失敗して落ちこむ子に。まちがいから立ちなおる力を育てる声かけ

こぼれた絵の具、たおしたコップ、きょうだいへの傷つくひと言、まちがえた計算。まちがいは子ども時代のおつりのようなもので、子どもがそれをどう扱うかを学ぶかが、大胆な子に育つか、こわがりな子に育つかを形づくります。失敗した子が立ちなおるのを手伝うとき、親は人生でいちばん役に立つ教えのひとつを伝えています。まちがえても大丈夫で、なおせて、むしろそれこそが学びにつながることが多い、ということです。

最初の反応が、空気を決める

まちがえた直後の数秒、子どもは親のことばを聞くより、ずっと親の顔を見ています。息をのむ、きつい「何したの!」、ちらっと見えるいらだち。それは、まちがいは危なくて、はずかしいものだと伝えます。落ち着いたひと呼吸と「大丈夫、そういうこともあるよ」は、その反対を伝えます。まちがいが大したことないふりをしなくていいのです。子どもがはずかしさで心をバタンと閉じずに、開いていられるくらいに、自分の反応を小さくしておくだけです。

子どもと、まちがいを切りはなす

子どもは、悪い結果は自分が悪いということだ、とすぐに結論づけます。親のことばで、そのつながりをそっと切れます。「まちがえちゃったね」は、それを起きたこととして置いておけますが、「ほんとにそそっかしいんだから」は、その子そのものにくっつけてしまいます。性格ではなく、行動となおし方に目を向けましょう。まちがえても、自分は今もいい子で、愛されていて、できる子なのだとわかれば、子どもはまちがいからかくれるのではなく、向き合えます。

まず、気持ちを感じさせる

どんな教えが届くより先に、気持ちが感じられなければなりません。まちがえたばかりの子は、はずかしかったり、動揺していたり、自分に怒っていたりするかもしれません。急いでなおしたり教えたりすると、その気持ちをふみこえてしまいます。見えたことをことばにしましょう。「こわれちゃって、すごくがっかりしてるんだね」。気持ちのための少しの余白があると、それは通りすぎていきます。そして通りすぎてはじめて、子どもはなおすことを考えられるくらい、すっきりと考えられるようになります。涙の中で教えようとしても、誰にとってもうまくいきません。

罰ではなく、なおすことへ

まちがいのあとのいちばん役に立つ問いは、「誰のせい?」ではなく、「今、何ができる?」です。こぼれたものをふく、ごめんねを言う、パズルにもう一度挑戦する。なおすことに子どもを巻きこむと、失敗の瞬間が、自分で動ける瞬間に変わります。なおすことは、罰よりずっとよく責任を教えます。罰が主に教えるのは、次はまちがいをかくそう、ということだからです。これが、失敗した子が立ちなおるのを手伝うことの中心です。立ちなおりは、しかられることではなく、することの中にあるのです。

親自身の、毎日のまちがいを見せる

子どもは、大人はまちがいなく人生をすいすい進んでいると思っています。親がトーストをこがす、道をまちがえる、きつく当たったことを謝る姿を見せると、その空想はそっとくずれていきます。ふつうの、気にしていない声で「おっと、まちがえた。もう一回やってみよう」と言うと、まちがいは、どんなにできる人にも毎日あるふつうのことなのだと見せられます。まちがいとの親自身ののんびりしたつきあい方は、子どもにとっていちばん強いお手本のひとつです。

学びは、やさしく引きだす

気持ちが落ち着いて、なおすことがすんだら、まちがいの中に小さな役に立つ学びがかくれていることがよくあります。軽く取りだしてみましょう。「次は、コップをどこに置いたら安全かな?」。正すのではなく好奇心で、短く。すべてのまちがいから教訓をしぼりだすことが目的ではなく、まちがいには情報がつまっているのだと見せることが目的です。やがて子どもは、自分でこうしたふり返りをするようになります。それこそが、望んでいることです。

完璧主義のわなに気をつける

どんな親よりも、自分にきびしい子もいます。小さなまちがいで泣く、自分の絵をやぶる、もう一度やるのをこばむ。そんな子には、もっと高い基準ではなく、もっとやさしさが必要です。ひとつの部分がうまくいかなかったからといって、がんばりの価値が消えるわけではないと伝えましょう。子どもがありえないほど高いハードルを自分に課しているのに気づいたら、完璧であることを中心にしたほめ方をひかえて、ぐちゃぐちゃでも勇気を出してやってみたことを祝いましょう。

まちがいがとても大きなつらさになるとき

たいていの子は、とくに落ち着いた親がそばにいれば、毎日のちょっとしたまちがいから数分で立ちなおります。でもときどき、小さなまちがいに強く長く続くつらさを見せる、自分をきびしく責める、まちがえそうなことをすべて避ける、そしてそれが眠りや気分や参加する気持ちに影響する、という子もいます。そうしたパターンが何週間も続いたり、心配になったりするときは、地域の保健師さん、かかりつけ医、園の先生に話してみましょう。もっと支えがあったほうがいいかを、いっしょに考えてくれます。

長い目で

子どもをまちがいから救うことはできませんし、救いたいとも思わないでしょう。親にできるのは、まちがいを失敗の証拠ではなく学びの一部として扱う、落ち着いたやさしい存在として、何度でも子どものとなりに立つことです。失敗した子が立ちなおるのを手伝うたびに、親は静かな立ちなおる力を育てています。それが、子どもが挑戦しつづけ、育ちつづけ、自信をなくさずに世界に向き合いつづけることを可能にしてくれるのです。

ポイント: 落ち着いて、子どもとまちがいを切りはなし、気持ちが通りすぎるのを待ってから、なおすことへ。そうすれば、まちがいはこわいものではなく、学べるものになります。

AAP, Building resilience in children

UNICEF, Supporting your child's development