「手がかり」を探す遊びで、子どもの考える力を育てる

子どもは生まれつきの「気づく人」です。大人が素通りした小さなクモや、近所のドアに貼られた新しいシールに気づきます。まだ自然にはできないのは、点と点を結ぶこと、つまり気づいたことを使って何かを考えだすことです。手がかりを探すことを教えると、ばらばらの気づきが推理に変わります。お子さまがこれから身につける考える力のなかでも、とても役に立つもののひとつで、学んでいるあいだは遊びのように感じられます。

手がかりとは、本当は何か

手がかりとは、質問に答える助けになる、ひとつの証拠のことです。ぬれた草は、雨が降った手がかり。あたたかいマグカップは、だれかがさっきまでここにいた手がかり。子どもは探偵になるという考えが大好きで、そのしかけが本当の仕事をしてくれます。「よく見てね」が、注意しなさいという退屈な指示ではなく、意味を探すわくわくする宝さがしに変わるのです。

めざすのは、子どもになぞを解かせることではありません。まわりのふつうのものについて「これは何を教えてくれる?」と考える習慣を育てることです。

まずは、気づいたことを声に出す

手がかりを使うには、まずそれが見えなければなりません。気づいたことと、それが示すことを声に出して、お手本を見せましょう。

  • 「道路が黒っぽくてぴかぴかしてる。おうちにいるあいだに雨が降ったんだね」
  • 「見て、ビスケットがなくなってて、おじいちゃんのいすにくずが落ちてる。何があったと思う?」
  • 「お花がしおれてる。何を教えてくれてると思う?」

小さなところに情報がつまっていると指さすと、子どもは世界を、読まれるのを待っている小さなメッセージでいっぱいの場所として見はじめます。

遊びにしてみる

手がかり探しを教えるいちばんかんたんな方法は遊びです。失敗しても何も困らず、楽しさはたっぷりです。

  • ある場面から「ここで何があった?」をやさしく考える遊び。くしゃくしゃのベッド、食べかけのりんご。
  • 絵本を読みながら、見えるものから登場人物の次の行動を当てる。
  • 手がかりお散歩。季節、時間、だれが通ったかを教えてくれるものは何?
  • 何かを隠して、場所を教えるかわりに、手がかりのヒントを出す。

どれも準備はいりません。お店までの道にも、いっしょに探せば手がかりが十いくつもあります。

証拠を指さす質問をする

この力を育てることばはシンプルです。「どうしてわかったの?」。お子さまが何かを言いきったら、そのための証拠を探すように誘いましょう。

  • 「猫がソファにのってたと思うんだね。どうしてそう思うの?」
  • 「もうすぐ夕ごはんの時間だと思う?手がかりは何?」
  • 「きっと雨が降るって?何に気づいたの?」

「どうしてわかったの?」と聞くと、子どもは自分の考えを、実際に見えるものと照らしあわせることを学びます。それが推理の中心で、ただの当てずっぽうをふせいでくれます。

まちがえていい、足あとを追う

ときには手がかりが、ちがう方向を指すこともあります。それはすばらしい学びの場面です。お子さまがくずを見て犬のせいにしたけれど、犬は外にいた。あっさり直すのではなく、いっしょにふしぎがりましょう。「でも、わんちゃんは午後ずっと庭にいたよね。じゃあ、ほかにだれがいたかな?」。手がかりを追って行きどまりに着き、考えなおすのは、本物の問題解決のやりかたそのもので、いつも一回で正解するよりずっと役に立ちます。

毎日の暮らしに組みこむ

特別な探偵の時間はいりません。毎日の場面にチャンスがあふれています。

  • 料理しながら。「台所があまいにおいだね。何が焼けてると思う?」
  • 着がえのとき。「外は寒そうだね。手がかりは何?何を着ようか?」
  • お片づけのとき。「ドアのところにおもちゃがあるね。だれがそこで遊んでたか、わかるかな?」

ふだんの暮らしに織りこまれると、手がかり探しは、やって忘れる練習ではなく、お子さまの世界の見かたになります。

プレッシャーをかけない

これは好奇心であって、親が待っている正解のあるテストではありません。今日は探偵ごっこをしたくなさそうなら、やめておきましょう。おかしな結論にとびついても、毎回直すのではなく、楽しみましょう。めざすのは、まわりのことをクイズに出されると感じる子ではなく、気づいて「これってどういうこと?」とふしぎに思う子です。あたたかさと遊び心がこの力を育て、プレッシャーは閉じてしまいます。

発達について

証拠から考える力は幼児期を通してゆっくり育ち、3歳の子が結べる点は、6歳の子より少ないものです。どちらも、その年齢にぴったり順調です。まわりの子より、毎日のかんたんなつながりを理解するのがずっとむずかしそう、学びやことば、注意に心配がある、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんがいっしょに考えてくれます。ほとんどの子にとって、手がかり探しは、もともと気づく準備のできている頭をのばす、楽しい方法にすぎません。

気づきを、推理へ

手がかりを探すことを教えると、子どもの生まれつきの気づきが、本物の考えに変わります。声に出してお手本を見せ、遊びにして、「どうしてわかったの?」と聞き、まちがった足あとも楽しみの一部に。少しずつ、お子さまはまわりの証拠を読み、自分の考えを実際に見えるものと照らしあわせることを覚えていきます。それは、学びのあらゆる場面で役に立つ習慣です。

ポイント: 「どうしてわかったの?」と聞き、毎日の暮らしで探偵ごっこをして、気づきを推理に変えましょう。まちがった足あとも楽しみのうち。考えを証拠と照らしあわせることこそが、本当の力です。

CDC, Positive parenting tips for preschoolers

UNICEF, How to support your child's development