年齢に合った「選ぶ」経験が、子どもの自立心を育てる

子どもが小さなことを自分で決めて、その結果とつきあうたびに、自立の小さな筋肉が少しずつ強くなっていきます。コツは、決めることの大きさをちょうどよくすることです。多すぎると、小さな子は固まるか、かんしゃくを起こします。少なすぎると、管理されていると感じます。ちょうどよく合わせることこそが、年齢に合った選択肢で自立心を育てることのすべてで、それぞれの時期にだいたい何ができるかを知っていれば、ずっとかんたんになります。

選ぶことが、思っている以上に大切なわけ

選択肢は、いちばん実際的な形で、あなたの好みは本物で、自分の一日を動かせるのだと子どもに伝えます。そのメッセージは、自己肯定感と自分をおさえる力の根っこにあります。小さなことを決めるのに慣れている子は、協力もしやすくなります。ひとかけらの主導権を求めて、力をぜんぶ戦いに使わなくてすむからです。選択肢は、ときどき配るごほうびではありません。育っていく「自分」という感覚のための、毎日の栄養です。

選択肢は、ふたつか3つに

小さな子は、かぎりのない可能性をくらべることができません。2歳の子に「朝ごはん、何がいい?」と聞けば、大混乱をまねきます。「トーストとおにぎり、どっちにする?」なら、本当に決められる選択を手わたせます。はっきりしたふたつ、もう少し大きな子なら3つ。それがちょうどいいところです。どちらの答えも、親が本当によしとできるものにしておけば、さしだすつもりのなかった選択を守らなければならない、というわなにはまりません。

それぞれの時期に合うもの

1歳から2歳ごろは、選ぶことは体で、すぐにわかるものです。このコップか、あのコップか。赤いくつしたか、青いくつしたか。2歳から3歳ごろには、ふたつのおやつ、寝る前のふたつの絵本、どちらの靴を先にはくかを選べます。3歳から4歳ごろには、天気に合ったいくつかの服から着るものを選ぶ、積み木とクレヨン、どちらを先に片づけるかを決めるなど、小さな順番も扱えるようになります。4歳から5歳ごろになると、一日の一部の計画を手伝う、短いリストから週末にすることを選ぶ、夕ごはんのときにどの係をやりたいか決める、といったことができます。その時期に合わせることが、年齢に合った選択肢を、こわいものではなく、できるものと感じさせてくれます。

本物の選択肢を。見せかけではなく

子どもは、見せかけの選択肢をすぐに見ぬきます。「上着、着る?」は、答えがイエスでなければならないなら、本当は選択肢ではありません。ゆずれないことは、やさしく、はっきり伝えて、その内側で選ばせましょう。「上着は着るよ。チャック、自分で上げる?それともママがやる?」。親の威厳はそのまま、それでも本物の決定を子どもに手わたせます。本物の選択肢は、どちらの答えでも本当にかまわないことのためにとっておきましょう。

結果を感じさせる

選択が学びになるのは、子どもが感じとれる結果がついてくるときだけです。寒い日に夏のワンピースを選んだなら、かばんにセーターを入れておくかぎり、少しの安全な肌寒さのほうが、お説教より多くを教えます。小さいほうのデザートを選んだなら、大きいほうを見たとたんに取りかえるのではなく、その選択を守ることで、決めたことには重みがあると伝わります。安全な範囲で結果とつきあうことで、選択はただの好みではなく、学びになるのです。

選ばせなくていいこと

すべてが話しあいの対象ではありませんし、そうであるふりをすると混乱が生まれるだけです。安全、健康、家族の基本は、親が持っておきます。道路の近くで手をつなぐ、チャイルドシートに座る、歯をみがく、平日の寝る時間。こうしたことをきっぱりとメニューからはずしておくと、子どもはむしろ安心します。自分には大きすぎる決定を背負わされずにすむからです。自立は、線がないところではなく、はっきりして頼れる線の内側で、いちばんよく育ちます。

気が変わったときのぐらつきに

小さな子は、選んだとたんに、選ばなかったほうがほしくなることがよくあります。落ち着いて、ぶれずにこたえると助けになります。「青いコップを選んだね。赤いのは明日使おうね」。きびしくしているのではありません。決めたことは続くのだと教えているのです。声はあたたかく、さらりと。どんな選択も気まぐれでひっくり返せるなら、決めることは意味をなくし、育てようとしている自立は、なかなか形になりません。

決めることがいつになくむずかしそうなとき

たいていの子は、何度も気を変えながら、でこぼこに決める力を育てていきます。ときどき、どんな選択でもひどくつらそうになる、2歳ごろをとうに過ぎても、かんたんなふたつからでもまったく決められない、園や学校、友だち、親と離れることへのもっと広い心配もいっしょにある、という子もいます。そうしたパターンが続いて心配なときは、地域の保健師さん、かかりつけ医、園の先生に話してみると、ふつうの違いなのか、もう少しよく見たほうがいいことなのかを見分ける助けになります。

ふつうの暮らしの一部に

特別なしくみはいりません。朝にひとつかふたつ、食事と遊びのまわりにもう少し、寝る前にひとつかふたつ。小さな決定を織りこんでいきましょう。その子の時期に合わせ、本物にし、結果はやさしく受けとめさせる。くり返すうちに、年齢に合った選択肢は、毎日の瞬間を、考えて、決めて、決めたことに責任をもつ、ゆるぎない練習に変えていきます。

ポイント: その子の時期に合った、本物の選択肢をふたつか3つ。安全はメニューからはずし、結果を感じさせることで、毎日の選択が本物の自立心をそっと育てます。

CDC, Positive parenting tips

UNICEF, Child development and early learning