寝かしつけを「こなす時間」から「つながる時間」へ
寝かしつけの時間になるころには、たいていの親はもうへとへとです。自分の夜が始まる前の最後のハードルとして、お風呂、歯みがき、絵本、消灯、はい終わり、とこなしたくなるものです。でも寝かしつけには、ただ乗りきろうとしているときには見のがしやすい、静かなチャンスがかくれています。寝かしつけを、こなす時間からつながる時間に変えると、親子どちらにとっても一日の終わりが変わり、おまけに寝かしつけそのものがスムーズになることもよくあります。
一日の終わりが大切なわけ
子どもは、一日がどんなふうに終わったかという気持ちの味を、眠りの中へ、そして次の朝へと持ちこみます。急いで、とげとげしい寝かしつけだと、子どもは不安で落ち着かなくなり、それがぐずぐず、「あとひとつだけ」、いやがるといった形で出てきます。まさに寝かしつけを長引かせるふるまいです。反対に、あたたかくつながった寝かしつけは、子どもを安心と愛されている気持ちで眠りへ送りだします。その日の小さなすれ違いはつくろわれ、何があってもきずなはゆるがない、とわかって休めるのです。その安心が、よい眠りの土台です。
ゆっくりするほうが、早く終わる
逆のように聞こえますが、寝かしつけを急ぐと、たいてい長引きます。急かされて、つながれていないと感じた子は、遠のいていく近さを追いかけて、しがみつき、ぐずぐずします。親が自分のペースを落とし、本当にそばにいる気持ちで寝る前の流れに向き合うと、つながりたい気持ちがこばまれずに満たされるので、すっと落ち着く子はたくさんいます。15分でも急がずに向き合うことが、おだやかな消灯へのいちばんの近道であることはよくあります。寝かしつけをつながる時間にするには、まず自分の「早く」を下ろすところから始めましょう。
ふれあいの時間を流れの中に
寝る前の流れの一つひとつは、もうそこにあります。変えるのは、効率だけでなくあたたかさで満たすことです。
- お風呂では、だまって洗うかわりにおしゃべりを。
- 絵本は、ぴったりくっついて、気持ちをこめて読む。
- 今日のいちばんよかったことと、いちばん大変だったことを話す。
- 抱っこ、背中をさする、少しのあいだいっしょに横になって静かにすごす。
どれも、時間はほとんど増えません。もう使っている時間の質を変えて、チェックリストを、子どもが楽しみに待つ、ふたりのくつろぎの時間に変えるだけです。
寝る前に、その日のやりなおしを
寝る前の静けさは、昼間にうまくいかなかったことをつくろうのにぴったりの場所です。ぶつかりあいや、どなってしまったこと、つらい瞬間があった日なら、ここでのやさしいひと言がおさめてくれます。「今日はふたりとも、ちょっとでこぼこだったね。大好きだよ。明日はまた新しい日だね」。子どもが寝る前に心配ごとを話しだすことが多いのは、そこが安全だと感じるからこそです。夜おそくの打ち明け話は、早く寝なさいとせかさずに、根気よく受けとめましょう。そうして聞くことは、つながりのいちばん価値のある形です。
見通しのある、安心できるリズムを
つながりも、よい眠りも、見通しがあると育ちます。毎晩同じ手順を同じ順番で。そんな落ち着いた流れは、もうすぐ眠る時間だと子どもの体と心に伝え、何が起きるかわかっている安心をくれます。流れの中の小さな習慣、決まった歌、ふたりだけのおやすみのことば、夜の見はり番にぬいぐるみをひとつ選ぶこと。そうしたものは、大切な錨になります。くり返されるあたたかい瞬間こそ、一日一日のことを忘れてしまったずっとあとも、子どもの心に残るものです。
画面とプレッシャーから、雰囲気を守る
つくろうとしている落ち着きを守る、実用的なことがいくつかあります。明かりを落とす、声を小さくする、寝る前の時間から画面をしっかり遠ざける。どれも子どもの体を眠りへと向かわせ、落ち着いた体はつながりやすくなります。寝る前には、お説教、しかること、ストレスのかかる話もできるだけ避けましょう。気持ちがあふれて、眠りのじゃまをします。大事な話は昼間にとっておいて、夜はやわらかく。めざすのは、反省会ではなく、やさしい着地です。
もう何も残っていない夜
疲れすぎて、いちばんあたたかい自分でいられない夜もあります。それはまったく人間らしいことです。そんな夜は、つながりがほんの小さくても、ちゃんと数に入ります。いつもより数秒長い抱っこ、ささやく「大好きだよ」、暗い中で少しだけ子どものとなりに横になること。毎晩、手のこんだ愛情たっぷりの儀式をしなくていいのです。小さくても心からのふれあいがあれば、コップがからっぽの夜でも、一日をよく終えられます。
寝かしつけがずっと大変なとき
ある程度いやがったり、ぐずぐずしたりするのは、まったくふつうのことです。でも、長いあいだ、寝る時間になるといつもひどくつらそうにする、眠りの大きな困りごとが昼間の機嫌や成長、家族みんなの元気に影響している、新しいこわがりや不安、急な眠りの変化があらわれておさまらない、という場合は相談しましょう。地域の保健師さんやかかりつけ医が、いっしょに方法を考えてくれます。親自身の疲れがずっと続いていること、それ自体が支えを求めるじゅうぶんな理由です。
守りたい時間
一日の中で、寝かしつけはいちばんやさしい時間のひとつであり、早く終わらせようとするなかで、いちばんむだにしやすい時間のひとつでもあります。寝かしつけを、こなす時間からつながる時間に変えるとき、親は毎晩、子どもに思いださせています。今日がどんな日でも、あなたは安全で、愛されていて、抱きとめられている、と。毎晩くり返されるその安心は、子どもが育っていく深い土台の一部になっていきます。
ポイント: ペースを落とし、寝る前の流れをあたたかさと聞くことで満たしましょう。つながった一日の終わりは、子どもを安心させ、寝つきを早くすることもよくあります。