きょうだいがいても、ひとりひとりと心をつなぐには

ひとりっ子だったころ、親の目はその子だけのものでした。ふたり目、3人目が生まれると、同じだけの親が、もっと多くの小さな人と、もっと多くの用事と、ぶつかりあう要求に引きのばされます。子どもが何人かいる親の多くは、「誰にも足りていないのでは」という小さな心配をずっとかかえています。思いあたるなら、どうか安心してください。何人もの子とつながるというのは、自分をきっちり等分することではありません。ひとりひとりが「わかってもらえている、愛されている」と心から感じられるようにすること。それはまったく別の、そしてずっと手の届く目標です。

「公平の計算」を手ばなす

時間も関わりも、ぴったり同じにしてあげたいという気持ちは、やさしさから来るものです。でも疲れるし、結局はできません。子どもは年齢も、必要なことも、気質も違うので、まったく同じにすることが公平とは限らないのです。子どもが本当に求めているのは、きっちり量った親の取り分ではなく、「ひとりの人として、自分は大事にされている」という実感です。ストップウォッチで測ったようなバランスを追いかけると、いつも足りない気持ちが残ります。「どの子も、親としっかりつながっていると感じている」をめざすほうが、子どもにも、親自身にもやさしいのです。

ひとりずつ、短い1対1の時間を

きょうだいのいる親にとって、いちばん力になるのは、定期的な1対1の時間です。ほかの子が別のことをしているあいだの、その子だけの短い時間。それでも、みんないっしょの場ではできないことが起きます。ほんの少しでも親をまるごとひとり占めでき、「自分はそれだけで大切なんだ」と思いだせるのです。週をとおして、どの子にもまぎれもなく「自分の時間」がある、と感じられるように、小さな時間を順番に回してみましょう。

みんなの時間にも、つながりを

いつもひとりずつ引きはなせるわけではないので、みんなでいるときの近さも育てましょう。誰もが仲間に入れる時間は、家族のあたたかい布を織っていきます。

  • おしゃべりと笑いが少しある食事の時間。
  • 全員が参加できるゲーム、おはなし、お散歩。
  • わが家だけのへんてこな習慣、歌、内輪のジョーク。
  • みんなで料理をしたり、ちょっとした家事をチームでしたり。

こうしたみんなの時間は、ひとりひとりへの関わりの代わりにはなりません。でも、どの子にも、あたたかい何かの一員だという感覚をくれます。それ自体が、本物のつながりです。

ひとりひとりを、その子として見る

子どもが何人もいると、つい群れをまとめるような関わり方になりがちです。でもどの子も、「子どもたちのひとり」ではなく、その子自身として知ってほしいと願っています。それぞれが何に夢中で、何を心配していて、どんなくせがあるのかに興味をもちましょう。名前で呼び、その子ならではのがんばりに気づき、その子にとって大事な小さなことを覚えておく。きょうだいとは別の自分を本当に見てもらえていると感じる子は、親の時間が少ない時期でも、深くつながっていると感じられます。

くらべっこと張りあいには、ていねいに

きょうだいは、誰がひいきされているかのサインに目を光らせています。くらべることは、つながりにひびを入れるいちばんの近道のひとつです。ほめるときでも、きょうだいどうしをくらべるのはできるだけ避け、その子自身の伸びや持ち味について話しましょう。親の取りあいでけんかになったら、張りあいをあおらずに気持ちを受けとめられます。「ふたりとも、今ママといたいんだね。ママの大好きは、ふたり分ちゃんとあるよ。ひとりずつ順番にね」。子どもに順位をつけないことが、どの子とのきずなも守ります。

きょうだいどうしのつながりも育てる

子どもにとって、近さの源は親だけではありません。きょうだいの仲がしっかりしていると、親の肩の荷も軽くなり、支えあう家族が育ちます。協力をうながす、きょうだいのあいだのやさしさに気づく、手伝いあったり、いっしょに楽しんだりできるようにする、小さなもめごとのたびに審判をしたくなる気持ちをこらえる。そんなふうに、そっと育てていけます。親とも、きょうだいともつながっている子は、もっと広い「居場所の網」の中で育ちます。

罪悪感には正直に

子どもが何人もいる親には、罪悪感がいつもついてきます。そしてその声は、たいてい本当のことを言っていません。体調をくずしている子、つまずいている子、あるいは単に声の大きい子に、ほかの子よりずっと多く手をとられる日もあるでしょう。それはふつうのことで、誰かがだめになるわけではありません。子どもに必要なのは、ぴったり均等な関わりではなく、時間をとおして「愛されている、大事にされている」と感じられることです。あたたかく、完璧ではなく、手いっぱいでも、何度でもひとりひとりのもとに戻ってくる親。それこそが子どもに必要な親です。

ひとりがつらそうに見えるとき

親の取りあいは、たいていふつうのことです。でも、きょうだいのひとりが何週間も、ずっと引きこもりがち、いつになく乱暴、涙もろい、べったり、という様子が続く、できていたことがはっきりできなくなる、親ががんばっても見すごされて元気がないように見える、というときは、少し注意して見てあげましょう。赤ちゃんの誕生、引っ越し、家庭のストレスといった大きな変化は、ひとりの子にだけ強くこたえることがあります。心配なときは、地域の保健師さん、かかりつけ医、園や学校がいっしょに考えてくれます。早めに相談するのは、心配しすぎではなく、かしこい選択です。

持っていてほしい安心

自分を何人にも分身させる必要も、表計算で家族を回す必要もありません。何人もの子とつながろうとするとき、めざしているのは、完璧なバランスより、もっとあたたかくて人間らしいものです。どの子も、その子なりのやり方とペースで、親に見てもらえ、わかってもらえ、愛されていると感じられる家。その居場所の感覚こそを、子どもたちは持ち歩いていきます。ある日誰がおまけの10分をもらったかなんて、とっくに忘れてしまったあとも。

ポイント: めざすのは、関わりをきっちり等分することではなく、短い1対1の時間を通して、どの子も「自分のことをわかって、愛してもらえている」と感じられることです。

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