小さなお手伝いが、子どもの自信と自己肯定感を育てる
本物の仕事をうまくやりとげたとき、小さな子の顔に、とくべつな表情が浮かびます。自分について何かを発見したような、驚きと誇らしさのまざった顔です。その表情こそが、すべての目的です。小さなお手伝いが子どもの自信を育てると知っていると、毎日の家事が、小言を言う用事ではなく、チャンスに見えてきます。家族の中で、役に立っている、まかされている、できる、と子どもが感じられる小さなチャンスです。
お手伝いが、子どもにとってうれしいわけ
子どもは、仲間に入りたいのです。ことばにできるずっと前から、居場所があって、役に立っているという感覚を強く求めています。家族が頼りにしている本物の仕事を、どんなに小さくてもまかせると、あなたは大切で、信頼されていて、あてにできるくらいできる人だよ、と伝えることになります。この3つのメッセージが、自己肯定感の芯にあります。お手伝いは、子どもに乗せる重荷ではなく、居場所という贈りものなのです。
ひまつぶしより、本物の仕事
子どもは、意味のある仕事と、ひまをつぶすためにつくられた仕事の違いがわかります。本当に分けなければならない、組になっていないくつしたを分けるのと、積み木の山をただあちらからこちらへ移すのとでは、感じ方がまったく違います。小さなお手伝いが自信を育てる魔法は、その役立ちが本物であることにあります。ねこが本当にごはんを食べ、テーブルが本当に整い、郵便が本当に取ってこられたとき、子どもは本当に違いを生んだという、まっすぐな満足を味わいます。
年齢に合った、始めやすいアイデア
うまくいきやすいように、その子の時期に仕事を合わせましょう。1歳から2歳ごろなら、おもちゃをかごに入れる、おむつをごみ箱に捨てる、テーブルをふくのを手伝う。2歳から3歳ごろなら、手伝ってもらいながらペットにごはんをあげる、植物に水をやる、割れない物を食卓へ運ぶ。3歳から4歳ごろなら、くつしたの組をそろえる、洗たく物を洗たく機に入れるのを手伝う、お箸やスプーンを並べる。4歳から5歳ごろになると、かんたんなおやつづくりを手伝う、声をかけてもらいながら自分の部屋を片づける、毎日のペットのごはんを担当する、といったことができます。小さく始めて、育つにつれて増やしていきましょう。
まかせきる。不完全なところもふくめて
多くの親にとっていちばんむずかしいのは、基準を手ばなすことです。子どもが並べたお箸はゆがんでいるし、くつしたの組はひとつずれている。とびこんでやりなおしたり、横で直しつづけたりすると、子どもからやりとげた気持ちをうばい、完璧でなければ意味がないと教えてしまいます。ぐっとこらえて、ゆがんだ結果を受け入れ、心からありがとうを言いましょう。自信は、完璧にやったことではなく、自分でやったことから生まれます。やりなおされた仕事は、あなたでは足りなかった、とそっと子どもに伝えてしまうのです。
取引ではなく、あたたかく
お手伝いは、雇われ仕事としてではなく、家族の一員であることの一部として伝えるのがいちばんうまくいきます。小さな仕事のたびにごほうびやお金をあげつづけると、子どもの気持ちは、役に立つ誇りから、ごほうびの大きさへと移ってしまうことがあります。シンプルで心からの「ありがとう、すごく助かったよ」のほうが、ずっと力があります。仕事を、すぐに色あせるシール表ではなく、つながりと居場所に結びつけてくれます。深い自信が育つのは、そこからです。
戦いではなく、リズムに
お手伝いは、とつぜんの要求ではなく、見通しのある毎日の流れに織りこまれると定着します。金魚のえさやりが毎朝、朝ごはんのあとにあるなら、それは戦う相手ではなく、ただ「いつもすること」になります。子どもは、こうしたゆるやかな規則正しさの中でのびのびします。仕事に一日の決まった場所があると、子どもはすすんで引き受けるようになり、やがて言われなくてもするようになります。それ自体が、自信のひとつの節目です。
いやがる日には
子どもがまったく手伝いたくない日もあります。それはふつうのことです。主導権争いにしないようにしましょう。おどすより、落ち着いて、さらりと期待を伝えるほうがたいていうまくいきます。「夕ごはんの準備は、みんなでするんだよ。コップとスプーン、どっちにする?」。お手伝いの中で小さな選択肢をわたすと、自分で決められる感覚が保たれます。たまにどうしてもやらない日があっても、それは流して、明日またリズムに戻りましょう。一回の「いや」を大事件にしないことです。
期待は現実的に
小さなお手伝いは、子どもを少し背のびさせるもので、押しつぶすものではありません。知らず知らずのうちに、小さな子に本当は負担が大きすぎる仕事をまかせていないか、下の子の世話を危ない形でさせるなど、大人が持つべきことの責任を負わせていないか、気をつけておきましょう。子どもがいつもお手伝いのことで不安そう、できるはずの仕事で本当につらそうにする、というときは、少しゆるめてください。お手伝いは子どもを育てるもので、重くのしかかっているなら、バランスを見なおす必要があります。
静かで、長く続く実り
その効果がまるごと見えるのは、1週間や1か月先ではありません。でも、家族の暮らしに本当に役立ちながら育つ子は、自分の力をしっかり感じられる大人になっていきやすいのです。小さなお手伝いが自信を育てると気づいて、本物の仕事をもうひとつ手わたすたびに、親は心の奥で「自分はできる、信頼されている、さしだせるものがある」と信じられる人に投資しています。その信念は、どんなに整ったテーブルより価値があります。
ポイント: 家族が頼りにする本物の仕事を、その子の時期に合わせて、不完全なまままかせる。それが、あなたはできる、信頼されている、と子どもに伝え、長く続く自信を育てます。