仕切りたがりの子を、みんなに好かれるリーダーに育てるには
生まれながらのまとめ役、という子がいます。どの遊びでも役を割りふり、誰が何をするか決め、どう進めるべきかについてはっきりした考えを持っている。その力はリーダーシップの原材料ですが、形を整えずにおくと、ほかの子を遠ざけてしまう「いばりんぼう」にかたむくことがあります。いばりんぼうにせずにリーダーシップを育てるとは、その子の生まれもった「まとめたい」力を、まわりがついていきたくなる形へと流していくことです。聞くこと、公平であること、みんなを巻きこむことの上に立つ形へ。
リーダーシップと、いばりんぼうは近い親せき
いばりんぼうは、リーダーシップの反対ではなく、まだみがかれていない早い段階の姿なのだと見ると助けになります。いばりんぼうの子はたいてい、自信たっぷりで、はっきりした考えを持ち、物事を動かしたいと思っています。それはまさに、よいリーダーに必要な材料です。違いはその使い方にあります。いばることは、人をコントロールすること。リーダーシップは、人を導き、仲間に入れること。親の仕事は、まとめたい性質をつぶすことではなく、それが大人になっていくのを手伝うことです。「わたしのやり方でやって」を「いっしょに考えよう」に変えていくのです。
よいリーダーシップに気づいて、ことばにする
子どもは、気づいてもらえたことをくり返します。その子が上手にリードしたとき、はずかしがりの友だちを仲間に入れた、公平な分け方を考えた、小さい子を手伝った、そんなときに具体的に伝えましょう。「みんなに役が回るようにしてたね。やさしかったね」。本当のリーダーシップは、指示するだけでなく、まわりを持ちあげることなのだと伝わります。こうした瞬間を意識してつかまえ、ことばにするのは、いばりんぼうにせずにリーダーシップを育てるいちばん効果のある方法のひとつです。実際にうまくいくリードの形を、子どもに見せられるからです。
命令ではなく、たずね方を教える
いばりんぼうの多くは、ただ伝え方の問題です。同じ考えでも、命令として届くこともあれば、おさそいとして届くこともあります。その違いを教えてあげましょう。「ゆいちゃんに『赤ちゃん役ね』って決めるかわりに、『赤ちゃん役とお医者さん役、どっちがいい?』って聞いてみたら?」。落ち着いているときや遊びの中で、こうした言い方をいっしょに練習しましょう。選択肢をさしだす、指示ではなくたずねる、みんなが何をしたいか確かめる。それを身につけると、子どもの考えは、みんながよろこんで乗りたくなる提案に変わります。
ほかの子の見方に気づけるように
いばりんぼうは、自分の思いえがいたことに夢中になるあまり、ほかの子にもそれぞれの考えや気持ちがあることを忘れてしまうところから来ることがよくあります。声に出して考えることで、人の立場に立つ力をそっと育てられます。「はるとくん、選ぶ番がこなくて、どんな気持ちだったかな」「お友だちは何して遊びたいと思う?」。子どもをはずかしめるためではなく、気づきを広げるためです。ほかの子が何をしたいかに気づけるようになった子は、自然と、みんなを仲間に入れるリードをするようになります。おしつぶすのではなく、グループを導くのです。
ついていく練習も
よいリーダーは、ついていき方も知っています。いつもえらい役ばかりやりたがる子には、反対側の練習が必要です。その子がルールを決める役ではない遊びをする、何をして遊ぶかを順番に選ぶ、ときにはほかの子にリードしてもらう。どれも助けになります。親もお手本を見せられます。ときには子どもにリードをまかせて、その子の計画にうれしそうについていき、またあるときは、ほかの人の考えに合わせるよう、やさしく求める。グループの一員として協力することを学ぶのは、グループを導くことを学ぶのと同じくらい大切です。
強引さには、やさしく、はっきり
いばりんぼうがほかの子を傷つけてしまったときは、きびしくせずに、落ち着いて向き合いましょう。よい意図は認めながら、その影響をことばにできます。「遊びを楽しくしたかったんだよね。でも、みんなにやり方を決めちゃったから、れんくんは遊びたくなくなっちゃったみたい。かわりに、どうしてみる?」。自分は悪い子だと感じさせずに、強引さの本当の結果に気づかせてくれます。こうしたやさしい軌道修正を重ねるうちに、子どもは、人を遠ざけるのではなく、引きよせるリードのしかたを学んでいきます。
本当にリードするチャンスを
リーダーシップは、本物の機会で育ちます。その子が本物の何かをまかされる、年齢に合った方法をさがしましょう。家族ですることを選んで段取りする、下のきょうだいに何かを教える、小さなプロジェクトの責任者になる。まわりへの影響もふくめて本当の責任がある本物のリードは、どんなお説教よりも多くを教えてくれます。何かを上手にリードして、みんなが楽しんでいる姿を見る満足を味わうと、子どもは、ただいばることのむなしい支配より、その気持ちのほうが好きになっていきます。
もう少しよく見たいとき
意志が強く、まとめたがる行動は、ふつうの、そしてしばしば前向きな特徴で、たいていの子は成長と関わりの中で、それをほどよく調整できるようになります。でも、ときには、主導権を分けあうこと、人の気持ちのサインを読むこと、友だちと仲よくすることのむずかしさが続いていて、友だち関係に大きく影響している、人との関わりの発達へのもっと広い心配もいっしょにある、という場合もあります。支えがあっても変わらないそうしたパターンに気づいたら、地域の保健師さん、かかりつけ医、園や学校の先生に話してみましょう。もっと手助けがあったほうがいいかどうかを、いっしょに考えてくれます。
みんながついていきたくなるリーダーに
まとめたいという気持ちは、欠点ではなく贈りものです。関わりがあれば、それは声をあげ、まとめ、人をふるいたたせる自信になり、一生その子を支えてくれます。よいリーダーシップに気づき、命令ではなくたずねることを教え、まわりへの気づきを育て、本物のリードのチャンスをあげる。そうすれば、いばりんぼうにせずにリーダーシップを育てられます。前にふみだして、みんなをいっしょに連れていける子に育つのです。それこそが、本当のリーダーシップの姿です。
ポイント: いばりんぼうは、まだみがかれていないリーダーシップです。みんなを仲間に入れるリードをほめ、命令ではなくたずねることを教え、思いやりを育て、ついていく練習もさせて、まとめたい力を生かしましょう。