子どもの質問、すぐに答えなくてもいい理由
好奇心いっぱいの子に育ってほしいと願う親は多く、すぐに答えることが、その好奇心へのごほうびのように感じられます。でも、どの質問にもすぐに完全な答えが返ってくると、子どもは「わからない」状態にとどまることがなくなります。そして、考えることが実際に起きるのは、そのすきまのなかなのです。何でもすぐには答えずに質問を後おしするのは、小さな切りかえですが、子どもと自分の頭との関係を変えてくれます。
ひと呼吸が大切な理由
すぐに答えると、子どもの代わりに考えてしまいます。子どもが取りくむ前に、質問は解決ずみ。短いひと呼吸は、ふしぎに思う気持ちを子どもに返してくれます。ことばにしなくても「あなたの頭にはできる力があるよ」「この質問はじっくり考える価値があるよ」と伝わるのです。このすきまをもらった子はそれを待つようになり、だんだん親を見る前に、自分の考えに手をのばすようになります。
これは、助けを出しおしみすることでも、子どもを苦しませることでもありません。答えの輪を閉じるのを、ほんの少しだけゆっくりにするということです。
まず、質問を歓迎する
何よりも先に、質問そのものをあたたかく受けとめましょう。聞いたのはいいことだった、と子どもが感じられることが大切です。
- 興味をもってこたえる。「おっ、どうしてそれを思いついたの?」
- くり返して、届いたことを伝える。「海はどうしてしょっぱいのか、ふしぎなんだね」
- 忙しいときも大切にしていると伝える。「その質問、いいね。ちょっと覚えておいて」
質問を歓迎されていると感じる子は、質問しつづけます。質問をはらいのけられる子は、しまっておくことを覚えます。
答えを、やさしく手にもっておく方法
質問を歓迎したら、すぐに答えるかわりに、少しの考えるすきまをつくれます。
- 先に聞いてみる。「どうしてだと思う?」
- 解かずに、声に出してふしぎがる。「どうやったらわかるかなあ」
- 答えをまるごとではなく、ヒントをひとつ。
- 「その質問、とっておいて、帰り道にいっしょに考えよう」と言う。
これは答えるのを避ける方法ではありません。子どもが自分でも少し手をのばせるように、何でもすぐには答えずに質問を後おしする方法です。
待つか、答えるかを見きわめる
すべての質問にひと呼吸が合うわけではありません。不安なとき、疲れているとき、安心するために本当に事実が必要なときは、はっきりやさしく答えましょう。考えるすきまがいちばん生きるのは、まちがった答えがなく、つらさもともなわない、ひらかれた好奇心の質問です。どんな質問を手わたされたかを感じとるのも腕のうちで、それは練習するほどじょうずになっていきます。
もどかしさと、いっしょにいる
質問を半分ひらいたままにしておくのは、とくに手助けが好きな人には、不自然に感じられるかもしれません。「答えは知ってるのに、どうして言わないの」というむずむずがあるかもしれません。その気持ちは、がまんする価値があります。めざすのはその場の親の心地よさではなく、子どもの考える習慣が育つことです。説明したい気持ちをおさえるとき、親は質問とつきあう気長さを教えています。それは学ぶ人がもてる、いちばん役に立つ姿勢のひとつです。
家族の習慣にしていく
だんだん、好奇心からの質問を、片づけるものではなく、家族の暮らしのふつうの一部にしていけます。
- まだだれも答えていない質問のリストを、続けてつけておく。
- 何日もひらいたままの質問があってもいい。何かで思いだしたら、また話す。
- そのあとの答えと同じくらい、聞いたことをほめる。
- 親がものごとをふしぎに思う姿も、子どもに見せる。
ひらかれた質問を、すぐに解く問題ではなく、おもしろいものとしてあつかう家では、子どもは好奇心がクリアすべきクイズではなく、ひとつの生きかただと学びます。
子どもが質問しなくなったら
お子さまが質問をしなくなったと気づいたら、その理由をそっと見てみる価値があります。一時期のことの場合もあります。質問にイライラでこたえられることが重なって、聞くのが安心でなくなった場合もあります。歓迎のあたたかさをとりもどせば、たいていよくなります。それとは別に、小さな子がほとんど質問しない、かんたんな質問を理解するのがむずかしそう、ことばや聞こえに心配がある、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんが確かめてくれます。ことばへの早めの支援はよくあることで、すぐにつながれます。
答えの前の、小さなすきま
質問を後おしすることと、質問に答えることは、同じではありません。どの質問もあたたかく歓迎して、そのうちのいくつかは、子どもが考えられるくらいのあいだ、ひらいたままにしておきましょう。何でもすぐには答えないのは、不親切なことではありません。答えを探しはじめるのに、自分の頭はいい場所だと教えているのです。それは、親が教えられたどんなひとつの事実より、ずっと長く残る学びです。
ポイント: 質問はあたたかく歓迎して、答える前に少しだけ考えるすきまを残しましょう。ひと呼吸がふしぎに思う気持ちを子どもに返し、まず自分の考えに手をのばす子が育ちます。