一日じゅう遊び相手をしなくても、子どもの心は満たせる

「遊んで」「見て見て」「次なにする?」。朝から晩まで、ずっとスイッチを入れていないといけないように感じるなら、それはあなただけではありません。くたくたになるのも、親として失格だからではありません。一日と、子どもの育ちを同時に助けてくれる、大切な見分けがあります。一日じゅう遊び相手をしなくても子どもの心を満たすというのは、子どもが本当に求めているもの、つまりつながりにこたえながら、住みこみの遊び相手という無理な仕事から、少しずつ自分を解放することです。

「関わり」と「楽しませること」は違う

子どもには、本当に関わりが必要です。それで安心し、見てもらえていると感じ、愛されていると感じます。でも、関わりと楽しませることは、よくごちゃまぜになります。関わりとは、あたたかさ、そばにいること、気づいてもらえること。楽しませることとは、子どもをひまにさせないために、次から次へと遊びを用意することです。子どもは、近くでじゃがいもの皮をむいている親とも深くつながっていられます。反対に、その日10回目のゲームを必死に回している親とは、あまりつながれていないこともあります。このふたつを分けて考えると、肩の荷がぐっと軽くなります。

心を満たしてから、一歩下がる

おすすめのリズムは、短くまとまった時間、しっかり向き合って、そのあいだあいだはひとり遊びをうながすことです。急がずに、まるごとそばにいて、子どもについていく10分。そうして心がしっかり満たされた子は、そのあと、ひとりで楽しくあれこれしやすくなります。困りごとは、逆をやってしまうときに起きがちです。一日じゅう半分うわの空で、心が満ちきらないので、子どもはもっと、もっと、と引っぱりつづけます。うすめた、気もそぞろな一日じゅうより、意識した、心をこめた短い時間のほうがうまくいきます。

ひとり遊びは、ほうっておくことではなく贈りもの

一歩下がることは、子どもから何かをうばうことではありません。ひとりで遊べるのは、れっきとした育ちの力です。集中力、想像力、工夫する力、自分という感覚が育ちます。自分の考えに夢中になれる子は、自分といるのも楽しいこと、たいくつは発明に変わることを学んでいます。いつも楽しませたくなる気持ちをこらえることで、親は大事なことを教えているのです。それが、一日じゅう遊び相手をしなくてもいい、ということの静かなよい面です。

遊びをリードするより、場を整える

親の役目は、楽しませ係から、環境を整える係に変えられます。指示するのではなく、きっかけをつくって、少し離れます。

  • ブロック、クッション、段ボール箱、お鍋、クレヨンなど、遊び方の決まっていない物をいくつか出しておく。
  • おもちゃを入れかえて、少ない数でも新鮮に感じられるようにする。
  • 遊びはじめだけつきあって、「ママ、近くでお仕事してるね」と伝える。
  • たいくつそうな顔を見ても、すぐに助けに入らない。

たいくつは緊急事態ではありません。最初の「つまんない」をくぐりぬけた先に、いちばんいいひとり遊びが待っていることがよくあるのです。

用事をしながらでも、つながっていられる

楽しませるのをやめるために、姿を消す必要はありません。していることの中に、あたたかさを織りこめます。料理をしながらおしゃべりする、安全な小さな作業を「手伝って」もらう、ちらっと見てにっこりする、今していることを実況する。こうしたつかずはなれずのそばにいることで、親が何かを演じなくても、子どもはつながっていると感じられます。忙しくてもやさしい親のまわりを、ただくるくる回っているだけで満足する子はたくさんいます。本物の暮らしをしている親の近くにいることは、子どもにとって、いっしょにいることのひとつの形なのです。

「遊んで」には、愛情と線引きで

もっと遊んでとせがまれても、今はできないとき。やさしさと、はっきりした線引きは両立できます。気持ちを受けとめ、線は守り、楽しみに待てる時間を本気で約束しましょう。「すごく楽しいから、ママにいてほしいんだね。今は夕ごはんをつくらなきゃいけないの。ごはんのあと、また遊ぼうね」。あたたかく伝えて、約束は守ります。いらいらではなくつながりといっしょに伝えられ、「あとで」がちゃんと守られるとき、子どもは「今はだめ」をずっと受けとめやすくなります。

求める気持ちの本当の意味を見る

ずっと続く「かまって」は、くせではなくサインのこともあります。急に一瞬も離れられなくなった子は、疲れている、おなかがすいている、体調が悪い、何かの変化で落ち着かない、その日のつながりが足りていない、のかもしれません。もっと遊びが必要だと思う前に、基本を点検してみましょう。おやつ、お昼寝、抱っこ、親とのちゃんとした10分で、底なしに見えた要求がすっとおさまることはよくあります。

もう少し深く見たいとき

たいていの子は、べったりと自立のあいだを行ったり来たりします。それはふつうのことです。でも、長いあいだ、少しも離れられない状態が続く、遊びや探検にほとんど興味を示さない、ずっと不安そう、つらそう、同じくらいの年の子とくらべて発達がはっきりゆっくりに見える、という場合は、専門家に軽く相談してみましょう。地域の保健師さんやかかりつけ医が、安心させてくれたり、支えてくれたりします。何か違う気がする、という親の勘を信じるのは、いつだって筋の通ったことです。

自分には、もっとやさしい基準を

親は、ひとりで回すエンターテインメント係ではありません。いつも相手をしてくれるわけではない親に育てられた子は、何かを損しているのではなく、育つための余白を手に入れています。一日じゅう遊び相手をしなくても子どもの心を満たすとき、親はずっと楽しませるよりも長く残るものを渡しています。戻ってこられる安心の基地と、誰も段取りをしていないときに自分が何者かを見つける自由です。

ポイント: つながりを求める気持ちには、短くても心をこめた時間でこたえ、そのあとはひとり遊びを守りましょう。ひとり遊びは、ほうっておくことではなく、教える価値のある力です。

NHS, Play ideas and reading

CDC, Positive Parenting Tips