困った行動は子どものメッセージ。その奥にある気持ちに気づくには

小さな子がたたく、ぐずる、いやがる、かんしゃくを起こす、べったり離れない。そんなとき、親が最初に思うのは、たいてい「やめさせなきゃ」です。当然の気持ちですが、そのせいで、もっと大事な問いを見のがしてしまうことがあります。子どもは自分の中で起きていることにぴったりのことばをまだ持っていないので、ことばの代わりに行動で見せてくるのです。行動にかくれたメッセージに気づけるようになると、表面をおさえるだけでなく、その下にある気持ちや必要を理解して、こたえられるようになります。

行動は、ことばのかわり

すべてを変える考え方があります。困った行動のほとんどは、何かを伝えようとしているということです。小さな子の脳は、衝動や大きな気持ちをコントロールする部分がまだ育っている途中です。だから、いっぱいいっぱいになると、「眠くて、それに仲間はずれにされた気がする」と落ち着いて説明できません。行動で表すのです。そう見ると、かんしゃくは、親をあやつろうとしているのでも、悪い子だからでもありません。まだ扱えない気持ちにのみこまれた小さな人が、何かがおかしいと知らせているのです。この見方の切りかえが、しかるだけでなく「なぜだろう」と考える余地をくれます。

「この行動は、何を伝えている?」と考える

身につけたいいちばん役に立つ習慣は、できるときに少し立ちどまって、この行動は何を伝えようとしているのだろう、と考えてみることです。困った行動の中によくかくれているメッセージには、こんなものがあります。

  • 「眠い」「おなかがすいた」「なんだか体調が悪い」
  • 「つながっていない気がする。そばにいてほしい」
  • 「いっぱいいっぱいで、今はもう無理」
  • 「何かが変わって、落ち着かない」
  • 「自分で決めたい。ぼくにも何か言わせて」

どれも、人を傷つけたり、危ない行動を許す理由にはなりませんし、線引きは今も大切です。でも、行動にかくれたメッセージに気づけると、症状だけでなく本当の原因にこたえられます。そのほうがたいてい、ずっとうまくいきます。

その場だけでなく、パターンを読む

一回のかんしゃくからわかることはわずかですが、パターンは多くを語ります。困った行動がいつ起きやすいかに目を向けてみましょう。いつもお昼ごはんの前なら、おなかがすいているのかもしれません。保育園の長い一日の終わりなら、疲れ。赤ちゃんの授乳中なら、つながりがほしい。動画をやめたあとなら、切りかえが苦手。いつ、その直前に何があったかをメモしてみると、きっかけが見えてくることがよくあります。きっかけがわかれば、気持ちがあふれる前に必要を満たして、行動そのものを防げることも多いのです。

いちばんつながりを必要としている行動

心にとめておきたい真実があります。子どもはしばしば、いちばん愛情を必要としているときに、いちばんかわいげのないふるまいをする、ということです。気を引こうとする行動は、実はつながろうとする行動です。ぐずる、まとわりつく、わざと困らせる子は、親と近くにいるという実感が足りなくなっているのかもしれません。いらいらだけでなく、あたたかさでこたえる。抱っこ、向き合う時間、心からの「ここにいるよ」。それで、罰ではかえって燃えあがってしまう行動が、すっととけることがよくあります。つながりは、よい行動へのごほうびではありません。困った行動の陰で足りなくなっている材料であることが多いのです。

怒りや反抗の下を見る

怒りと反抗は、いちばん親の気持ちを逆なでする行動です。でもたいてい、その下には、もっとやわらかくて傷つきやすい気持ちがあります。「いや!」とさけんで足をふみならしている子の下には、こわさ、悲しさ、はずかしさ、自分ではどうにもできない無力感、いっぱいいっぱいの気持ちがあることがよくあります。とげとげした表面だけでなく、そのやわらかい下にこたえられると、「楽しいときにやめるのって、本当にむずかしいよね」、子どもはわかってもらえたと感じます。そのほうが、行動をめぐって戦うより、ずっと早く落ち着きます。

静かなサインにも気づく

すべてのメッセージが大きな声で届くわけではありません。だまりこむ、引きこもる、いつになくべったりになる、赤ちゃんのようなふるまいに戻る、新しいこわがりや、おなかが痛いといった体の不調を訴える。そんな形でつらさを伝える子もいます。こうした静かなサインは、まわりを困らせないぶん見のがしやすいのですが、同じくらい多くを語っていることがあります。いつもはおしゃべりな子が急にだまる、落ち着いていた子が急に離れられなくなる。それは、自分の世界をゆるがす何かがあったと伝えようとしているのかもしれません。にぎやかな変化と同じくらい、静かな変化にも目を向けていきましょう。

必要にはこたえ、線は守る

行動の奥のメッセージを理解することは、何でも許すことではありません。ふたつの真実を同時にもてます。気持ちや必要を受けとめ、それでも線は守る。「公園から帰らなきゃいけなくて、怒ってるんだね。そうだよね。でも、もう帰る時間だよ」。奥にある必要にこたえながら、落ち着いて線を守る。この組みあわせが、子どもにわかってもらえた、安心だ、と感じさせます。そして時間をかけて、どんな気持ちも持っていいけれど、どんな行動でもいいわけではないことを、やさしく教えていきます。

行動が、もっと大きなことのサインのとき

困った行動のほとんどは、育っていく中のふつうの一部で、ことばや自分をおさえる力が育つにつれてやわらいでいきます。でも、行動がとても激しい、ひんぱん、時間がたってもよくならない、ずっと悲しそう、不安そう、怒っている、引きこもっている、できていたことができなくなった、発達に心配がある、本人やまわりの人を危険にさらしている、という場合は相談しましょう。地域の保健師さん、かかりつけ医、園や学校が力になってくれます。早めに相談するのはかしこいことで、確信がもてるまで待つ必要はありません。

こうして深まるつながり

行動にかくれたメッセージに気づこうとするとき、静かで力強いことが起きます。子どもは、自分のいちばんつらい瞬間でさえ、怒りだけでなく「どうしたのかな」という目で受けとめてもらえること、親が自分をおさえつけるだけでなく、わかろうとしてくれていることを学びます。ぐちゃぐちゃの下にある自分をわかってもらえた。その実感こそ、安心と信頼のきずなのいちばん強い土台のひとつです。

ポイント: 困った行動は、たいてい何かを伝えています。奥にある必要を探し、つながりでこたえ、同時に線も守りましょう。

NHS, Help your baby or child with their feelings

CDC, Positive Parenting Tips