それ、「かまって」のサインかも。意外な形でつながりを求める子ども

子どもは、いつも親にわかりやすい形で近さを求めてくるわけではありません。親を必要としている子が、そばに来て「今日はちょっとつながれてない気がするから、いっしょにすごさない?」と言うことはまずありません。そのかわり、その気持ちは、ずっと好ましくない姿に変装してやってきます。ぐずる、反抗する、いちばん困るときにふざける、急に何もかもうまくいかなくなる。この変装を読みとれるようになることは大切です。子どもは意外な形でつながりを求めていることがとても多く、困った行動に見えるものが、実は親を求める合図だったりするからです。

つながりは、ほしいものではなく必要なもの

まず、出発点をそろえておきましょう。近さは、子どもがあってもなくてもいいおまけではありません。食べものや眠りと同じくらい本物の必要で、それが足りなくなると、子どもは名前のつけられない落ち着かなさとして感じます。「心のコップがからっぽ」と言えるだけのことばも、自分を見つめる力もまだないので、その必要は行動を通して横からもれでてきます。近さを好みではなく必要として見ると、わかりにくい行動の多くが、ずっと筋の通ったものに見えてきます。

困った行動に見える合図

変装したつながりの要求のなかでよくあるものは、まさに親をいちばんいらいらさせる行動です。子どものコップがからに近づいていると、こんな姿が見えるかもしれません。

  • ぐずる、べったり離れない、部屋から部屋へついてまわる。
  • 親が忙しかったり留守にしていたりしたあとに、わざと困らせる、反抗する、約束ごとをためす。
  • やってはいけないとわかっていることをわざとするなど、気を引く行動。
  • 親の注意がほかに向いているときの、話のじゃま、おふざけ、「見て見て」の大げさなアピール。
  • 今、親の注目をもらっているきょうだいとのけんか。

こうした行動はしかられやすいのですが、しかっても、たいていおさまりません。その奥にある飢えにこたえていないからです。意外な形でつながりを求めているのかもしれない、と気づけると、症状だけでなく原因にこたえられるようになります。

タイミングが大きな手がかり

行動が「いつ」起きるかが、本当は何についての行動なのかを教えてくれることがよくあります。つながりを求める合図は、予想のつく圧力のかかる場面でぐんと増えます。親が忙しかった、スマホを見ていた、手がふさがっていたとき。園や学校の一日など、離れていた時間のあと。きょうだいやお客さんが親の注目を集めていたとき。家族に変化やストレスがある時期。困った行動がこうした瞬間に集まっているなら、子どもが手をのばしているのは、正されることではなく、つながりだという強いヒントです。

もっと静かなサイン

すべての合図が、大きくてまわりを困らせるものではありません。反対の方向へ行って近さを求める子もいます。引きこもる、いつになく静かになる、卒業したはずの赤ちゃんことば、抱っこをせがむ、寝る前の新しいこわがりといった、小さいころのふるまいに戻る。なんとなくおなかが痛いと言いだす、小さなことで涙ぐむ、全体に元気がない、ということもあります。こうしたサインはさわぎにならないので見のがしやすいのですが、もっと近くにいてほしいという、その子なりの伝え方であることがあります。にぎやかな変化に気づくのと同じくらい、静かな変化に気づいていることも大切です。

まず、つながりでこたえる

その行動が近さを求める合図かもしれないと思ったら、罰ではなく、あたたかさから入ってみましょう。困った行動にごほうびをあげているようで、直感に反すると感じるかもしれません。でも実際は、その行動を動かしている必要を満たしているのです。抱っこ、まるごと向き合う数分、目の高さにかがむこと、心からの「会いたかったよ。何かいっしょにしようか」。どんなに正すより、ずっと早く子どもが落ち着くことがよくあります。コップがまた満たされると、困った行動はひとりでにとけていくことが多いのです。

つながりと線引きを、いっしょに

必要にこたえることは、約束ごとをなくすことではありません。線を守りながら、近さをさしだせます。「お料理してるとき、ずっとママの足をつかんでるね。ママといたいんだよね。今は抱っこできないけど、いっしょにお鍋をまぜる?それとも、2分たって終わったら抱っこしようか」。線はそのままでも、自分の気持ちはわかってもらえた、と子どもは感じます。あたたかさと、ぶれなさの組みあわせが、愛されていて安心だという感覚を子どもにくれます。そして、困ったことをしなくてもつながりはもらえるのだと、やさしく教えていきます。

読みとくより、予防

パターンがわかれば、先回りできます。少しの1対1の時間、離れていたあとのあたたかい再会、忙しくなる前にまず向き合う時間。そんな、つながりの定期的で確かな補給があると、子どもはそもそも、変装したSOSを出す理由が少なくなります。前もってコップを満たしておくほうが、からっぽになってからのかんしゃくを読みといてしずめるより、ずっとかんたんです。

つながり以外にも目を向けたいとき

変装した近さの要求のほとんどは、子ども時代のふつうの一部で、必要が満たされればやわらいでいきます。でも、もう少し注意して見たいパターンもあります。何週間も、ずっと悲しそう、不安そう、引きこもっている、怒っている、できていたことができなくなった、急に行動が変わってそれが続いている、発達や元気に心配がある。そんなときは相談しましょう。地域の保健師さん、かかりつけ医、園や学校が、何が起きているのかを考える手助けをしてくれます。何かおかしい、という勘を信じるのはいつだって筋の通ったことで、早めにたずねるのはかしこい選択です。

見方が変わると

このかくれた要求を読みとれるようになると、大変な一日の感じ方が変わります。手を焼くいたずらっ子ではなく、自分の知っている唯一の方法で親に手をのばしている、小さな人が見えてくるのです。意外な形でつながりを求めているのかもしれない、とわかれば、その行動に「どうしたのかな」とあたたかさでこたえ、子どもが本当にお願いしたかったものを、そのまま渡してあげられます。

ポイント: 困った行動やわかりにくい行動は、変装した「かまって」であることがよくあります。線は守りながらつながりから入り、コップがからになる前に満たしておきましょう。

NHS, Help your baby or child with their feelings

UNICEF, How to comfort your child