくなら、全部を作りなおすのではなく、そこだけを手直ししましょう。そして、すべてがくずれた朝は、気にしすぎないこと。ばたばたの一日で、積みあげてきたおだやかさが消えるわけではありません。

つらさが続くときに

流れが整っているのに、何週間も毎朝ひどく取りみだしている、できていたことが後戻りしている、いやがっているというよりこわがっているように見える、という場合は、園や地域の保健師さんにそっと相談してみましょう。とはいえ、朝の涙のほとんどはふつうのことで、落ち着いた流れこそが、それをやわらげてくれます。

おだやかなスタートを切っても、毎日涙なしでお別れできるとはかぎりません。でも、うまくいく見こみは確実に高まりますし、つらい瞬間も、子どもにとっても親にとっても、乗りこえやすくなります。

ポイント: 登園前の朝は、準備を前の晩にすませ、時間のゆとりを守り、いつも同じ順番で進め、あたたかく急がない雰囲気で玄関まで向かいましょう。

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