いつもの毎日が、親子のつながりの時間になる理由

子どもとつながる時間はいつかと聞かれると、親はたいてい、何か特別なことを思いうかべます。お出かけ、旅行、誕生日。でも、子ども時代の本当の中身は、大きな行事でできているのではありません。毎日くり返される、小さなことでできています。それに気づくと、希望のある可能性が開けてきます。いつもの毎日は、親子のつながりの時間になる。つまり、親が求めている近さは、週末を待っているのではなく、もういっしょにすごしているふつうの時間の中に、折りこまれているのです。

見通せることの力

毎日の流れは、大人にはたいくつに感じられても、子どもにとっては深い安心のもとです。同じことを同じ順番でするのは、子どもに安心をくれます。そして安心は、つながりが育つ土です。くり返されるからこそ、毎日の流れは、めったにないものもくれます。週をこえて何十回もある、小さくて確かな、近くにいるチャンスです。一回のすてきなお出かけは、すぐに終わってしまいます。何百回とくり返されるあたたかい寝かしつけは、その子が感じる「自分らしさ」の一部になっていきます。長く続くきずなをつくるのは、目新しさではなく、続くことです。

自動運転から、目を向けることへ

ただし、毎日の流れは自動運転でこなしやすいのが落とし穴です。心はよそ、目の前の作業に集中して、次へ次へと急いでいる。必要な切りかえは小さいけれど、確かなものです。もうしている流れの中で、気持ちを子どもに戻すこと。一日に何かを足す必要はありません。その中で、子どもと出会うだけです。おむつ替えが、目を合わせてふざける瞬間になる。歯みがきが、いっしょにくすくす笑う時間になる。どちらにしても用事は終わります。違うのは、そのあいだ子どもが、ちゃんと出会ってもらえたと感じたかどうかです。

食卓は、待ちあわせの場所

いっしょに食べることは、短い時間でも、つながりにとっていちばん豊かな毎日の流れのひとつです。食べものを囲むと、子どもは力がぬけて、おしゃべりして、家族の一員だと感じます。毎晩、栄養バランスの完璧な食卓をととのえる必要はありません。大事なのは、少しの、いっしょに向けあう気持ちです。おかずを回す、今日のことを話す、ちょっとしたことで笑う。できるなら、少なくとも一回の決まった食事は、画面と急ぎから守ってみましょう。そんなふつうの食卓が重なるうちに、子どもにとってそこは、仲間に入れて、話を聞いてもらえる、と思える場所になっていきます。

取りもどしたい、いつもの流れ

くり返す用事なら、ほとんど何でもつながりを運べます。とくに実りの多いものをいくつか。

  • あたたかい「おはよう」と抱っこで始まる朝の目ざめ。
  • 遊びややさしいおしゃべりに変えた、着がえ。
  • 横に並んで、急がずに歩く園や学校への道。
  • 自然と遊びと近さがあるお風呂。
  • 落ち着いて、まなざしにあふれた、寝る前の流れ。

どれも、一日に時間を足す必要はありません。ひとつひとつが、あなたは大切だよ、とことばなしに子どもに思いださせるチャンスです。

流れの中の、小さな習慣

毎日の流れの中のごく小さな習慣は、子どもに錨を下ろす場所をくれます。毎朝同じへんてこなことば、お風呂でうたう決まった歌、園の門でのとくべつなタッチ、夕ごはんのときに話す、今日のありがとう3つ。こうした小さなくり返しの飾りはお金もかかりませんが、子どもの世界では大切な目印になります。持ちはこべるお守りにもなります。なじみのある別れの習慣は、確かにその子のものだからこそ、つらい別れを乗りこえさせてくれます。

親の肩の荷が軽くなるわけ

いつもの毎日が親子のつながりの時間になると気づくと、本当にほっとできます。特別なことをするには忙しすぎるたびに、子どもに申し訳ないと思わなくていいからです。きずなは、お風呂の中で、お散歩の道で、寝る前の絵本で育っています。この見方の切りかえは、疲れて余裕のない親にとくにやさしいものです。親はもう、毎日の流れの中で子どもとすごしています。求められているのは、もっとすることではなく、その中でほんの少しだけ、もっとそこにいることです。

毎日の流れが戦場のように感じるとき

もちろん、毎日の流れがいつもおだやかなわけではありません。ごはんの時間や寝る時間は火種になりやすく、野菜やパジャマをめぐって押し問答をしているあいだは、つながるのはむずかしいものです。ある流れがいつもぶつかりあいになってしまうなら、勝ち負けにしない、自分の声のトーンを軽くする、少し遊び心を足す、といったことが助けになることがよくあります。つながりと協力は、たいていいっしょに高まります。その瞬間に親と近いと感じている子は、たいてい、それほど逆らいません。

少し支えがほしいとき

毎日の流れがぐらつくのは、どの家族にもあることで、ふつうのことです。でも、毎日の流れがいつも子どものつらさのもとになっている、食事や眠りの困りごとが続いている、なじみのある時間の中でさえ、いつになく引きこもりがちで、気持ちが届きにくい、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけ医に話してみてもいいでしょう。支えはありますし、早めにたずねると、家族みんなの毎日がやさしくなります。

静かな安心

しっかりとつながった子を育てるのに、大きな計画はいりません。必要なのは、ほんの少しだけ、もっとそこにいる気持ちですごす、ふつうの日々です。朝の目ざめ、食事、道のり、寝る時間。それは、本番が始まる前にこなす、子育てのたいくつな部分ではありません。気持ちをこめて織りあげれば、それこそが本番です。いつもの毎日は、親子のつながりの時間になる。実は、もうすでに、子どもが育つ土そのものなのです。

ポイント: 子どもが感じるきずなは、くり返されるふつうの瞬間でできています。新しいことを足すより、もうしている毎日の流れに、もう少しだけ気持ちを向けましょう。

NHS, Help your baby or child with their feelings

UNICEF, Family routines and rituals