うまくいかなかった日の夜に、子どもと心をつなぎなおす
どうにもうまくいかない日があります。声を荒らげ、朝の別れはばたばた、靴をはく、はかないでひと戦い、夕ごはんは涙で終わった。夜になると、すりきれた気持ちと、ひそかな罪悪感がやってきて、親子の近さにへこみができてしまったのでは、と考えてしまうかもしれません。大丈夫、へこんではいません。子どもは驚くほどすなおに、あたたかい大人のところへ戻ってきます。そして、うまくいかなかった日にどうつながりなおすかのほうが、その日の大変さそのものより、ずっと大切なことが多いのです。
途中より、終わり方が大事なわけ
小さな子は、一日の終わりにどう感じたかを、心にとどめておきます。でこぼこの午後のあとに、ゆったりとした、やさしい夜がくると、子どもには「もう大丈夫なんだ」と伝わります。大変だったことをなかったことにするのではありません。親が落ち着いてそばにいることで、ふたりの関係はひとつのでこぼこよりずっと大きいのだと、子どもに見せるのです。やりなおしは家族の暮らしのふつうの一部で、何かがひどくおかしくなったしるしではありません。
子どもより先に、自分を落ち着かせる
からっぽのコップから、落ち着きは注げません。関係をなめらかにしようとする前に、自分に1分あげましょう。ゆっくり何回か息をする、水を一杯飲む、台所のカウンターに少しもたれる。親の神経が落ち着くと、子どもはその落ち着きを借ります。まだくすぶっているなら、「ちょっとだけ時間をちょうだい。そしたら、いっしょに座りたいな」と正直に言っていいのです。それは、大きな気持ちはいちばん近くの人にぶつけるのではなく、扱えるものなのだという、力強いお手本になります。
お説教より先に、あたたかさを
大変だった日のあとは、説明したり、正したり、ごめんなさいを言わせたりしたくなるものです。最初は、少しこらえてみましょう。つながりなおしは、ことばより、体と目を通したほうが届きます。子どもの目の高さに座り、表情をやわらげ、条件なしに近くにいる。やさしく名前を呼ぶだけ、子どもがしていることに気づくだけでもかまいません。最初にあたたかさがくると、「今も自分は必要とされている」と子どもに伝わります。ぐらぐらした一日がゆさぶりがちな、まさにその安心です。
小さく、プレッシャーなく戻る道
大きなことはいりません。つながりはたいてい、ほんの小さな、ふつうの瞬間で建てなおされます。
- 遊んでいる近くに座って、子どもにリードをまかせる。
- ねこにごはんをあげる、コップをふたつ並べるなど、いっしょの用事をさそう。
- 窓の外、絵本、水たまり。何かをいっしょに見る。
- いやがらなければ、背中に手をそえる、抱っこするなど、やさしいふれあいを。
ペースは子どもにまかせましょう。すぐに抱っこにとけこむ子もいれば、自分のやり方でぐるっと回って戻ってくる子もいます。どちらでも大丈夫です。せまりすぎずに、いつでも受けとめられるようにしていることが、子どもの心をやわらげる助けになります。
けんかをむし返さずに、気持ちに名前を
空気がとけてきたら、その日のことにやさしくふれてもいいでしょう。短く、責めずに。「今日の午後は、ふたりとも大変だったね。ママも、どなっちゃうのはいやだったな」。気持ちに名前をつけると、子どもはそれを理解しやすくなります。そして親が自分の分を認めるのを聞くことは、どんな言いつけよりも正直さを教えてくれます。どっちが先に始めたかを、むし返すのはやめましょう。めざすのは判決ではなく、わかりあうことです。
かっとなったのが自分だったとき
どんな親にも、ほこれない瞬間があります。きつく当たってしまったなら、シンプルなやりなおしが大きな力になります。「ママ、怒って大きな声を出しちゃった。あなたのせいじゃないよ。ごめんね」。これで親の威厳が弱まることはありません。大人だってまちがえるし、ちゃんと直すのだと見せることは、子ども時代にもらえるいちばん役に立つ教えのひとつです。うまくいかなかった日のつながりなおしは、親からの小さな、心からのごめんねで始まることもあります。
寝る前に、やりなおしを
寝る前は、ペースがゆっくりになり、まわりが静かになるので、自然に近づける時間です。急がずに読む絵本、その日あったよかったことひとつのおしゃべり、少しのあいだとなりに横になるだけでも、一日がまるごとリセットされることがあります。夜にやさしくすることは、困った行動へのごほうびではありません。昼間に何があっても、ふたりのきずなはゆるがない、と子どもに思いださせているのです。
大変な日が、大変な時期になっているとき
大変な日が一日あるのは、ふつうのことです。それが長く続くなら、やさしく気にかけてあげましょう。何週間も、いつになく引きこもりがち、涙もろい、べったり、乱暴になっていないか、眠りや食事がはっきり変わっていないか、見てみてください。こうした変化が続くとき、あるいは親自身の気分の落ちこみが晴れないときは、地域の保健師さん、かかりつけ医、ほかの信頼できる専門家に話してみましょう。早めに支えを求めることは、よい子育てのしるしで、失敗ではありません。
自分にもやさしく
うまくいかなかった日のつながりなおしは、自分をゆるすこともふくめたとき、いちばんうまくいきます。罪悪感は、そっと親を説明しすぎや埋めあわせしすぎへと押しやり、それは子どもを混乱させます。完璧をめざしてがんばる親より、まちがえたらやりなおす、どっしりとあたたかい「ほどよい」親のほうが、子どもに安心をくれます。明日は、ふたりにとって新しい一日です。
ポイント: ことばより先にあたたかさを。ペースは子どもにまかせ、完璧な一日よりやさしいやりなおしのほうがずっと大切だと覚えておきましょう。