子どもが同じ質問を何度もくり返すときは
「まだ着かない?まだ?まだ着かない?」。どれだけはっきり答えても、子どもが同じ質問を何度もくり返すように感じるなら、それはとてもよくある風景です。くり返しは大人の神経をすりへらしますが、小さな子にとっては、たいていちゃんと筋が通っています。その裏にあるものがわかると、イライラせずにこたえるのがずっとらくになります。
くり返す理由
質問のくり返しは、答えが聞こえなかったからであることはまれです。たいていは、いくつかのふつうの理由のどれかです。
- 安心:同じ落ち着いた答えをもう一度聞きたい。そうすると安心できるから。
- 記憶:小さな子は本当に忘れるので、知っていることを確かめなおすために聞く。
- 消化:まだ落ちついていない考えをのみこむのに、くり返しが役に立つ。
- つながり:質問すれば親が話しつづけてくれて、そばにいられる。
どれなのか見当がつくと、ちょうどいいこたえかたは、たいてい自然と見えてきます。
姿を変えた「安心したい」
くり返される質問の多くは、本当は情報がほしいわけではありません。5回聞かれる「明日、おばあちゃん来る?」は、世界がちゃんと変わらずにあるかを確かめているのです。安心のためにくり返しているときは、くり返しに言いかえしたり、もう答えたよと指摘したりしても役に立ちません。最初から事実の問題ではなかったからです。10回目でも、あたたかく変わらない答えこそが、子どもを落ち着かせます。
答えは、変えずに
安心のためなら、答えを変えると子どもはかえって落ち着かなくなります。毎回だいたい同じ答えを、同じ落ち着いた声で返しましょう。広げたり、おもしろくしたりする必要はありません。同じであることが安心なのです。「うん、おばあちゃんは朝ごはんのあとに来るよ」を変わらず何度も伝えるほうが、くわしい新しい説明より、ずっと役に立ちます。
くり返しを、終わらせたいとき
終わりのないくり返しは、やはり親をすりへらします。やさしくやりかたを変えてかまいません。
- 子どもに返す。「覚えてるかな、おばあちゃんは朝ごはんのあとって言ったよね。それっていつ?」
- 答えをもっておける形にする。絵に描く、絵のカレンダーで指さす。
- 下にある気持ちをことばにする。「おばあちゃんに会えるの、すごく楽しみなんだね」
- 次に確かめる時を決める。「お昼ごはんのあとに、また時計を見ようね」
こうしたこたえかたは、質問の裏にある気持ちを大切にしながら、答えをもう一度もらわなくても自分でもっていられるように、やさしく教えてくれます。
記憶が働くのを、手伝う
忘れてしまうことや、わくわくから来る質問には、外に目印をおくのがとても効きます。絵のスケジュール表、「あと何回寝たら」のカウントダウン、冷蔵庫の写真。どれも、親ではない、自分で確かめられるものを子どもにくれます。質問を止めるためのしかけではありません。まだ自分ではもっておけない時間や出来事を追う、小さな頭を本当に助けてくれて、少しの「自分でできる」も渡してくれます。
親の気長さを守る
理由がわかっていても、くり返しは疲れるものです。いくつかの小さな心のもちかたで、ふきこぼれずにすみます。
- 「一回だけで」という期待を下げる。この年齢では、くり返しはふつうです。
- くり返しの質問を、反抗ではなく、子どもの状態を知らせる情報として受けとる。
- できるときは、ほかの大人と答える役を分ける。
- あたたかくて退屈なくり返しの答えでじゅうぶんにする。気のきいたことはいりません。
もう一度聞くとき、子どもが本当に借りているのは親の落ち着きです。それを保つことが、仕事のすべてです。
くり返しが、もっと何かを知らせているとき
くり返しの質問のほとんどはまったくふつうのことで、年齢とともに消えていきます。ときには、もう少しよく見たほうがいいこともあります。質問のもとにはっきりした不安があって、それがやわらぐどころか強くなっている、とても動揺していて、どうしても安心させられない、遊びやことば、人とのかかわりのちがいといっしょに、はげしく、こだわりの強いくり返しがある、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんに伝えてみましょう。ふつうの育ちなのか、もっと詳しく見る価値があるのかを、いっしょに考えてくれます。早めに伝えるのはいつでも妥当で、たいていは安心につながります。
くり返しの奥の、安心したい気持ち
子どもが同じ質問を何度もくり返すとき、求めているのはほとんどの場合、新しい事実ではなく、安心、思いだすための助け、親とのつながりです。落ち着いた、変わらない答えでその気持ちにこたえ、自分で確かめられる目印を渡し、くり返しを育つ途中のふつうのこととして受けとって、自分の気長さを守りましょう。記憶と安心感が育つにつれて、くり返しはやわらいでいきます。それは、きっと着実に育っていきます。
ポイント: くり返しの質問は、たいてい新しい情報ではなく、安心や思いだす助けを求めています。落ち着いて同じように答え、自分で確かめられる目印を渡し、くり返しをふつうのこととして受けとめましょう。