「なんでだろうね」と声に出す、好奇心の誘いかた

子どもに考えてもらう方法は、質問だけではありません。質問はときにテストのように届いて、はずかしがりの子や疲れた子は口を閉じてしまいます。そのとなりに、もっとやさしい道具が静かにあります。声に出してふしぎがることです。「なんでだろうね」と言ってみると、正しい答えを決して求めずに好奇心を誘えます。だからこそ、とてもうまくいくのです。

質問より、ふしぎがるほうがいい理由

「カタツムリはどうしてぴかぴかの跡を残したと思う?」はいい質問ですが、まっすぐ子どもを指さして、答えを待ちます。「カタツムリのうしろのぴかぴか、なんでできるんだろうね」はカタツムリのほうを指さします。スポットライトも、何かを演じなければならない義務もありません。お子さまは話に加わっても、考えを足しても、ただ聞きながら考えていてもいいのです。プレッシャーが消えると、好奇心はもっと自由に流れだします。

ふしぎがることは、育てたいことそのもののお手本にもなります。大人が心から好奇心をもち、わからないことを居心地の悪いものではなくおもしろいものとしてあつかっているのが、子どもに聞こえるのです。

いい「ふしぎがり」は、こんなふうに

ことばはシンプルですが、その裏の気持ちが大切です。形を変えたクイズではなく、心からのものであること。

  • 「お日さまが出ると、水たまりはどこへ行っちゃうんだろうね」
  • 「この石はつるつるなのに、あの石はざらざら。なんでだろう」
  • 「あんな高いところを飛ぶ鳥って、どんな気持ちなんだろうね」
  • 「もう少し待ったら、パンはもっとふくらむのかなあ」

言ったら、少し間をあけましょう。その沈黙は、子どもが受けとっても受けとらなくてもいい、ひらかれた招待状で、どちらでもかまいません。

ふしぎがるのに自然な場面

特別な時間はいりません。いちばんいいのは、もうそこにいる、ふつうの場面です。

  • お散歩で、小さなものに気づいたとき。虫、道路のひび、雲の形。
  • 台所で、料理しながら何かが変わっていくのを見ているとき。
  • お風呂で、うくものとしずむものを見ているとき。
  • 絵本を読みながら、ページをめくる前に。「次はどうなるんだろうね」

毎日の暮らしに織りこむと、こうした小さなふしぎがりが、手間も計画もなしに、なんとなく過ぎる時間を考える時間に変えてくれます。

子どもの答えに、びっくりさせてもらう

ふしぎがったことに子どもがこたえたら、すぐに直したくなる気持ちはおさえましょう。「水たまりはねんねしにいくんだよ」と言う4歳の子は、直すべきまちがいではなく、すてきな考えをひとつくれたのです。となりで、さらにふしぎがってみましょう。「おもしろい考えだね。お日さまがごくごく飲んでるのかもしれないね」。勝ちを急いで決めずに、ふたつの考えをやさしくもっておくと、考えることは遊び心があっていいし、途中のままでもいいのだと、子どもは学びます。

教えるためだけでなく、場をやわらげるためにも

もうひとつの使いかたがあります。声に出してふしぎがると、むずかしい場面をやわらげられるのです。「どうして投げたの?」は身がまえさせますが、「投げたくなったのは、どうしてだったんだろうね」は扉をひらきます。せめられている感じがしないので、何があったかを正直に考えやすくなります。こうして使うと、ふしぎがりは、事実だけでなく気持ちへの橋にもなります。

心からのものに

ふしぎがりがうまくいくのは、本心からのときだけです。子どもはつくりものをすぐに見ぬきます。わかりきっているのに「これ何色かなあ」と言えば、うつろに聞こえます。このことばは、本当にちょっと気になることや、本当に答えのひらかれた問いのためにとっておきましょう。使いすぎたり、何でもふしぎがりにしたりすると、意味が薄れてしまいます。一日にいくつかの本物のふしぎがりのほうが、途切れない流れよりずっと役に立ちます。

ふつうの答えとのバランス

ふしぎがることは道具で、ルールではありません。まっすぐ答えたほうがいい場面もあります。とくに、子どもが安心するために情報を必要としているときや、事実にかかわるシンプルなことを聞いているときです。トイレはどこと聞かれたら、何もふしぎがらずに答えましょう。子どもが答えをほしがっているのか、となりでいっしょに考えるのを楽しみたいのかを見きわめるのがコツで、練習するうちにちがいがわかるようになります。

発達について、ひと言

声に出してふしぎがることはことばと考える力を支えますが、たくさんある材料のうちの小さなひとつです。土台になるのは、話す、読む、歌う、いっしょに遊ぶ、といった毎日のことです。お子さまが話しかけにほとんどこたえない、年齢のわりにことばがとても少ない、聞こえやことばの発達に心配がある、という場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健師さんに伝えてください。早めの確認はよくあることで、すぐに手配でき、待つより早く支援を受けるほうが、いつでもいいのです。

わからないことは、おもしろいこと

声に出してふしぎがることは、子どもをその場で追いつめることなく好奇心を誘う、静かで力強い方法です。ふつうの場面で「なんでだろうね」と言ってみて、心からのものにして、どんな答えも歓迎し、いくつかはそのまま宙にうかべておきましょう。わからないことはおもしろく、考えることは分かちあえると、お子さまに見せているのです。好奇心いっぱいの心が受けとれる、いちばんあたたかい贈りもののひとつです。

ポイント: ふしぎがりは、答えを求めずに考えることを誘います。毎日の場面で心から使い、遊び心のある考えを歓迎し、いくつかのふしぎはそのまま宙にうかべておきましょう。

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AAP HealthyChildren, The power of play