家族の「ふしぎボード」のつくりかた
子どもはすてきな質問をします。でもその瞬間が過ぎると、質問もどこかへ消えてしまうことがよくあります。「ふしぎボード」は、そんな質問に住む場所をつくります。家族がふしぎに思ったことを集めておき、時間があるときに調べるための、家のなかの一角です。ほとんどお金はかからず、すぐに消えてしまう好奇心を、目に見えて、みんなで分かちあえて、大切にされるものに変えてくれます。そのなかで育つのは、子どもにとってすてきなことです。
ふしぎボードとは
いちばんシンプルな形は、紙一枚、コルクボード、冷蔵庫の扉、壁の一角。そこに、まだだれも答えていない質問を書いていきます。「空はどうして青いの?」「にじはどこへ行くの?」「魚はどうやって息をするの?」。質問はみんなに見えるようにそのまま貼っておき、気分と時間があるときに取りくみます。ボードはふたつの仕事を同時にしてくれます。質問が忘れられないようにすること、そして、ふしぎに思うことは飾る価値があるほど大切だと子どもに見せることです。
うまくいく理由
好奇心を目に見えるようにすると、家族と好奇心の関係が変わります。ボードに書かれた質問は、真剣に受けとめられた質問です。子どもは自分の「ふしぎ」に居場所と聞き手があると知り、もっと質問したくなります。ボードは楽しみな気持ちも育てます。調べるのを待っている質問は、ちょっとうれしいどきどきで、いっしょに答えを見つけることが、使いすての返事ではなく、家族の出来事になります。だんだん増えていく質問と答えは、家族の好奇心の記録になっていきます。
シンプルに始める
特別な物はいりません。手間を少なくしておくほど、ずっと長続きします。
- みんなが通る場所を選ぶ。台所、廊下、冷蔵庫の横。
- 家にある物で。ふせん、黒板、大きな紙。
- すぐ近くにペンを置いて、質問が生まれた瞬間につかまえる。
- あとで答えを書いたり描いたりできるよう、質問のとなりに余白を。
質問を足すのがかんたんなほど、ボードはいっぱいになります。凝ったしくみは立ち消えになりがちで、ざっくりでもいい場所にあるボードが、よく育ちます。
質問で、いっぱいにしていく
ボードができたら、質問は毎日の暮らしからやってきます。だれかがふしぎに思ったことなら、なんでも書けます。
- 子どもが聞いたことで、その場で答えられなかったこと。
- 絵本、お散歩、夕ごはんのときに出てきた質問。
- 大人がふしぎに思うことも。好奇心に年齢制限はないと見せられます。
- 前の質問に答えたことで生まれた、次の質問。
子どもの質問だけでなく、家族みんなの質問を入れると、子ども向けの遊びではなく、本当にみんなでつくるものになります。それがボードを生きたものにしてくれます。
質問に取りくむ
ボードのもう半分は答えを探ることで、本当の価値はここにあります。ちょっとした時間に質問をひとつ選んで、いっしょに調べてみましょう。
- 雨の午後にひとつ選んで、調べたり、小さな実験をしたりする。
- むずかしい質問は、くわしい友人や親せきに聞いてみる。
- 答えが見つかったら、質問のとなりに書いたり描いたりする。
- 答えから生まれた新しい質問は、そのままボードへ。
ボードが空になることはありません。そこがいいところです。新しい質問を生みつづけるボードは、ちゃんと働いているボードです。
長続きさせるコツ
ふしぎボードも、ほかのよい心がけと同じように、ほこりをかぶることがあります。いくつかの習慣で続けられます。
- 短くても、ときどき見なおして、家族の暮らしの一部にしておく。
- 質問に答えが出たら、ちょっとしたお祝いをしても。
- だれにも質問を書くことを無理じいしない。自然に育つのにまかせる。
- ときどき模様がえをして、見えない壁紙にならないように。
しばらく静かになっても心配いりません。大人が新しい質問をひとつ書けば、家族がまた拾いあげることがよくあります。
お仕事ではなく、楽しみに
ボードは楽しいもので、宿題のようであってはいけません。質問に答えるのが義務のように感じられてきたり、子どもに書きなさいと言いたくなったりしたら、ぐっと力をぬきましょう。魔法は、いっしょにふしぎに思って見つける、分かちあう喜びのなかにあり、それは軽やかなままでないと続きません。みんなが楽しめる質問が3つのボードは、義務になってしまったぎっしりのボードより、ずっといいのです。好奇心はボードに押しつけられません。ただ、そこで歓迎されるだけです。
ふしぎに、住む場所を
ふしぎボードは家族の好奇心に住む場所をつくり、質問が忘れられないようにして、調べることを家族の冒険に変えてくれます。行き来しやすい場所を選び、ペンを手近に置き、みんなの質問を歓迎し、できるときにいっしょに答えを探る。楽しく、手間少なく続ければ、ふしぎに思うことが家族の暮らしのふつうで大切な一部として、お子さまの目に映るようになります。
ポイント: ふしぎボードは、質問が忘れられないように住む場所をつくります。シンプルに、みんなの「ふしぎ」を歓迎し、いっしょに答えを探り、お仕事ではなく楽しみのままに。