子どもの質問に答えられないとき、何と言えばいい?
子どもは何でも聞いてきます。月はどうして車についてくるの、ミミズは冬にどこへ行くの、ぬけた歯はどうなるの。遅かれ早かれ、お子さまは親が答えられないことを聞いてきます。その瞬間は、なんだか自分がさらされたように感じるかもしれません。でもうれしいことに、子どもの質問に答えられないと認めることは、隠すべき失敗ではなく、見せてあげられるとても役に立つお手本のひとつなのです。
とっさの当てずっぽうより、正直さを
会話を続けるために、もっともらしいことをつくりたくなる気持ちはわかります。困るのは、子どもは覚えていて、くり返すことです。自信たっぷりのまちがった答えは、何年も残ることがあります。もっと大切なのは、知っているふりをすると、わからないことははずかしい、隠すものだと子どもに教えてしまうことです。学んでほしいのはその反対、「よくわからない」は、調べはじめるためのふつうで正直な出発点だということです。
シンプルで正直なこたえかた
気のきいたせりふはいりません。落ち着いて、あたたかく認めるだけでじゅうぶんです。
- 「すごくいい質問だね。じつは、わたしも知らないんだ」
- 「よくわからないな。いっしょに調べてみる?」
- 「正直に言うと、まだわからないんだ」
はずかしがらずにこう言うと、大人も全部の答えをもっているわけではないこと、好奇心はもう知っていることの端っこで止まらないことが、子どもに伝わります。
わからないを、調べることに変える
本当の価値は、そのあとにあります。子どもの質問に答えられないときは、人がどうやって学ぶのかを見せるチャンスです。
- まずいっしょに予想する。「なんだと思う?」
- どこで調べるか決める。本、くわしい人、外をよく見てみる。
- 短くてもいいので、あとで続きをして、質問が大切にされたと感じられるように。
すべての「ふしぎ」を追いかけるわけではなく、それでかまいません。ひとつかふたつを選んで実際に調べるほうが、50の質問に自動で答えるより、ずっと多くを教えてくれます。
半分だけ知っているとき
少しは知っているけれど、全体はわからない、ということもよくあります。そんなときは、自分の知識の境目をはっきりさせると役に立ちます。「月が本当についてくるわけじゃないのは知ってるけど、どうしてそう見えるのかはよくわからないな。いっしょに考えてみよう」。確かなことと予想していることの境目を示すのは、本物の考える力で、子どもは親が声に出してそうするのを聞いて身につけます。
沈黙を埋めたい気持ちに、流されない
むずかしい質問のあとの間は居心地が悪く、多くの人はあわてて埋めようとします。少しのあいだ、静けさをそのままにしてみましょう。子どもが自分の質問に自分で答えたり、本当は何を聞きたかったのかがわかるような細かいことを付け足したりすることがあります。ゆっくりこたえることは、考えるには時間がかかるというお手本にもなります。かしこい人はいつもすぐに答えるものだ、という考えより、ずっと健やかな学びです。
大きな質問に向きあう
事実がわかりにくいからではなく、テーマが重いから、むずかしい質問もあります。病気、死、どうして悪いことが起きるのか。ここでは「わからない」が、正直で、やさしい答えになりえます。安心できる支えをそえることもできます。「全部を知っている人はいないけど、わたしたちがおたがいを大切にすることは、ちゃんとわかってるよ」。答えはシンプルでいいし、どう説明するか考えてから、別の日に大きな質問にもどってきてもいいのです。
長い目で見て、教えていること
親が「確かじゃないな、調べてみよう」と言うのをいつも聞いている子は、知識を、あるかないかのものではなく、自分で組みたてていくものとして受けとって育ちます。その考えかたは、学校の勉強がむずかしくなり、正直な立場がしばしば「まだわからない」になったとき、子どもを守ってくれます。それをはずかしがらずに言える自信は、お手本を見せる親のいる家から始まります。
心配について、ひと言
子どもがむずかしい質問をするのは、何か気になっていることがあるからのこともあります。お子さまが心配なテーマに何度ももどってくる、質問が好奇心より不安と結びついているように見える、という場合は、事実を追いかけるだけでなく、何がきっかけだったのかをそっと探ってみる価値があります。続く不安、眠りの変化、つらそうな様子が質問といっしょに見られるなら、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんがいっしょに考えてくれます。でもたいていは、むずかしい質問は、好奇心のある頭が昨日より少し遠くへ手をのばしているだけです。
「わからない」は学びの始まり
親が全部の答えをもつことはありませんし、その必要もありません。子どもの質問に答えられないときは正直にそう言い、いっしょに予想して、ひとつかふたつの質問を本当の答えまで追いかけましょう。こうした場面でお子さまが受けとるのは、親が知らなかった事実ではありません。わからないことは会話の終わりではなく、学びの始まりなのだという感覚です。
ポイント: 「わからない」と言って、それからいっしょに調べることは、当てずっぽうの答えよりずっと多くを教えてくれます。確かさより、正直さと好奇心のお手本を。