プレッシャーをかけずに、子どもの粘り強さを育てるには
粘り強さは、親が子どもにいちばん身につけてほしい力のひとつで、そして、がんばらせすぎることでいちばんつぶしやすい力のひとつでもあります。疲れた子に「もうちょっとがんばって」と押せば、ひと晩で好きなことが面倒な用事に変わってしまうこともあります。本当の腕の見せどころは、プレッシャーをかけずに粘り強さを育てることです。続けることが、親をがっかりさせたくないというおそれからではなく、好奇心と誇りから育つように。
この年ごろの粘り強さとは
小さな子にとって、粘り強さは歯をくいしばる根性ではありません。パズルにもう一回挑戦する、ぐらぐらのタワーをもう一度積む、ころんでもけんけんの練習を続ける。そうしたやってみようとする気持ちです。短くて、遊びのようで、来たり去ったりします。3歳から5歳くらいの子に、1時間何かにとりくみ続けることを期待するのは、その子がどこにいるかを見誤っています。粘り強さを育てるとは、大人のような持久力をつくりだすことではなく、そうした自然な「やってみたい」の波を守り、そっと引きのばすことです。
プレッシャーは、育てたいものをそっとつぶす
子どもにがんばりつづけるよう寄りかかると、望んだのと反対の結果になりがちです。プレッシャーは、とりくむことをテストのように感じさせ、テストは失敗するより途中でやめるほうが安全に思えるほど、かかっているものを大きくします。親のきげんが自分のがんばりしだいだと感じた子は、気にしないこと、あるいはその活動そのものを避けることで、自分を守るようになります。だから、プレッシャーをかけずに粘り強さを育てる最初の一手は、親自身の思い入れを一段下げて、とりくむことを子どものものにすることです。
ゴールではなく、とちゅうに目を向ける
親がどこに目を向けるかが、子どもが何を大切にするかを形づくります。できあがった絵や完成したパズルにだけ目を輝かせていると、子どもは、結果こそが目的で、苦戦はただのじゃまものなのだと学びます。代わりに、とちゅうに気づきましょう。「別のやり方をためしてるね」「細かいけど、ずっとやってるね」。がんばりそのものをことばにすると、続けることこそがやりとげたことなのだと伝わります。それはまさに、長く物事にとりくみつづける考え方です。
たいくつやいらいらにも、出番をあげる
すべてのぐらつきを助ける必要も、すべてのため息にはげましのことばをかける必要もありません。いちばんいい粘り強さは、子どもが少し行きづまって、少したいくつして、自分で道をさがすのにまかされたすきまで育つことがあります。間のたびに手助けやはげましでうめると、親がエンジンになってしまい、子どもは自分のエンジンを育てられません。近くに座って、あたたかいままで、少しのいらいらは、手を出すサインではなく、次の挑戦への入口であることが多いのだと信じましょう。
挑戦は、できそうな範囲に
子どもは、おもしろいくらいにはむずかしいけれど、望みがないほどではないことに、粘り強くとりくみます。かんたんすぎると興味をなくし、むずかしすぎるとあきらめます。今の力より少し上のパズルや遊びを選び、ひとつの段階ができるようになってから、むずかしさを上げていく。それで、そっと調整できます。がんばればできそうだと感じられると、がんばる価値があると感じられ、粘り強さはほとんどひとりでについてきます。
やめることについての、ことばに気をつける
最初のハードルで放りだすのと、本当にもうじゅうぶんだからやめるのとは違います。止まるたびに、性格の弱さのように扱わなくていいのです。「おやつを食べてから、またやってみる?」は、粘り強さと、子どもの本当の限界の両方を大切にします。中断を負けではなく休憩として伝えると、ドアが開いたままになり、また戻ってくることが、あきらめたと認めることではなく、自然なことに感じられます。
親自身の粘り強さを、声に出して
子どもは、粘り強さの多くを、見て学びます。レシピ、組み立て式の棚、かたいチャックでつまずいたら、声に出して乗りこえていきましょう。「これ、いらいらするな。でも、もう一回だけやってみよう」。ひと呼吸して、やり方を変えて、続ける姿を見せるのです。こうした毎日のお手本は、どんな言いつけより多くを教えます。粘り強さは、子どもにだけ求められる特別な出しものではなく、大人もするふつうで、人間らしい、地味なことなのだと見せてくれるからです。
ふつうの「やめた」をこえているとき
たいていの子は、あちこちに手を出しては、やめて、また戻ってきます。それはまったくふつうのことです。でも、ときどき、ほとんど何でもすぐにあきらめる、ほんの少しのいらいらにもたえられない、とりくむことにくらべてずっと大きく取りみだしてつらそうにする、という子もいます。それが続いていて毎日の暮らしに影響している、集中や気分や発達への心配もいっしょにある、という場合は、地域の保健師さんやかかりつけ医に話してみましょう。もう少し時間が必要なだけなのか、もっと支えがあったほうがいいのかを、いっしょに考えてくれます。
長い目で、軽やかに
めざすのは、親が見ていて期待しているからではなく、何かを解きあかすのが気持ちいいから、もう一回やってみる子です。ほめるのはがんばりについて、挑戦はできそうな範囲に、そして親自身の気持ちは得点板の外に。プレッシャーをかけずに粘り強さを育てられたとき、親はどんなひとつの力よりも長く残るものを子どもにあげています。内側から動く、静かで、じょうぶな、続けようとする気持ちです。
ポイント: 粘り強さは、やってみることが安全で、自分で選んだものだと感じられるときに育ちます。がんばりを大切にし、挑戦はできそうな範囲にし、親の期待は結果から遠ざけておきましょう。