すぐに手を出さない見守り方。子どもに「やってみる」をまかせるコツ

どの親も知っている、とくべつな一瞬があります。子どもがジャングルジムのとちゅうにいる、びんのふたと格闘している。そして体じゅうが、手をのばせと言っている。すぐに手を出さずに子どもにやらせてみるとは、その本能を無視することではなく、動きだす前にひと呼吸をあげることです。そのひと呼吸のあいだに、子どもは親も子どもも思っていなかったやり方で、道を見つけることがよくあります。

助けたい反射が強いわけ

手を出すのは愛情のように感じられますし、実際そうであることも多いのです。早いし、すっきりするし、子どもが苦戦する姿を見ずにすみます。でも、親が子どもの代わりにやりとげることのひとつひとつは、子どもが自分でやりとげないことです。早く助けられすぎた子は、むずかしいことは大人がするものなのだ、と静かに思いこむようになることがあります。めざすのは、子どもをいらいらの中に置きざりにすることではなく、やってみていい空間を広げることです。

すべてを変える、ひと呼吸

手を出す前に、ゆっくり10数えてみましょう。子どもが靴とうなりながら格闘しているとき、10秒は長く感じられます。でもそれは、子どもが解決するのにまさに必要な窓であることがよくあります。そのあいだ、体の力をぬき、表情を落ち着かせておきましょう。子どもは危なさの感覚を親から借ります。親がこわばった顔をしていると、子どもは危ない状況だと読みとって、あきらめます。親が興味深そうに、心配せずに見ていると、やってみる価値のある挑戦だと読みとります。

手助けは、苦戦の大きさに合わせて

苦戦にもいろいろあります。実りのある苦戦は、顔をしかめていじっている種類のもので、子どもはとりくんでいて、少しずつ進んでいます。実りのない苦戦は、かんしゃくの種類のもので、いらいらにのっとられて、学びは起きていません。親の仕事は、そのふたつを見分けることです。すぐに手を出さずに子どもにやらせてみるとき、親は実りのある苦戦にかけていて、それがつらさにかたむいたときにだけ手を出します。そのときでさえ、ぜんぶやるのではなく、行きづまりをほどく、いちばん小さな手助けを。

手より先に、ことばで

手を貸すと決めたら、手ではなく、問いかけやヒントから始めましょう。「次は何をためしてみる?」「反対に回したらどうなるかな?」は、運転席に子どもを座らせたままにしてくれます。ヒントは、つまずきをほどきながら、やりとげた気持ちは子どものものとして残します。体を使って代わりにやるのは、本当の安全の問題があるとき、あるいは子どもが本当に壁にぶつかって、助けを求めているときだけに。そして、またできるようになった瞬間に主導権を返すことも、同じくらい大切です。

やってみられるように、場を整える

子どもが失敗するように場をつくってしまったせいで、手を出すことになる場合もあります。なみなみとつがれたコップ、かたいチャックの上着、2年早いパズル。ちょうどいい挑戦を選ぶことで、そっと「できた」を増やせます。半分のコップ、ゆるめの服、少し余裕のあるパズル。これはハードルを下げることではなく、やってみることが、失敗の決まったものではなく現実的なものになるように、子どものいる場所で出会うことです。

親自身の落ち着かなさに、つきあう

ここでのむずかしさの多くは、子どもではなく親のものです。苦戦を見ると直したくなり、一歩下がることがほったらかしのように感じられることもあります。でも、そうではありません。自分に向けて気持ちに名前をつけると助けになります。「見ているのはつらい。でも、この子のためになっている」。ぐらつきは緊急事態ではないと、自分に言い聞かせましょう。小さないらいらに親が慣れるほど、子どもには育つ余地が広がります。

安全だけは、ゆずらない

子どもにやらせてみることは、本当の危険を無視することとは決して同じではありません。道路、水、高いところ、熱いもの、刃物、大きなけがにつながりうるものには、今もしっかりとした見守りと、はっきりした線が必要です。育てている自立は、安全な線の内側にあります。その内側では、失うものは小さくていいのです。こぼす、ぐらつく、やりなおす。すばやく手を出すのは、本当にそれにふさわしい瞬間のためにとっておきましょう。

一歩下がるだけでは足りないとき

ふつうの活動をいつになくこわがる、小さな挑戦でひどくつらそうになる、前はできていたことをやろうとしなくなった、という場合は、やさしく一歩下がるだけでは足りないかもしれません。毎日の暮らしに影響するような、強く続く回避は、地域の保健師さんやかかりつけ医に話してみましょう。同じように、体の安全については自分の勘を信じ、何かを証明するために、本当の危険の近くで小さな子から目を離すことは決してしないでください。

いっしょに習慣にしていく

小さく、失うもののない場面から始めましょう。自分で水をつぐ、自分のお皿を運ぶ、パズルの最後のピースをさがす。親は手をおしりの下にしいて座っています。すぐに手を出さずに子どもにやらせてみることがうまくいくたびに、どんなお説教にもできない教えを伝えています。自分は、物事をなんとかできる人なのだ、ということ。小さな挑戦ひとつずつ集められたその信念が、のちにもっと大きな挑戦へと子どもを運んでいきます。

ポイント: 手を出す前に、落ち着いたひと呼吸を。手より先にヒントで手伝い、すばやく手を出すのは本当の安全のためにとっておけば、やってみることは子どもの自分のものになります。

AAP, Encouraging your child's independence

NHS, Start for Life: learning and play